53.切ない三人夜
夢主名前設定
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「なーにーしーてーるんですかぁ~~」
硬い音の元を振り返ると、刀を抱えた沖田が鯉口を切って立っていた。
凄んだ目で微笑む姿はいつもの愛くるしい笑顔とは程遠い。
「あぁぁっ、沖田さんっ、だ、大丈夫ですっ、そのっ……」
夢主は自分から斎藤に抱きついたとは言えなかった。
斎藤は夢主をかばい、沖田の責めを受けて悪態をついた。
「フン、すまんな、ついだ。気にするな」
「もーーー貴方と言う人は!今さっき色々と話したばかりなのに!!決めましたっ、夜はこれからもずーーっと斎藤さんの部屋で寝ますからねっ!」
「何を勝手なっ」
流石に斎藤も嫌がって眉間に皺を寄せた。
今夜だけだと思い了承したのだ。毎夜では話が違う。
「安心して下さいっ、寝る時だけですよ。そうすれば二人とも安心でしょう、朝はどうせ稽古もあるし、着替えに戻りますから。昼の間まで斎藤さんの傍にいたくありませんから!」
沖田は斎藤に挑発的な表情を見せて刀から手を引いた。
部屋に入ると布団を手早く広げ、笑顔で夢主を誘う。
「夢主ちゃ~~ん、お布団広げましたよっ!さぁどうぞっ!」
「あぁっ、はいっ……えっと着替えが……」
「あ……」
自室で着替えてきた沖田以外、夢主も斎藤もまだ寝巻姿ではない。
「あははっ急ぎすぎちゃったかなっ」
沖田は自分を笑い、斎藤を外に連れ出そうと背中を押した。
「じゃぁ終わったら声かけてねっ」
「急ぐことはない」
夢主に言い、男二人は着替えを待つ為に外に出た。
障子を閉めると一気に静寂が広がる。
部屋の中から微かに聞こえる衣擦れの音で、夢主が着替え始めたのが分かった。
「ふふん、斎藤さんがこんなに手が早いとは思いませんでした。自重すると思ってたんですけど」
「フン、うるさいな」
沖田は並んで立つ斎藤を見遣ると小さな声で揶揄った。
斎藤は顔を逸らして腕を組み、月を見上げた。つられて沖田も顔を空に向ける。清々しい夜空が広がっている。
「…………夢主ちゃんから……ですか」
「……あぁ」
「そう……ですか……そうですよね、ははっ……」
「だが助かった、すまないな。俺も情けないぜ」
甘えてきたのは夢主から。だが、弱々しい笑顔に咄嗟に体が動いてしまったのは事実。
斎藤と沖田は月を見上げ、別々に呟くよう話をしている。まるで月を相手に話しているようだ。
「そうなりたくないって……言ってたんだ……夢主ちゃん。だから、いいですよね……僕がお邪魔しても……」
切なそうに声を殺す沖田に、斎藤も小さな声で返した。
「あぁ。すまんな……」
「いいぇっ」
沖田は前髪で顔を隠すように俯いた。
硬い音の元を振り返ると、刀を抱えた沖田が鯉口を切って立っていた。
凄んだ目で微笑む姿はいつもの愛くるしい笑顔とは程遠い。
「あぁぁっ、沖田さんっ、だ、大丈夫ですっ、そのっ……」
夢主は自分から斎藤に抱きついたとは言えなかった。
斎藤は夢主をかばい、沖田の責めを受けて悪態をついた。
「フン、すまんな、ついだ。気にするな」
「もーーー貴方と言う人は!今さっき色々と話したばかりなのに!!決めましたっ、夜はこれからもずーーっと斎藤さんの部屋で寝ますからねっ!」
「何を勝手なっ」
流石に斎藤も嫌がって眉間に皺を寄せた。
今夜だけだと思い了承したのだ。毎夜では話が違う。
「安心して下さいっ、寝る時だけですよ。そうすれば二人とも安心でしょう、朝はどうせ稽古もあるし、着替えに戻りますから。昼の間まで斎藤さんの傍にいたくありませんから!」
沖田は斎藤に挑発的な表情を見せて刀から手を引いた。
部屋に入ると布団を手早く広げ、笑顔で夢主を誘う。
「夢主ちゃ~~ん、お布団広げましたよっ!さぁどうぞっ!」
「あぁっ、はいっ……えっと着替えが……」
「あ……」
自室で着替えてきた沖田以外、夢主も斎藤もまだ寝巻姿ではない。
「あははっ急ぎすぎちゃったかなっ」
沖田は自分を笑い、斎藤を外に連れ出そうと背中を押した。
「じゃぁ終わったら声かけてねっ」
「急ぐことはない」
夢主に言い、男二人は着替えを待つ為に外に出た。
障子を閉めると一気に静寂が広がる。
部屋の中から微かに聞こえる衣擦れの音で、夢主が着替え始めたのが分かった。
「ふふん、斎藤さんがこんなに手が早いとは思いませんでした。自重すると思ってたんですけど」
「フン、うるさいな」
沖田は並んで立つ斎藤を見遣ると小さな声で揶揄った。
斎藤は顔を逸らして腕を組み、月を見上げた。つられて沖田も顔を空に向ける。清々しい夜空が広がっている。
「…………夢主ちゃんから……ですか」
「……あぁ」
「そう……ですか……そうですよね、ははっ……」
「だが助かった、すまないな。俺も情けないぜ」
甘えてきたのは夢主から。だが、弱々しい笑顔に咄嗟に体が動いてしまったのは事実。
斎藤と沖田は月を見上げ、別々に呟くよう話をしている。まるで月を相手に話しているようだ。
「そうなりたくないって……言ってたんだ……夢主ちゃん。だから、いいですよね……僕がお邪魔しても……」
切なそうに声を殺す沖田に、斎藤も小さな声で返した。
「あぁ。すまんな……」
「いいぇっ」
沖田は前髪で顔を隠すように俯いた。