52.仕置きと罰
夢主名前設定
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斎藤の向かいに座る土方。沖田は斎藤の隣に、三人座って暫く沈黙が続いた。
「土方さん、夢主は大丈夫ですか」
「気になるか」
沈黙を破った斎藤の問いに、土方は質問で返した。
「夢主は無事だ。怪我もしちゃいねぇ。あいつがどうして飛び出したと思う」
斎藤も沖田も答えられず、ただ土方を見つめ返した。
答えが出てこない二人を睨みつけていた土方が、溜息を吐いて低い声で答えを告げた。
「斎藤、桔梗屋の相生太夫に会って来たぞ」
「っ」
「えぇっ」
斎藤も沖田も驚きの顔を見せた。
「斎藤。相生太夫に会いたいか。身請けの支度金を用意してやっても構わないぜ」
「土方さん何をっ」
より驚いたのは沖田で、土方に向かって身を乗り出した。
「総司は黙ってろ。どうだ、斎藤。悪い話じゃねぇぞ」
土方は強い視線を外さず、瞬きを止めて斎藤を見ている。
「土方さん、俺を試すのはやめてください。そんな話、真に受ける訳がありません」
「ふっ、そうか……まぁそうだろうな」
土方はふふっと肩を揺らして笑い出した。
通い詰めたのは昔の話、太夫とは何でもない。外での出来事は全て遊びだと分かっている。
夢主を気に掛けている事だって……
それなのに何故そんな揺らいだ行動を取るのか、土方は斎藤を男として笑っていた。
「だがなぁ、太夫はお前の事を待っていたぞ。夢主もだ!!毎晩、毎晩、お前がいない夜ずっと、お前を待ってたんだぞ。見ているこっちが腹立つんだよ!夜番が嫌なら元に戻してやるよ!」
「いえっ、夜番はそのままでお願いします。夜番は気に入っているので」
怒りが籠る土方の話にも、斎藤は落ち着いていた。
自分ひとり興奮しているようで土方は更に腹を立てた。
「夜番になってお前の胸の内はかえって酷くなったんじゃねぇのか。出来るのか、夜番をこなして、あいつの面倒を見ることも」
土方が問う間、沖田は二人の顔を交互に見比べた。
話に入っていけない。
「はい」
斎藤は短く応え、真っ直ぐ土方を睨むように見つめ返した。
「何故夢主と相生太夫に会いに行ったのですか」
何がしたかったのですかと、今度は斎藤が土方を責める声で訊ねた。
「分からねぇのか、斎藤。あいつが飛び出した理由がそれだぜ。気付かねぇのか?お前がいない夜、あいつはお前が太夫の所に通い詰めていたと思ってたんだよ」
「まさかっ」
斎藤は驚きの声を上げて、僅かに見開いた目で土方を見た。
「お前がそこまで鈍いとはな。女に関しては総司と変わらねぇじゃねぇか」
「一緒にしないで下さいよ、土方さん。僕だって夢主ちゃんの不安くらい……気付いてましたよ。でも、本当の事を伝えたって自分を責めて傷つくかと思って……夢主ちゃん、優しすぎるんだ」
沖田は土方から斎藤に視線を移して言い切った。
確かに普段から斎藤の方が様々な事に敏感だ。それでも夢主の心情に関しては斎藤に負けないくらい気を向けていると思っている。
「夢主……」
沖田にまで夢主に対する意識のなさを責められるとは、斎藤は自分にどれだけ余裕がなかったのかを思い知らされた。
女の気持ちが分からないのではない、夢主が相手だから分からなくなってしまうのだ。
血の滾りなどと高をくくり侮っていた熱に、愚かにも飲み込まれ、色欲と混同してしまった。
未熟な自分のせいだった。
素直に謝罪の言葉が思い浮かんできた。
「すみませんでした。俺が至らなかったばかりに土方さんに迷惑を……お掛けしました」
「土方さん、夢主は大丈夫ですか」
「気になるか」
沈黙を破った斎藤の問いに、土方は質問で返した。
「夢主は無事だ。怪我もしちゃいねぇ。あいつがどうして飛び出したと思う」
斎藤も沖田も答えられず、ただ土方を見つめ返した。
答えが出てこない二人を睨みつけていた土方が、溜息を吐いて低い声で答えを告げた。
「斎藤、桔梗屋の相生太夫に会って来たぞ」
「っ」
「えぇっ」
斎藤も沖田も驚きの顔を見せた。
「斎藤。相生太夫に会いたいか。身請けの支度金を用意してやっても構わないぜ」
「土方さん何をっ」
より驚いたのは沖田で、土方に向かって身を乗り出した。
「総司は黙ってろ。どうだ、斎藤。悪い話じゃねぇぞ」
土方は強い視線を外さず、瞬きを止めて斎藤を見ている。
「土方さん、俺を試すのはやめてください。そんな話、真に受ける訳がありません」
「ふっ、そうか……まぁそうだろうな」
土方はふふっと肩を揺らして笑い出した。
通い詰めたのは昔の話、太夫とは何でもない。外での出来事は全て遊びだと分かっている。
夢主を気に掛けている事だって……
それなのに何故そんな揺らいだ行動を取るのか、土方は斎藤を男として笑っていた。
「だがなぁ、太夫はお前の事を待っていたぞ。夢主もだ!!毎晩、毎晩、お前がいない夜ずっと、お前を待ってたんだぞ。見ているこっちが腹立つんだよ!夜番が嫌なら元に戻してやるよ!」
「いえっ、夜番はそのままでお願いします。夜番は気に入っているので」
怒りが籠る土方の話にも、斎藤は落ち着いていた。
自分ひとり興奮しているようで土方は更に腹を立てた。
「夜番になってお前の胸の内はかえって酷くなったんじゃねぇのか。出来るのか、夜番をこなして、あいつの面倒を見ることも」
土方が問う間、沖田は二人の顔を交互に見比べた。
話に入っていけない。
「はい」
斎藤は短く応え、真っ直ぐ土方を睨むように見つめ返した。
「何故夢主と相生太夫に会いに行ったのですか」
何がしたかったのですかと、今度は斎藤が土方を責める声で訊ねた。
「分からねぇのか、斎藤。あいつが飛び出した理由がそれだぜ。気付かねぇのか?お前がいない夜、あいつはお前が太夫の所に通い詰めていたと思ってたんだよ」
「まさかっ」
斎藤は驚きの声を上げて、僅かに見開いた目で土方を見た。
「お前がそこまで鈍いとはな。女に関しては総司と変わらねぇじゃねぇか」
「一緒にしないで下さいよ、土方さん。僕だって夢主ちゃんの不安くらい……気付いてましたよ。でも、本当の事を伝えたって自分を責めて傷つくかと思って……夢主ちゃん、優しすぎるんだ」
沖田は土方から斎藤に視線を移して言い切った。
確かに普段から斎藤の方が様々な事に敏感だ。それでも夢主の心情に関しては斎藤に負けないくらい気を向けていると思っている。
「夢主……」
沖田にまで夢主に対する意識のなさを責められるとは、斎藤は自分にどれだけ余裕がなかったのかを思い知らされた。
女の気持ちが分からないのではない、夢主が相手だから分からなくなってしまうのだ。
血の滾りなどと高をくくり侮っていた熱に、愚かにも飲み込まれ、色欲と混同してしまった。
未熟な自分のせいだった。
素直に謝罪の言葉が思い浮かんできた。
「すみませんでした。俺が至らなかったばかりに土方さんに迷惑を……お掛けしました」