63.伊東甲子太郎
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「正直、もっと怖い方だと思っていたんです……」
「伊東さんか」
「はぃ……先程お見かけした姿はなんて言うか……お美しかったです。土方さんとは違った美しさ……」
二人の男を美しいと言い切った夢主は、斎藤の目の前で変な事を言ってしまったと恥ずかしさを感じて頬を染めた。
「すみません、変な意味じゃないんです、もっと裏表を感じさせる人だと思っていたので、狐みたいに……伊東さんとても穏やかなお顔立ちで驚きました」
「まぁあれが作り笑顔かどうかはこれから分かるだろう。内心は測れんさ」
「はぃ」
夢主は自分の存在が斎藤の身の振りに影響が出まいかと不安で堪らなかった。
その不安がひしひしと伝わる斎藤は、気にするなと労わりの言葉を掛けた。
「安心しろ、どうせ俺は疑いの目からしか人を見ない。お前がいようが、いまいが変わらなかったさ」
「本当ですか……」
「あぁ」
斎藤はわざとニッと卑しげな歪んだ笑顔を作り夢主を和ませた。
この人らしいと思ってしまった夢主はクスリと小さく笑い、斎藤を安心させた。
「このお話、色々複雑で……」
「構わんさ。話したいなら気が済むまで話せばよいが、迷うなら止めたっていい」
「ありがとうございます……あの、気になることがあって、伊東さんが藤堂さんから私の話を聞いたっておっしゃっていたんです……」
「そうか」
「どこまで藤堂さんが話されたのか気になって」
「確認しておこう。ただ江戸から戻っていないんだよ。土方さんに相談するが、お前も念の為伊東さんには気をつけろ」
「はぃ……わかりました」
夢主も知らなかった。藤堂が翌年の五月まで京に戻らないことを。
そしてその前に土方と斎藤が江戸に向かうことも。
「他に何かして欲しいことは無いか」
「して欲しいこと……私を、町に連れ出してください」
突然だな……と斎藤は怪訝に思いながら理由を訊ねた。
「何故だ。湯屋の行き来では足りんか。確かに最近減ってはいるな」
皆忙しく夢主が湯屋に行く回数は当初の半数以下に減っていた。
斎藤はその不満なのかと思ったのだ。
「いえ……それでも構いません。その時に連れて行って欲しい場所があるんです。酒屋さんに……」
「酒屋。なんだ自分の酒を買う場所を知りたいのか」
「ち、違いますよっ!斎藤さんが伊東さんと出て行った時に私が居る場所を探したくて……」
「屯所から出るというのか」
コクリ……夢主は大きく頷いた。
「伊東さんか」
「はぃ……先程お見かけした姿はなんて言うか……お美しかったです。土方さんとは違った美しさ……」
二人の男を美しいと言い切った夢主は、斎藤の目の前で変な事を言ってしまったと恥ずかしさを感じて頬を染めた。
「すみません、変な意味じゃないんです、もっと裏表を感じさせる人だと思っていたので、狐みたいに……伊東さんとても穏やかなお顔立ちで驚きました」
「まぁあれが作り笑顔かどうかはこれから分かるだろう。内心は測れんさ」
「はぃ」
夢主は自分の存在が斎藤の身の振りに影響が出まいかと不安で堪らなかった。
その不安がひしひしと伝わる斎藤は、気にするなと労わりの言葉を掛けた。
「安心しろ、どうせ俺は疑いの目からしか人を見ない。お前がいようが、いまいが変わらなかったさ」
「本当ですか……」
「あぁ」
斎藤はわざとニッと卑しげな歪んだ笑顔を作り夢主を和ませた。
この人らしいと思ってしまった夢主はクスリと小さく笑い、斎藤を安心させた。
「このお話、色々複雑で……」
「構わんさ。話したいなら気が済むまで話せばよいが、迷うなら止めたっていい」
「ありがとうございます……あの、気になることがあって、伊東さんが藤堂さんから私の話を聞いたっておっしゃっていたんです……」
「そうか」
「どこまで藤堂さんが話されたのか気になって」
「確認しておこう。ただ江戸から戻っていないんだよ。土方さんに相談するが、お前も念の為伊東さんには気をつけろ」
「はぃ……わかりました」
夢主も知らなかった。藤堂が翌年の五月まで京に戻らないことを。
そしてその前に土方と斎藤が江戸に向かうことも。
「他に何かして欲しいことは無いか」
「して欲しいこと……私を、町に連れ出してください」
突然だな……と斎藤は怪訝に思いながら理由を訊ねた。
「何故だ。湯屋の行き来では足りんか。確かに最近減ってはいるな」
皆忙しく夢主が湯屋に行く回数は当初の半数以下に減っていた。
斎藤はその不満なのかと思ったのだ。
「いえ……それでも構いません。その時に連れて行って欲しい場所があるんです。酒屋さんに……」
「酒屋。なんだ自分の酒を買う場所を知りたいのか」
「ち、違いますよっ!斎藤さんが伊東さんと出て行った時に私が居る場所を探したくて……」
「屯所から出るというのか」
コクリ……夢主は大きく頷いた。