66.差し向かい
夢主名前設定
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「所で斎藤さん、一つだけどうしても聞きたいことがあったのよ」
「なんでしょう」
斎藤は再び手酌に切り替えた。
隊の内情か、土方のことか、俺の密偵の仕事か、それとも。
斎藤はゆっくりと喉に酒を流し込みながら伊東の表情を読んだ。
「夢主、さん」
斎藤は思わずごくりと音を立てて酒を飲み込んだ。
「夢主がどうかしましたか」
冷静に訊ねて、伊東の表情と気の変化に注意を払った。
斎藤の鋭い視線にも伊東が怯む様子は無い。
「おほほっ……そんなに警戒なさらないで下さい」
「お聞きしたいこととは」
真っ直ぐ見据えるが話を進めない伊東に、斎藤はさっさとしてくれと続きを促した。
「そうね……まずあの子、貴方の何なのかしら」
「何……と言いますと」
「率直に訊くわよ、どういった関係なのかしら」
関係……斎藤は伊東から目を逸らすと、真面目に自答した。
浮かぶのは夢主の柔らかな笑顔。そう、あいつは……。
「あいつの世話をしている」
「お世話を……夢主さんにしていただいているのではなくて」
「あぁ。まぁ互いにと言えなくもありませんが、身寄りが無く隊からも出れないあいつには後ろ盾が必要ですから」
「後ろ盾ねぇ……でしたらその後ろ盾、私が引き受けましょうか」
何っ、斎藤は声を荒げそうになった。
「それはお断りします」
「あら……」
斎藤の動揺を感じ取った伊東は更に揺さぶりをかけた。
「断る理由がどこにあるのかしら斎藤さん。それに返事を決めるのは貴方なのかしら」
「夢主のことは……夢主は、俺に一任されています。最後まで責任を持って俺が面倒を見る」
「そうなの」
ふぅん……
呟きながら弱点を探すように、伊東は斎藤の姿形を目で辿っていた。
「最後までって、どういうことかしら。屯所を出るまでということかしら」
「いえ、安心して暮らせるようになるまで。俺はそう考えています」
「成る程ね」
厄介な考えだことと伊東は細い息を吐いた。
「では夢主さんのことでもうひとつ。その身寄りの無い女が……何故、新選組の屯所にいるのかしら……ねぇ斎藤さん」
一語一句に対する反応を確かめるように、ゆっくり言葉を発した。
「なんでしょう」
斎藤は再び手酌に切り替えた。
隊の内情か、土方のことか、俺の密偵の仕事か、それとも。
斎藤はゆっくりと喉に酒を流し込みながら伊東の表情を読んだ。
「夢主、さん」
斎藤は思わずごくりと音を立てて酒を飲み込んだ。
「夢主がどうかしましたか」
冷静に訊ねて、伊東の表情と気の変化に注意を払った。
斎藤の鋭い視線にも伊東が怯む様子は無い。
「おほほっ……そんなに警戒なさらないで下さい」
「お聞きしたいこととは」
真っ直ぐ見据えるが話を進めない伊東に、斎藤はさっさとしてくれと続きを促した。
「そうね……まずあの子、貴方の何なのかしら」
「何……と言いますと」
「率直に訊くわよ、どういった関係なのかしら」
関係……斎藤は伊東から目を逸らすと、真面目に自答した。
浮かぶのは夢主の柔らかな笑顔。そう、あいつは……。
「あいつの世話をしている」
「お世話を……夢主さんにしていただいているのではなくて」
「あぁ。まぁ互いにと言えなくもありませんが、身寄りが無く隊からも出れないあいつには後ろ盾が必要ですから」
「後ろ盾ねぇ……でしたらその後ろ盾、私が引き受けましょうか」
何っ、斎藤は声を荒げそうになった。
「それはお断りします」
「あら……」
斎藤の動揺を感じ取った伊東は更に揺さぶりをかけた。
「断る理由がどこにあるのかしら斎藤さん。それに返事を決めるのは貴方なのかしら」
「夢主のことは……夢主は、俺に一任されています。最後まで責任を持って俺が面倒を見る」
「そうなの」
ふぅん……
呟きながら弱点を探すように、伊東は斎藤の姿形を目で辿っていた。
「最後までって、どういうことかしら。屯所を出るまでということかしら」
「いえ、安心して暮らせるようになるまで。俺はそう考えています」
「成る程ね」
厄介な考えだことと伊東は細い息を吐いた。
「では夢主さんのことでもうひとつ。その身寄りの無い女が……何故、新選組の屯所にいるのかしら……ねぇ斎藤さん」
一語一句に対する反応を確かめるように、ゆっくり言葉を発した。