51.想い違い
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
明くる朝、夢主が目覚めると、着替えを済ませた斎藤の姿が目に入った。自ずと笑顔が生まれる。
「おはようございます、斎藤さんっ」
「あぁ。よく眠れたか」
夢主の目覚めに気付き、顔を見て応えた斎藤は、鋭くも穏やかな目付きだ。
昨夜、斎藤は隊の殿を務め、皆の様子を眺めながら屯所へ戻って来た。
他愛ない話でくだらなく盛り上がる隊士達を見て、やれやれと呆れる事で自分を落ち着かせたのだ。
水で体を清め、全ての熱を覚ましてから部屋に戻り、眠る夢主の安らかな寝息に自らの寝息を重ねた。
「さて、今日だが俺は非番だ。何かしたい事でもあるのか」
「本当ですかっ!嬉しいです!したい事は特に……」
嬉しい知らせに飛び起きて、布団からすっかり体を出した。斎藤の姿が全て見える所まで移動する。
うぅんと頭を傾げて部屋の隅に目を向けるが、何も浮かばず、斎藤に視線を戻して微笑んだ。
「思い浮かばないです。一緒にいられれば……それだけで」
「フン」
夢主の素直な微笑みに、斎藤は呆れか照れか分からない反応を見せた。
「まずは飯を済ませるぞ、着替えたら来い」
「はぃっ」
夢主の返事を聞き届けて、斎藤は先に座敷を目指した。
「よぉ斎藤」
「原田さん」
座敷に着くなり原田が斎藤に絡んできた。
先日の夜の出来事を問い詰めたかったのだ。
「今日お前非番だろっ、ちょっくら付き合えよ」
「いえ、今日は残念ながら」
「なんだよ、付き合えねぇ理由があるのかよ」
斎藤が逃げようとしていると勘違いし、声を潜めて言いよる原田。
そこへ着替えを終えた夢主がやって来た。
「原田さん、どうされたんですか、斎藤さんに絡むなんて珍しいですね、ふふっ」
「おぉ、夢主!」
「原田さん、今日はこいつと用事があるので申し訳ないですが」
「おぉっ、そうなのか。それじゃぁ……仕方ねぇな……」
二人に約束があるとは思わず、原田は驚いて斎藤を見た。
夢主に応えてやったのだなと、ニッと口角を上げた。
「良かったな夢主、ゆっくり過ごせよ」
「はいっ」
原田に頭を撫でられ夢主は照れ笑いを見せた。
願いが叶った喜びと、原田に励まされる喜びで、幸せに顔を綻ばせている。
そんな様子を上座から土方も眺めていた。
斎藤を気にかけて俯く事が多かった夢主の嬉しそうな姿を、頬を緩めて見つめている。
「夢主ちゃん、斎藤さんとどこか行くんですか」
傍で聞いていた沖田が話に加わってきた。
「いえ特に……ただのんびり出来ればいいなぁと」
「そうですか……僕もこの後の用を済ませたらご一緒していいかな」
「もちろん……」
そう言いながら斎藤の顔色を窺うと、若干不満そうだが頷いた。
何だかんだでやっぱり優しい、夢主はくすりと笑った。
「沖田さんはいつもお忙しいですね、お部屋で待っていますね」
「えぇ」
沖田はにっこり微笑んだ。
忙しい隊務も辛い任務も、終わった後に夢主が待っていると思えば苦ではない。
「沖田君もゆっくりして来るといい」
「またまたっ!」
斎藤の皮肉に沖田がムッと睨み付けるが、いつものやりとりだ。
お互い目を合わせたまま、フッと笑みを漏らした。
「おはようございます、斎藤さんっ」
「あぁ。よく眠れたか」
夢主の目覚めに気付き、顔を見て応えた斎藤は、鋭くも穏やかな目付きだ。
昨夜、斎藤は隊の殿を務め、皆の様子を眺めながら屯所へ戻って来た。
他愛ない話でくだらなく盛り上がる隊士達を見て、やれやれと呆れる事で自分を落ち着かせたのだ。
水で体を清め、全ての熱を覚ましてから部屋に戻り、眠る夢主の安らかな寝息に自らの寝息を重ねた。
「さて、今日だが俺は非番だ。何かしたい事でもあるのか」
「本当ですかっ!嬉しいです!したい事は特に……」
嬉しい知らせに飛び起きて、布団からすっかり体を出した。斎藤の姿が全て見える所まで移動する。
うぅんと頭を傾げて部屋の隅に目を向けるが、何も浮かばず、斎藤に視線を戻して微笑んだ。
「思い浮かばないです。一緒にいられれば……それだけで」
「フン」
夢主の素直な微笑みに、斎藤は呆れか照れか分からない反応を見せた。
「まずは飯を済ませるぞ、着替えたら来い」
「はぃっ」
夢主の返事を聞き届けて、斎藤は先に座敷を目指した。
「よぉ斎藤」
「原田さん」
座敷に着くなり原田が斎藤に絡んできた。
先日の夜の出来事を問い詰めたかったのだ。
「今日お前非番だろっ、ちょっくら付き合えよ」
「いえ、今日は残念ながら」
「なんだよ、付き合えねぇ理由があるのかよ」
斎藤が逃げようとしていると勘違いし、声を潜めて言いよる原田。
そこへ着替えを終えた夢主がやって来た。
「原田さん、どうされたんですか、斎藤さんに絡むなんて珍しいですね、ふふっ」
「おぉ、夢主!」
「原田さん、今日はこいつと用事があるので申し訳ないですが」
「おぉっ、そうなのか。それじゃぁ……仕方ねぇな……」
二人に約束があるとは思わず、原田は驚いて斎藤を見た。
夢主に応えてやったのだなと、ニッと口角を上げた。
「良かったな夢主、ゆっくり過ごせよ」
「はいっ」
原田に頭を撫でられ夢主は照れ笑いを見せた。
願いが叶った喜びと、原田に励まされる喜びで、幸せに顔を綻ばせている。
そんな様子を上座から土方も眺めていた。
斎藤を気にかけて俯く事が多かった夢主の嬉しそうな姿を、頬を緩めて見つめている。
「夢主ちゃん、斎藤さんとどこか行くんですか」
傍で聞いていた沖田が話に加わってきた。
「いえ特に……ただのんびり出来ればいいなぁと」
「そうですか……僕もこの後の用を済ませたらご一緒していいかな」
「もちろん……」
そう言いながら斎藤の顔色を窺うと、若干不満そうだが頷いた。
何だかんだでやっぱり優しい、夢主はくすりと笑った。
「沖田さんはいつもお忙しいですね、お部屋で待っていますね」
「えぇ」
沖田はにっこり微笑んだ。
忙しい隊務も辛い任務も、終わった後に夢主が待っていると思えば苦ではない。
「沖田君もゆっくりして来るといい」
「またまたっ!」
斎藤の皮肉に沖田がムッと睨み付けるが、いつものやりとりだ。
お互い目を合わせたまま、フッと笑みを漏らした。