50.褒賞
夢主名前設定
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夢主の着替えの為に部屋を出た斎藤は、中に気をやりながら、池田屋から今までの出来事を全て思い返した。
──池田屋事件、ここ二日続いた残党の捜索と京に潜む長州不貞浪士の探索……斬殺……捕縛……気持ちが昂ぶった所へ多額の褒賞金…………いっそ夢主を……そう思ったが留まり、軽く揶揄い、その後女を買いに出て懐かしい女の成り上がった姿に目が眩み、一夜を共にした……
「俺は何をしている」
ひとしきり思い返した所で、最後に今しがた目にした悲しげな夢主の顔が浮かんできた。
優しく迎えてくれた夢主に冷たい言葉で真実を突きつけてしまった。
ただの冗談だったはずだ、なぜ笑ってやり過ごしてやらなかったのだ。
「一番大切なものを見失うな」
斎藤は己に言い聞かせて呟くと部屋の前を足早に離れた。
「よぉ、斎藤!昨夜はどんな塩梅だったよ」
座敷に向かう斎藤に出くわした原田が厭味をたっぷり含んで訊ねてきた。
「放って置いてください」
つれない態度に目尻をピクリと動かす原田だが、斎藤が浮かない様子なのが気に掛かり突っかかるのをやめた。
「どうしたよ。お前、ゆうべの事は夢主には言うなよ、苦しむぞ」
原田の言葉にちらりと横目で見ると斎藤は気まずそうに応えた。
「もう話してしまいましたよ」
「なっ、お前っ!馬っ鹿じゃねぇのか!!何だってあいつに言っちまうんだよ!!」
「フン」
伝えて後悔しているとは言えず、斎藤は悪態をついて誤魔化した。
「まぁその様子じゃぁ少しは懲りているようだな」
「もうあの女には会いに行きません……もし女を買うなら適当な女で済ませますよ」
「おいおい、変なのには引っかかるなよ」
「当たり前です」
本心では女が欲しくなれば、またあの太夫に会いに行くのが良い……そう思っていた。
それこそただの戯れだ。身請けする気も毛頭ない。
だが、それで一番欲しいものを失ってしまうかもしれないのだ。
斎藤は大きく揺れていた。
──池田屋事件、ここ二日続いた残党の捜索と京に潜む長州不貞浪士の探索……斬殺……捕縛……気持ちが昂ぶった所へ多額の褒賞金…………いっそ夢主を……そう思ったが留まり、軽く揶揄い、その後女を買いに出て懐かしい女の成り上がった姿に目が眩み、一夜を共にした……
「俺は何をしている」
ひとしきり思い返した所で、最後に今しがた目にした悲しげな夢主の顔が浮かんできた。
優しく迎えてくれた夢主に冷たい言葉で真実を突きつけてしまった。
ただの冗談だったはずだ、なぜ笑ってやり過ごしてやらなかったのだ。
「一番大切なものを見失うな」
斎藤は己に言い聞かせて呟くと部屋の前を足早に離れた。
「よぉ、斎藤!昨夜はどんな塩梅だったよ」
座敷に向かう斎藤に出くわした原田が厭味をたっぷり含んで訊ねてきた。
「放って置いてください」
つれない態度に目尻をピクリと動かす原田だが、斎藤が浮かない様子なのが気に掛かり突っかかるのをやめた。
「どうしたよ。お前、ゆうべの事は夢主には言うなよ、苦しむぞ」
原田の言葉にちらりと横目で見ると斎藤は気まずそうに応えた。
「もう話してしまいましたよ」
「なっ、お前っ!馬っ鹿じゃねぇのか!!何だってあいつに言っちまうんだよ!!」
「フン」
伝えて後悔しているとは言えず、斎藤は悪態をついて誤魔化した。
「まぁその様子じゃぁ少しは懲りているようだな」
「もうあの女には会いに行きません……もし女を買うなら適当な女で済ませますよ」
「おいおい、変なのには引っかかるなよ」
「当たり前です」
本心では女が欲しくなれば、またあの太夫に会いに行くのが良い……そう思っていた。
それこそただの戯れだ。身請けする気も毛頭ない。
だが、それで一番欲しいものを失ってしまうかもしれないのだ。
斎藤は大きく揺れていた。