60.恋文
夢主名前設定
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「斎藤さんは……やっぱり頂きますよね……」
「面倒臭い、受け取らん」
夢主がちらりと見ると、一瞬言いよどんで見えた。
「あははっ、斎藤さん怖い顔で睨みつけますからねっ、さすがに躊躇しちゃうみたいですよ。結構人気あるのに勿体無いなぁ~」
沖田はニヤリと斎藤を揶揄った。
実際に斎藤は避わすのが上手く、近付いてきた娘が傍で立ち止まるきっかけを与えない。
「関わらぬほうが女達にも良かろう」
フンと斎藤は澄ました顔で言い捨てた。
いちいち相手にしている沖田や土方、他の幹部達とは違うと顔で語っている。
夢主はついつい、へぇ……といった顔で斎藤を眺めてしまった。
「なんだ」
「いえっ、別に……」
そう言いながら、夢主はにこにこと微笑んでいた。
受け取らないんだ……斎藤の行動を心の中で喜ぶ自分がいる。
「夢主ちゃんも町を歩くようになれば沢山袖に溜まっちゃいますよ~!あっ、僕が近寄らせませんけどね、あははっ」
沖田は抜刀するふりを見せた。
たまに笑えない冗談を聞かせてくれる。
「僕が大切に取っているのは夢主ちゃんの書いた恋文だけですから」
「えっ!ご、誤解ですよ、大坂に送った手紙ですよね、もぉっ!違うって言いましたよねっ!」
「えーー恋の歌ですからぁ」
沖田はにやにやと夢主の顔を覗き見た。
斎藤も鼻で笑っている。斎藤も夢主の文だけは手元に置いていた。
「フッ、文か」
斎藤は文がどうしたと気にしない素振りで目を伏せた。
「そんなに言うなら私にも書いて下さいっ。それを皆に見せちゃいますから」
「えーー、いいですよぉ~。書きますよ、それに見せてもいいですよ、僕は大歓迎です」
「えぇっ」
断られると踏んでいた夢主は慌てた。
本気ですかと仰け反り、大袈裟に沖田を見据えた。
「じょ、冗談ですよ、いりませんから沖田さんっ」
「ふふっ、早速書いてこよぉっと」
「あっ!」
素早く立ち上がって部屋を出る沖田を夢主は急いで追いかけた。
「待ってください、沖田さんっ!」
「フン……」
笑いながら歩く沖田を追って部屋を出た夢主を、斎藤は横目に入れて小さく笑い、それからふと部屋の奥を見て腰を上げた。
自室に戻った沖田は早速筆を手にしていた。
「もぉっ、本当に大丈夫ですから……やめてください……」
「おやっ、夢主ちゃん待ちきれないんですか」
引き止めに来た夢主に冗談を言いながらも、沖田は手を止めなかった。
「もっ、違います……いいです、もう。お部屋、戻りますね」
このままでは本当に待ち侘びているようではないか。
夢主は口を尖らせ、不貞腐れとも照れ笑いとも取れる顔で立ち上がった。
もう知りませんと沖田に背を向ける。
「文は斎藤さんの部屋までお持ちしますね」
悪びれもせず笑う沖田を置いて、夢主は部屋を出て行った。
沖田は少し動かした筆を止め、何を書こうかと首を傾げた。
「面倒臭い、受け取らん」
夢主がちらりと見ると、一瞬言いよどんで見えた。
「あははっ、斎藤さん怖い顔で睨みつけますからねっ、さすがに躊躇しちゃうみたいですよ。結構人気あるのに勿体無いなぁ~」
沖田はニヤリと斎藤を揶揄った。
実際に斎藤は避わすのが上手く、近付いてきた娘が傍で立ち止まるきっかけを与えない。
「関わらぬほうが女達にも良かろう」
フンと斎藤は澄ました顔で言い捨てた。
いちいち相手にしている沖田や土方、他の幹部達とは違うと顔で語っている。
夢主はついつい、へぇ……といった顔で斎藤を眺めてしまった。
「なんだ」
「いえっ、別に……」
そう言いながら、夢主はにこにこと微笑んでいた。
受け取らないんだ……斎藤の行動を心の中で喜ぶ自分がいる。
「夢主ちゃんも町を歩くようになれば沢山袖に溜まっちゃいますよ~!あっ、僕が近寄らせませんけどね、あははっ」
沖田は抜刀するふりを見せた。
たまに笑えない冗談を聞かせてくれる。
「僕が大切に取っているのは夢主ちゃんの書いた恋文だけですから」
「えっ!ご、誤解ですよ、大坂に送った手紙ですよね、もぉっ!違うって言いましたよねっ!」
「えーー恋の歌ですからぁ」
沖田はにやにやと夢主の顔を覗き見た。
斎藤も鼻で笑っている。斎藤も夢主の文だけは手元に置いていた。
「フッ、文か」
斎藤は文がどうしたと気にしない素振りで目を伏せた。
「そんなに言うなら私にも書いて下さいっ。それを皆に見せちゃいますから」
「えーー、いいですよぉ~。書きますよ、それに見せてもいいですよ、僕は大歓迎です」
「えぇっ」
断られると踏んでいた夢主は慌てた。
本気ですかと仰け反り、大袈裟に沖田を見据えた。
「じょ、冗談ですよ、いりませんから沖田さんっ」
「ふふっ、早速書いてこよぉっと」
「あっ!」
素早く立ち上がって部屋を出る沖田を夢主は急いで追いかけた。
「待ってください、沖田さんっ!」
「フン……」
笑いながら歩く沖田を追って部屋を出た夢主を、斎藤は横目に入れて小さく笑い、それからふと部屋の奥を見て腰を上げた。
自室に戻った沖田は早速筆を手にしていた。
「もぉっ、本当に大丈夫ですから……やめてください……」
「おやっ、夢主ちゃん待ちきれないんですか」
引き止めに来た夢主に冗談を言いながらも、沖田は手を止めなかった。
「もっ、違います……いいです、もう。お部屋、戻りますね」
このままでは本当に待ち侘びているようではないか。
夢主は口を尖らせ、不貞腐れとも照れ笑いとも取れる顔で立ち上がった。
もう知りませんと沖田に背を向ける。
「文は斎藤さんの部屋までお持ちしますね」
悪びれもせず笑う沖田を置いて、夢主は部屋を出て行った。
沖田は少し動かした筆を止め、何を書こうかと首を傾げた。