53.切ない三人夜
夢主名前設定
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「ぁ……ありがとうございます……」
沖田の優しい言葉に返事をするが、その意味を考えてしまい斎藤を見上げた。
また斎藤のいない夜が始めるのか。
「そんなにいて欲しいか」
フッと鼻をならして笑う斎藤だが、どこか切なげだ。
同じ過ちを繰り返してはいけない。こいつにあの日のような顔をさせるのはご免だ。
自らに言い聞かせるが、自制しきる自信が、確信が持てずにいた。
「どうしても……お辛い時は……」
夢主は以前告げたことを再び伝えようとした。辛過ぎる夜は、どこかで憂さを晴らしてもらうしかないのだから。
最後まで伝えられなかったが、斎藤は汲み取ってくれたはず。夢主は目を伏せた。
「ふふっ、元気出して、夢主ちゃんっ」
「わっ!!ちょっ……沖田さんっ!!」
「ふふっ、ぎゅーーっとしてあげます。淋しさも飛んでいきますよ」
「もっ、もぅ大丈夫ですっ!!」
突然沖田に座ったまま抱きしめられた。
しっかり回った腕。夢主は離してもらおうと、僅かに動く手で沖田の背中を叩く。
斎藤も驚きで眉をしかめるが、ふざけながら夢主を元気付ける態度を認めて、黙って見守った。
「元気出ましたかっ?」
「はっはぃっ、出ましたっ!出ましたから!」
体を離すと沖田は夢主の両腕を掴んでニコリと笑った。見た目よりも大きな手が細腕に力をくれるようだ。
斎藤の前で抱きしめられ、妙な熱が生まれて顔まで上った。
「じゃぁ、次は斎藤さんの番ですよっ」
「ぇえっ」
沖田は斎藤を振り返り、フフンと笑って夢主から離れた。
慌てる夢主、熱くなった顔が更に火照る。
しかし斎藤の事だ、当然ながら鼻で笑って断るだろう。所が斎藤は渋々だが腰を上げた。
「えっ……」
「やれやれ、元気出せ」
「っ……!」
斎藤の大きな手が伸びてきた。
広い胸板に顔をうずめるように抱きしめられ、耳まで真っ赤に染め上がる。
「さっ、斎藤さんっ」
くぐもった声を漏らすが、体を抱き寄せる力は緩まない。
暑い季節にはうざったいはずの人肌、斎藤の熱い体温が、何故か心地よく感じられる。
速まっていた夢主の胸の鼓動はますます速度を増し、顔も更に熱を持った。
「阿呆ぅ」
耳元でぼそりと囁かれてビクリと顔を上げると、斎藤はニヤと笑って抱きしめる手を緩めた。
どこか切なそうな色を残した斎藤の瞳に、夢主の胸が激しくざわめく。
「斎藤さん長いですよーっ!もういいでしょう!」
目の前で自分より長く意味ありげに抱きしめる斎藤に、沖田が痺れを切らして声を荒げた。
公平に機会を作ったつもりが、これでは不公平だと頬を膨らませている。
「もう夢主ちゃんの淋しさは埋まりましたよねっ、だから斎藤さん離れてくださいっ!離れないならまた僕が……」
「あぁっ、もう大丈夫ですっ!さ、斎藤さんも、沖田さんも、あぁありがとう、ございますっ、お気遣いを……っ」
また沖田が寄ってくる前にと、夢主は二人に礼を告げて斎藤に離れてもらった。
まだ胸が高鳴り続け、顔の熱も引かない。
だが落ち込んだ心はすっかり晴れていた。優しさと温かさが淋しさを封じ込めてくれた。
……もぅ一度……
改めて腰を下ろす斎藤を見て、もう一度温もりに触れたいと願っていた。
沖田の優しい言葉に返事をするが、その意味を考えてしまい斎藤を見上げた。
また斎藤のいない夜が始めるのか。
「そんなにいて欲しいか」
フッと鼻をならして笑う斎藤だが、どこか切なげだ。
同じ過ちを繰り返してはいけない。こいつにあの日のような顔をさせるのはご免だ。
自らに言い聞かせるが、自制しきる自信が、確信が持てずにいた。
「どうしても……お辛い時は……」
夢主は以前告げたことを再び伝えようとした。辛過ぎる夜は、どこかで憂さを晴らしてもらうしかないのだから。
最後まで伝えられなかったが、斎藤は汲み取ってくれたはず。夢主は目を伏せた。
「ふふっ、元気出して、夢主ちゃんっ」
「わっ!!ちょっ……沖田さんっ!!」
「ふふっ、ぎゅーーっとしてあげます。淋しさも飛んでいきますよ」
「もっ、もぅ大丈夫ですっ!!」
突然沖田に座ったまま抱きしめられた。
しっかり回った腕。夢主は離してもらおうと、僅かに動く手で沖田の背中を叩く。
斎藤も驚きで眉をしかめるが、ふざけながら夢主を元気付ける態度を認めて、黙って見守った。
「元気出ましたかっ?」
「はっはぃっ、出ましたっ!出ましたから!」
体を離すと沖田は夢主の両腕を掴んでニコリと笑った。見た目よりも大きな手が細腕に力をくれるようだ。
斎藤の前で抱きしめられ、妙な熱が生まれて顔まで上った。
「じゃぁ、次は斎藤さんの番ですよっ」
「ぇえっ」
沖田は斎藤を振り返り、フフンと笑って夢主から離れた。
慌てる夢主、熱くなった顔が更に火照る。
しかし斎藤の事だ、当然ながら鼻で笑って断るだろう。所が斎藤は渋々だが腰を上げた。
「えっ……」
「やれやれ、元気出せ」
「っ……!」
斎藤の大きな手が伸びてきた。
広い胸板に顔をうずめるように抱きしめられ、耳まで真っ赤に染め上がる。
「さっ、斎藤さんっ」
くぐもった声を漏らすが、体を抱き寄せる力は緩まない。
暑い季節にはうざったいはずの人肌、斎藤の熱い体温が、何故か心地よく感じられる。
速まっていた夢主の胸の鼓動はますます速度を増し、顔も更に熱を持った。
「阿呆ぅ」
耳元でぼそりと囁かれてビクリと顔を上げると、斎藤はニヤと笑って抱きしめる手を緩めた。
どこか切なそうな色を残した斎藤の瞳に、夢主の胸が激しくざわめく。
「斎藤さん長いですよーっ!もういいでしょう!」
目の前で自分より長く意味ありげに抱きしめる斎藤に、沖田が痺れを切らして声を荒げた。
公平に機会を作ったつもりが、これでは不公平だと頬を膨らませている。
「もう夢主ちゃんの淋しさは埋まりましたよねっ、だから斎藤さん離れてくださいっ!離れないならまた僕が……」
「あぁっ、もう大丈夫ですっ!さ、斎藤さんも、沖田さんも、あぁありがとう、ございますっ、お気遣いを……っ」
また沖田が寄ってくる前にと、夢主は二人に礼を告げて斎藤に離れてもらった。
まだ胸が高鳴り続け、顔の熱も引かない。
だが落ち込んだ心はすっかり晴れていた。優しさと温かさが淋しさを封じ込めてくれた。
……もぅ一度……
改めて腰を下ろす斎藤を見て、もう一度温もりに触れたいと願っていた。