55.守り人
夢主名前設定
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「ただいま~遅くなりましたっ、あはは」
「おかえりなさい」
「ふふっ、僕考えたんですけどねっ」
「なんでしょう……」
爽やかな笑顔で沖田は戻ってきた。
戻るなり得意顔で元の場所に腰を下ろし、にこっと大きく顔を傾けた。
「あの艶やかな夢主ちゃんの姿……次はきっと花嫁衣裳を着せてあげますよっ!あの紅で……きっと美しいですよ……」
うっとりするように語る沖田に驚いて、夢主は止めに入った。
「沖田さんてばっ!!はっ、話が飛びすぎですよっ!!私はそんなっ……そんな気はありませんしっ……」
いつかはそんな日が来れば……
淡く夢見てはいるが、誰かと夫婦になるなんて今は考えも及ばない。
そして沖田と結ばれることはきっと無い……
はっきり告げたいが、斎藤を前にして言えば沖田の誇りに傷がついてしまうのではと、言い出せない。
元気な姿につい忘れてしまうが、病に立ち向かっている沖田。その気持ちを折るような気がして明言出来なかった。
「前にも……お断りしましたし……」
そう小さく呟くのが精一杯だった。
「ははっ、構わないですよっ、いつかその日が来るかもしれませんし、諦めませんよ」
「そぅですか……」
ははっと夢主は苦笑いで応えるしかなかった。
斎藤は沖田の戯言と思いつつ、夢主に花嫁衣裳か……と感慨深く考えていた。
……もし、いつの日か……結ばれる日が来たとして、俺は花嫁衣裳を着せてやれるだろうか……まともな生活を送れる気がしないな、呑気な祝言など挙げられるものか……
「フッ……」
自分の甲斐性の無さを思い嘲笑った。
そんな斎藤の心根を察したのか、沖田は斎藤を見やると言葉を付け足した。
「例え相手が僕でなくたって……夢主ちゃんを着飾ってあげる。素敵な花嫁衣裳を着せてあげるよ。僕の紅で彩ってねっ」
冗談のようにおどけて言うが、心からの想いだった。
手が届かなくとも押し通したい我が儘。
……もしその相手が目の前にいる斎藤さんならば……夢主ちゃんが貴方を選ぶのならば、それでも僕は構わない……
「斎藤さんの柄じゃないでしょ」
沖田は斎藤にしか届かない声で呟いた。
「えっ?」
夢主が聞き返すが、沖田は笑顔で「何でもないよ」と返すだけ。
「フン……」
いらぬ気遣いと思うが、実直過ぎる想いを無下に出来ない斎藤だった。
「おかえりなさい」
「ふふっ、僕考えたんですけどねっ」
「なんでしょう……」
爽やかな笑顔で沖田は戻ってきた。
戻るなり得意顔で元の場所に腰を下ろし、にこっと大きく顔を傾けた。
「あの艶やかな夢主ちゃんの姿……次はきっと花嫁衣裳を着せてあげますよっ!あの紅で……きっと美しいですよ……」
うっとりするように語る沖田に驚いて、夢主は止めに入った。
「沖田さんてばっ!!はっ、話が飛びすぎですよっ!!私はそんなっ……そんな気はありませんしっ……」
いつかはそんな日が来れば……
淡く夢見てはいるが、誰かと夫婦になるなんて今は考えも及ばない。
そして沖田と結ばれることはきっと無い……
はっきり告げたいが、斎藤を前にして言えば沖田の誇りに傷がついてしまうのではと、言い出せない。
元気な姿につい忘れてしまうが、病に立ち向かっている沖田。その気持ちを折るような気がして明言出来なかった。
「前にも……お断りしましたし……」
そう小さく呟くのが精一杯だった。
「ははっ、構わないですよっ、いつかその日が来るかもしれませんし、諦めませんよ」
「そぅですか……」
ははっと夢主は苦笑いで応えるしかなかった。
斎藤は沖田の戯言と思いつつ、夢主に花嫁衣裳か……と感慨深く考えていた。
……もし、いつの日か……結ばれる日が来たとして、俺は花嫁衣裳を着せてやれるだろうか……まともな生活を送れる気がしないな、呑気な祝言など挙げられるものか……
「フッ……」
自分の甲斐性の無さを思い嘲笑った。
そんな斎藤の心根を察したのか、沖田は斎藤を見やると言葉を付け足した。
「例え相手が僕でなくたって……夢主ちゃんを着飾ってあげる。素敵な花嫁衣裳を着せてあげるよ。僕の紅で彩ってねっ」
冗談のようにおどけて言うが、心からの想いだった。
手が届かなくとも押し通したい我が儘。
……もしその相手が目の前にいる斎藤さんならば……夢主ちゃんが貴方を選ぶのならば、それでも僕は構わない……
「斎藤さんの柄じゃないでしょ」
沖田は斎藤にしか届かない声で呟いた。
「えっ?」
夢主が聞き返すが、沖田は笑顔で「何でもないよ」と返すだけ。
「フン……」
いらぬ気遣いと思うが、実直過ぎる想いを無下に出来ない斎藤だった。