60.恋文
夢主名前設定
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「ふん、そいつはぁ……言ってみれば恋文だなぁ……」
土方は目を細めて手紙の束を横目に入れ、しみじみと呟いた。
「えっ、恋文ですかっ?!ひ、土方さんが……」
「貰ったもんだよ!俺はそんなせせこましぃもん書かねぇよ。女共が次々と渡して来るんだ」
「土方さん、凄ぃ……凄い数ですね……」
夢主も土方のように、しみじみと呟いた。
新選組の皆は町では後ろ指を差される一方、一部の者達は京の娘達に人気があると聞いていた。
噂は本当らしい。
「モテてもてて仕方ねぇし、捨てるのも悪いからなぁ。手紙と一緒に郷に送ってやろうと思ってな」
そう言って嬉しそうに悪戯な顔をした。
無邪気な笑顔を前に、夢主にも笑顔が浮かぶ。
「きっとみなさん笑ってくれますよ」
「そうか、笑うかっ」
楽しくやっていると伝わればいいと、土方は笑った。
「また茶淹れてくれよ、小姓のやつらも気は効くが、女に淹れてもらう方がありがたい」
「もぉっ!」
「はははっ、悪ぃな!」
土方は悪餓鬼のように開き直った笑顔で夢主が出て行くのを見送った。
斎藤の部屋に戻ると、既にふたりとも茶を飲み干していた。
「土方さんに礼でも言われたか、やけに嬉しそうだな」
「えっ、そうでしょうかっ。土方さんがご機嫌だったので私もつい……」
「へぇ~土方さんがご機嫌。まぁ夢主ちゃんの前だからでしょうねぇ」
「そんな」
夢主は苦笑いで腰を下ろした。盆を持ったままだ。
土方は常々隊士の前では冷静を保ち、感情を露にしないよう務めている。
それ故、試衛館からの仲間には無愛想だの無表情だの揶揄されることもあるが、土方も夢主の前では表情を崩すのだ。
「ははっ、そんなことありますよっ。所で夢主ちゃんの分のお茶が欲しいですね。僕淹れて来ましょうか」
「大丈夫ですよ、今は特に……」
にこと笑うと、沖田は浮かした腰を再び下ろした。
夢主の為に動きたい沖田はやや不満そうだ。
「そうですか。……土方さんと何話したんですか」
「お手紙……土方さんのお手紙のお話ですっ、ふふっ」
楽しそうに言って盆で口を隠す夢主、斎藤も沖田も土方の手紙がどうしたと首を捻った。
「恋文、嬉しそうに積んでました……ふふっ」
言っていいものか迷うが、隠す様子が無かった土方を思い出し、嬉しそうに口にした。
「はぁー恋文ですか!確かに土方さんは山ほど貰っているみたいですからね~」
「沖田さんは貰わないのですか」
沖田も人気があったはずだ。
土方に負けていないのではないか。
「あははっ、まぁ無くはないですけど……ね」
困ったように笑って夢主を見たのは、もちろん相手にする気がない娘達からの恋文だからだ。
一番欲しい相手に訊ねられてはやるせない。
「みなさんどうやって受け取るんですか、私見たことありませんけど……」
「まぁ、巡察中に羽織の袖口に入れて来る娘もいれば、大胆に懐に入れてくる娘もいますね、はは……あとは屯所に届ける人もいますねぇ……門番の人がたまに届けてくれますよ」
「へぇ……」
やはり多くの恋文を夢主が知らぬ間に受け取っているらしい。
これまで届いた恋文を色々思い出しているようだ。
土方は目を細めて手紙の束を横目に入れ、しみじみと呟いた。
「えっ、恋文ですかっ?!ひ、土方さんが……」
「貰ったもんだよ!俺はそんなせせこましぃもん書かねぇよ。女共が次々と渡して来るんだ」
「土方さん、凄ぃ……凄い数ですね……」
夢主も土方のように、しみじみと呟いた。
新選組の皆は町では後ろ指を差される一方、一部の者達は京の娘達に人気があると聞いていた。
噂は本当らしい。
「モテてもてて仕方ねぇし、捨てるのも悪いからなぁ。手紙と一緒に郷に送ってやろうと思ってな」
そう言って嬉しそうに悪戯な顔をした。
無邪気な笑顔を前に、夢主にも笑顔が浮かぶ。
「きっとみなさん笑ってくれますよ」
「そうか、笑うかっ」
楽しくやっていると伝わればいいと、土方は笑った。
「また茶淹れてくれよ、小姓のやつらも気は効くが、女に淹れてもらう方がありがたい」
「もぉっ!」
「はははっ、悪ぃな!」
土方は悪餓鬼のように開き直った笑顔で夢主が出て行くのを見送った。
斎藤の部屋に戻ると、既にふたりとも茶を飲み干していた。
「土方さんに礼でも言われたか、やけに嬉しそうだな」
「えっ、そうでしょうかっ。土方さんがご機嫌だったので私もつい……」
「へぇ~土方さんがご機嫌。まぁ夢主ちゃんの前だからでしょうねぇ」
「そんな」
夢主は苦笑いで腰を下ろした。盆を持ったままだ。
土方は常々隊士の前では冷静を保ち、感情を露にしないよう務めている。
それ故、試衛館からの仲間には無愛想だの無表情だの揶揄されることもあるが、土方も夢主の前では表情を崩すのだ。
「ははっ、そんなことありますよっ。所で夢主ちゃんの分のお茶が欲しいですね。僕淹れて来ましょうか」
「大丈夫ですよ、今は特に……」
にこと笑うと、沖田は浮かした腰を再び下ろした。
夢主の為に動きたい沖田はやや不満そうだ。
「そうですか。……土方さんと何話したんですか」
「お手紙……土方さんのお手紙のお話ですっ、ふふっ」
楽しそうに言って盆で口を隠す夢主、斎藤も沖田も土方の手紙がどうしたと首を捻った。
「恋文、嬉しそうに積んでました……ふふっ」
言っていいものか迷うが、隠す様子が無かった土方を思い出し、嬉しそうに口にした。
「はぁー恋文ですか!確かに土方さんは山ほど貰っているみたいですからね~」
「沖田さんは貰わないのですか」
沖田も人気があったはずだ。
土方に負けていないのではないか。
「あははっ、まぁ無くはないですけど……ね」
困ったように笑って夢主を見たのは、もちろん相手にする気がない娘達からの恋文だからだ。
一番欲しい相手に訊ねられてはやるせない。
「みなさんどうやって受け取るんですか、私見たことありませんけど……」
「まぁ、巡察中に羽織の袖口に入れて来る娘もいれば、大胆に懐に入れてくる娘もいますね、はは……あとは屯所に届ける人もいますねぇ……門番の人がたまに届けてくれますよ」
「へぇ……」
やはり多くの恋文を夢主が知らぬ間に受け取っているらしい。
これまで届いた恋文を色々思い出しているようだ。