54.謹慎の最中
夢主名前設定
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日が屯所の屋根の真上まで昇った頃、厠に目を覚ましたのは夢主だった。
「わっ……」
目を開いて見えたのは、寝巻がはだけて覗く斎藤の逞しい胸板だった。
暑さで肌がしっとりして見える。
視線を上に動かすと、斎藤はまだ瞼を閉じていた。
決して長くはないが艶やかな濃い睫が、いつもの鋭い瞳をしっかりと覆っている。
夢主は二人を起こさぬよう、そっと立ち上がって部屋を抜け出した。
夢主が動くと同時に音もなく目を開いた斎藤は体を起こし、厠へ急いだ姿を声を潜めて笑った。
「ん~~おはよぅございます……あれ?夢主ちゃんは……」
「厠だ」
「ははっ、そうですか」
沖田は半分閉じた目で会話をすると、すっかり安心しきって手離していた刀を手元に手繰り寄せた。
夢主は用を済ませ、部屋に戻る途中にいた。
廊下を行くと、物陰でごそごそと動く気配を感じる。
猫などの小さな動物にしては様子がおかしい。夢主はひそひそ囁く暑苦しい声を聞いた。
「なんだろう……隊士の……方……?」
そんな物陰で何をしているのだろう。
不思議に思い僅かに近寄り、覗こうと首を伸ばした。
「ひっ?!!!」
そこで目にしたものを理解出来ず、夢主は慌てて斎藤の部屋へ駆け戻った。
「いっ、いっ、今っ、」
「どうした夢主。落ち着け」
「厠に何か出ましたか」
慌てて戻るなり外を指差して、何かを伝えようとする夢主。口をぱくぱく動かして混乱している。
斎藤達は落ち着かせようと夢主を座らせた。
「かっ、厠じゃなくてっ、今っそこで……おっ……おとっ……」
「音?不審な音でもしましたか」
沖田は目覚めた顔にすっと変わり、侵入者ですかと刀を持って腰を上げた。
「いえっ、男の……男の人同士でっ……そのっ……」
夢主は耳まで赤くして、見たものを言葉で表せず、目を回しそうになっている。
見間違いではないか、いや、確かにこの目で見た。
見た光景を受け止めきれずにいる。
「あっもしかして……」
沖田は座り直すと苦笑いで夢主の顔を見た。
二人は何を目撃したか理解し、剣気を消して緊張を解いた。
「衆道か」
「しゅ……っ?」
夢主は未だ理解できずに斎藤の言葉に首を傾げると、沖田が笑いながら説明を足した。
「あははっ、なんか少し前から流行っているみたいなんですよ、新選組 の中でも……近藤さんも困ったって手紙にまで書いてましたからね」
「流行ってるって……」
「男同士でくっついてたんだろ、女を買えない平隊士の間で流行っているそうだ。阿呆どもが慰め合ってるんだよ」
「ぇぇえっっっ?!!!」
驚きの余り両手で顔を覆って叫ぶ夢主に沖田は大笑いし、斎藤もクククと笑った。
「わっ……」
目を開いて見えたのは、寝巻がはだけて覗く斎藤の逞しい胸板だった。
暑さで肌がしっとりして見える。
視線を上に動かすと、斎藤はまだ瞼を閉じていた。
決して長くはないが艶やかな濃い睫が、いつもの鋭い瞳をしっかりと覆っている。
夢主は二人を起こさぬよう、そっと立ち上がって部屋を抜け出した。
夢主が動くと同時に音もなく目を開いた斎藤は体を起こし、厠へ急いだ姿を声を潜めて笑った。
「ん~~おはよぅございます……あれ?夢主ちゃんは……」
「厠だ」
「ははっ、そうですか」
沖田は半分閉じた目で会話をすると、すっかり安心しきって手離していた刀を手元に手繰り寄せた。
夢主は用を済ませ、部屋に戻る途中にいた。
廊下を行くと、物陰でごそごそと動く気配を感じる。
猫などの小さな動物にしては様子がおかしい。夢主はひそひそ囁く暑苦しい声を聞いた。
「なんだろう……隊士の……方……?」
そんな物陰で何をしているのだろう。
不思議に思い僅かに近寄り、覗こうと首を伸ばした。
「ひっ?!!!」
そこで目にしたものを理解出来ず、夢主は慌てて斎藤の部屋へ駆け戻った。
「いっ、いっ、今っ、」
「どうした夢主。落ち着け」
「厠に何か出ましたか」
慌てて戻るなり外を指差して、何かを伝えようとする夢主。口をぱくぱく動かして混乱している。
斎藤達は落ち着かせようと夢主を座らせた。
「かっ、厠じゃなくてっ、今っそこで……おっ……おとっ……」
「音?不審な音でもしましたか」
沖田は目覚めた顔にすっと変わり、侵入者ですかと刀を持って腰を上げた。
「いえっ、男の……男の人同士でっ……そのっ……」
夢主は耳まで赤くして、見たものを言葉で表せず、目を回しそうになっている。
見間違いではないか、いや、確かにこの目で見た。
見た光景を受け止めきれずにいる。
「あっもしかして……」
沖田は座り直すと苦笑いで夢主の顔を見た。
二人は何を目撃したか理解し、剣気を消して緊張を解いた。
「衆道か」
「しゅ……っ?」
夢主は未だ理解できずに斎藤の言葉に首を傾げると、沖田が笑いながら説明を足した。
「あははっ、なんか少し前から流行っているみたいなんですよ、
「流行ってるって……」
「男同士でくっついてたんだろ、女を買えない平隊士の間で流行っているそうだ。阿呆どもが慰め合ってるんだよ」
「ぇぇえっっっ?!!!」
驚きの余り両手で顔を覆って叫ぶ夢主に沖田は大笑いし、斎藤もクククと笑った。