59.物は試し
夢主名前設定
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「あぁ待っていたぞ、藤堂君。話がしたいというのは夢主だ、悪いな俺じゃない」
「夢主が……いいけど、どうした、土産でも欲しいのかっ」
藤堂は爽やかに笑いながら夢主の前に胡坐を掻いた。
何の疑いもなく真っ直ぐな笑顔で、呼び出された理由を訊ねる。
「いえっ、お土産なんて……あの……」
「んっ?」
「……特にその……なんて言うか……。近藤さんのこと、お好きですか……」
言葉に詰まって飛び出した問いに斎藤も藤堂も驚いた。
「なんだよ急に、そりゃぁ好きに決まってるだろう!土方さんも総司も、斎藤君だってお前のことだって、みんな大好きだよっ」
当たり前だと満面の笑みで素直に応える藤堂に、夢主は微笑み返す。
「ありがとうございます……そうですよね……仲間ですもんね、みんな……」
「あぁ、そうだ、仲間だ!」
それ以上、隊士募集に関する話は出来ず、江戸の話や他愛のない話を幾らかして、藤堂は屯所に戻っていった。
「私も江戸に行ってみたいなぁ……」
もし戦が始まり新選組の元を離れたら、江戸で斎藤を待とう……
そう考える夢主は行ってみたいと漏らした。
「江戸か。フン、いつか連れて行ってやるよ」
隊務のついで、という話なのか。
深い意味は無さそうに告げられたが、夢主はどきりと弾んだ自分の胸に驚いて斎藤を見た。
それに気付いてか、斎藤はニッと笑んで話し続けた。
二人の距離は、手を伸ばせば指先が僅かに触れるほどの距離。
身を乗り出せば、もっと触れられる。
「さて、今日は沖田君もいなくて二人だぜ、どうする。呑んで帰るか」
斎藤は誘うように眉を動かしてにやりとした。
見上げる夢主はびっくりして肩を弾ませた。
「そんなに驚くなよ、誘っただけだろう。帰るのが面倒なら酔ってここに泊まったって構わないんだぜ」
遠まわしに男女の関係を誘われている気がして、急に恥ずかしさを覚えた。
「そっそういう事じゃなくて……」
「ここが嫌なら沖田君も土方さんも、誰も知らない隠れ家に連れて行ってやろうか」
「誰も……」
そんな場所があるのか。
あるとすれば、斎藤が抱える個人的に会津から受けている仕事に関係しているのかもしれない。
行ってしまえば誰の目にも触れず、誰かに遠慮も要らないが、誰にも助けを求められない、二人だけの空間。
「あぁ、誰も知らん。呑んでも乱れてもお構い無しだ」
斎藤は意味深な顔を見せた。
この人に小細工をしても無駄。勇気を出して夢主は訊ねた。
「それはっ……誘っているんでしょうか……」
「そうだ誘ってみたんだよ、悪いか。通じてるじゃないか」
夢主はますます驚いて斎藤の目を見た。
フフッと楽しげに笑う斎藤は綺麗な瞳をして、正気だった。
「夢主が……いいけど、どうした、土産でも欲しいのかっ」
藤堂は爽やかに笑いながら夢主の前に胡坐を掻いた。
何の疑いもなく真っ直ぐな笑顔で、呼び出された理由を訊ねる。
「いえっ、お土産なんて……あの……」
「んっ?」
「……特にその……なんて言うか……。近藤さんのこと、お好きですか……」
言葉に詰まって飛び出した問いに斎藤も藤堂も驚いた。
「なんだよ急に、そりゃぁ好きに決まってるだろう!土方さんも総司も、斎藤君だってお前のことだって、みんな大好きだよっ」
当たり前だと満面の笑みで素直に応える藤堂に、夢主は微笑み返す。
「ありがとうございます……そうですよね……仲間ですもんね、みんな……」
「あぁ、そうだ、仲間だ!」
それ以上、隊士募集に関する話は出来ず、江戸の話や他愛のない話を幾らかして、藤堂は屯所に戻っていった。
「私も江戸に行ってみたいなぁ……」
もし戦が始まり新選組の元を離れたら、江戸で斎藤を待とう……
そう考える夢主は行ってみたいと漏らした。
「江戸か。フン、いつか連れて行ってやるよ」
隊務のついで、という話なのか。
深い意味は無さそうに告げられたが、夢主はどきりと弾んだ自分の胸に驚いて斎藤を見た。
それに気付いてか、斎藤はニッと笑んで話し続けた。
二人の距離は、手を伸ばせば指先が僅かに触れるほどの距離。
身を乗り出せば、もっと触れられる。
「さて、今日は沖田君もいなくて二人だぜ、どうする。呑んで帰るか」
斎藤は誘うように眉を動かしてにやりとした。
見上げる夢主はびっくりして肩を弾ませた。
「そんなに驚くなよ、誘っただけだろう。帰るのが面倒なら酔ってここに泊まったって構わないんだぜ」
遠まわしに男女の関係を誘われている気がして、急に恥ずかしさを覚えた。
「そっそういう事じゃなくて……」
「ここが嫌なら沖田君も土方さんも、誰も知らない隠れ家に連れて行ってやろうか」
「誰も……」
そんな場所があるのか。
あるとすれば、斎藤が抱える個人的に会津から受けている仕事に関係しているのかもしれない。
行ってしまえば誰の目にも触れず、誰かに遠慮も要らないが、誰にも助けを求められない、二人だけの空間。
「あぁ、誰も知らん。呑んでも乱れてもお構い無しだ」
斎藤は意味深な顔を見せた。
この人に小細工をしても無駄。勇気を出して夢主は訊ねた。
「それはっ……誘っているんでしょうか……」
「そうだ誘ってみたんだよ、悪いか。通じてるじゃないか」
夢主はますます驚いて斎藤の目を見た。
フフッと楽しげに笑う斎藤は綺麗な瞳をして、正気だった。