52.仕置きと罰
夢主名前設定
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土方は揚屋の出口で刀を受け取り、いつも通り腰に差して歩き出した。
その後ろを夢主は黙って歩く。
夜道が恐ろしく、遠くに聞こえる犬の吠え声にさえ、びくりと反応してしまう。
知らず知らずのうちに、土方の傍に寄っていた。
「安心しろ、屯所は近い。何も起きねぇよ」
まるで確信があるかのように土方は夢主を宥めた。安心させるように、自らの体で夢主をかばって夜道を行く。
「土方さんって……」
「……・あんっ?」
「お酒、呑めたんですね」
「あぁっ?」
「土方さんは下戸だと……思ってました……ふふっ」
静かな夜道に夢主の笑い声が響く。
土方はやや呆れ気味に驚いた。
「普段は呑まねぇだけだよ、隊士の前で酔う訳にいかねぇだろ。誰にも隙は見せたくねぇ。芹沢さんの時には、しこたま呑んで……そぅか、お前はいなかったな……」
芹沢粛清の当日、酒をたらふく飲ませる為、土方も珍しく酒に付き合った。
それを言おうとしたが夢主は別室に控えていた事を、この話があまり楽しい話ではない事を思い出した。
土方はまた口を閉じて歩いた。
そして土方の言葉通り、何事も無く京の夜道を通り抜け、屯所へ辿りついた。
ほっとする夢主に、土方は戒めて言い聞かせた。
「分かってるか、お前は脱走したんだぞ。暫く大人しくしていろよ。俺や斎藤達のいう事を良く聞け。……あいつらにはまず俺から話す。暫く俺の部屋で待ってろ」
「はぃ……ご迷惑……お掛けしました」
屯所の外で深く頭を下げ謝罪した。顔を上げると土方は穏やかな目で夢主を見ていた。
「もういい、気にするな」
柔らかい声で許してくれた土方に、夢主は申し訳なさそうな苦笑いを見せた。
何か考えがあるのだろうと、夢主は言われた通り、大人しく土方の部屋に控える事にした。
暗い屯所の中、土方は自分の言いつけ通り、静かに自室で待機する沖田と斎藤のもとへ向かった。
まずは沖田の部屋を訪れた。
起きている気配を察知して障子戸に手を掛ける。
「総司、開けるぞ」
「土方さんっ、夢主ちゃんはっ!!」
部屋に明かりも灯さずに座っていた沖田は、土方の影が見えるなり立ち上がり、障子が開くと飛びこむように詰め寄った。
土方は冷静に沖田を受け止めた。
「落ち着け総司。夢主は今、俺の部屋にいる」
「えっ、何でっ土方さんの部屋にっ……」
誤解しやすい沖田はこの時も先走った考えで土方を見た。
「誤解すんなよ、何もしてねぇよ。まぁお前は言わばとばっちりみたいなもんだな、今回は。面倒だから一緒に来い、斎藤と一緒に叱ってやる」
言葉とは裏腹に優しい声で言うと、沖田の肩をぽんと触ってから、斎藤の部屋に向かった。
「ひ、土方さん……どうしたんですか……」
また怒鳴られると思い込んでいた沖田は意外な温和な対応に驚いた。
落ち着いていた土方だが、斎藤の部屋に近付くにつれ纏う空気が変わり、辿り着くと怖ろしい目つきに変わっていた。
部屋には明かりが灯っている。
「入るぞ……斎藤……」
声も低く凄んでいる。沖田は驚いて背後から土方の様子を窺った。
斎藤は一人正座して待っていた。そして黙って土方に会釈した。
その後ろを夢主は黙って歩く。
夜道が恐ろしく、遠くに聞こえる犬の吠え声にさえ、びくりと反応してしまう。
知らず知らずのうちに、土方の傍に寄っていた。
「安心しろ、屯所は近い。何も起きねぇよ」
まるで確信があるかのように土方は夢主を宥めた。安心させるように、自らの体で夢主をかばって夜道を行く。
「土方さんって……」
「……・あんっ?」
「お酒、呑めたんですね」
「あぁっ?」
「土方さんは下戸だと……思ってました……ふふっ」
静かな夜道に夢主の笑い声が響く。
土方はやや呆れ気味に驚いた。
「普段は呑まねぇだけだよ、隊士の前で酔う訳にいかねぇだろ。誰にも隙は見せたくねぇ。芹沢さんの時には、しこたま呑んで……そぅか、お前はいなかったな……」
芹沢粛清の当日、酒をたらふく飲ませる為、土方も珍しく酒に付き合った。
それを言おうとしたが夢主は別室に控えていた事を、この話があまり楽しい話ではない事を思い出した。
土方はまた口を閉じて歩いた。
そして土方の言葉通り、何事も無く京の夜道を通り抜け、屯所へ辿りついた。
ほっとする夢主に、土方は戒めて言い聞かせた。
「分かってるか、お前は脱走したんだぞ。暫く大人しくしていろよ。俺や斎藤達のいう事を良く聞け。……あいつらにはまず俺から話す。暫く俺の部屋で待ってろ」
「はぃ……ご迷惑……お掛けしました」
屯所の外で深く頭を下げ謝罪した。顔を上げると土方は穏やかな目で夢主を見ていた。
「もういい、気にするな」
柔らかい声で許してくれた土方に、夢主は申し訳なさそうな苦笑いを見せた。
何か考えがあるのだろうと、夢主は言われた通り、大人しく土方の部屋に控える事にした。
暗い屯所の中、土方は自分の言いつけ通り、静かに自室で待機する沖田と斎藤のもとへ向かった。
まずは沖田の部屋を訪れた。
起きている気配を察知して障子戸に手を掛ける。
「総司、開けるぞ」
「土方さんっ、夢主ちゃんはっ!!」
部屋に明かりも灯さずに座っていた沖田は、土方の影が見えるなり立ち上がり、障子が開くと飛びこむように詰め寄った。
土方は冷静に沖田を受け止めた。
「落ち着け総司。夢主は今、俺の部屋にいる」
「えっ、何でっ土方さんの部屋にっ……」
誤解しやすい沖田はこの時も先走った考えで土方を見た。
「誤解すんなよ、何もしてねぇよ。まぁお前は言わばとばっちりみたいなもんだな、今回は。面倒だから一緒に来い、斎藤と一緒に叱ってやる」
言葉とは裏腹に優しい声で言うと、沖田の肩をぽんと触ってから、斎藤の部屋に向かった。
「ひ、土方さん……どうしたんですか……」
また怒鳴られると思い込んでいた沖田は意外な温和な対応に驚いた。
落ち着いていた土方だが、斎藤の部屋に近付くにつれ纏う空気が変わり、辿り着くと怖ろしい目つきに変わっていた。
部屋には明かりが灯っている。
「入るぞ……斎藤……」
声も低く凄んでいる。沖田は驚いて背後から土方の様子を窺った。
斎藤は一人正座して待っていた。そして黙って土方に会釈した。