50.褒賞
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そっ……そぅ……ですか……」
阿呆ぅと言葉を濁されて終わると思っていた夢主、正直に言葉も濁さず告げられて目を見開き、口もぽかんと開けたまま斎藤を見上げた。
……馴染みって……前に話していた……天神さん……続いてたんだ……
久しぶりの再会を知らぬ夢主。ずっと関係が続いていたのかと、驚きを越えて悲しさが湧いてきた。
斎藤と心は通じていると思ったが、一人で舞い上がっていただけなのか……
笑顔を作り微笑み返そうとするが、どうしても引き攣ってしまう。
斎藤から顔を逸らしてしまった。
「でも……昨夜より、斎藤さん……落ち着いていらっしゃるから……良かったです……」
悲しげな笑顔で俯く夢主に、斎藤は声を和らげて訊ねた。
「お前の見つけたものとは何だ」
「おさな……心です……」
……幼心……
斎藤が正直に答えたので、夢主も素直に答えを告げた。
だが斎藤には何の事か全く分からなかった。顔をしかめて考えるが微塵も心当たりがない。
夢主は沖田の中に見つけた幼心を守り、出来る限り満たしてあげたいと思ったのだ。
女として沖田の想いを受け止める事はできないが、母を重ねるその想いならば、応えてあげたいと思った。
斎藤もいつかは気付くだろうが、今はまだ告げずにおこうと夢主はそれ以上の説明をそっと胸にしまった。
「あ、あの斎藤さん、向こう見ていますから着替えてください……匂いが……凄いですよ……」
他の隊士への影響も考えると隊務に差し支える。
斎藤もそのつもりだと着替えを始めた。
「そんなに悲しい顔をするな」
「ぇっ……」
斎藤が突然、着替えながら姿の見えない夢主に声を掛けた。
「何故そこまで悲しむ。お前には関係なかろう」
斎藤とて互いにそんれなりの気があると分かっているが、余りに悲しげな夢主に居た堪れなくなり動揺し、関係ないと言葉にしてしまった。
「そぅ……ですね、ごめんなさい……なんか、そのっ……そういうの、慣れて無くて……。お、女の方を買いに行くなんて、私の世には無かった風習で……」
「そうなのか」
斎藤はそれは初耳だと目を僅かに見開き、衝立に目を向けた。
それならば驚きや衝撃もひとしおかもしれん。斎藤は自分の気遣いの無さを悔いた。
「はぃ……そんな事したら岡っ引きに捕まっちゃいます。それにみんなに後ろ指をさされちゃいます」
夢主はわざとお道化た声で自分の感覚を斎藤に伝えた。
岡っ引きに捕らえられるのは罪人、後ろ指をさされるのは市井の民に浸透した感覚を著しく犯した者。
斎藤は風習の違いに少なからず衝撃を受けた。
「そうか、それは……」
堂々と振舞い何が悪いと成した行為が、夢主に与えたのはただのやきもちだけでは無かった。
夢主には受け入れがたい行為だと理解し、斎藤の胸は急に苦しみ出した。
「すまなかったな。お前に言う事じゃなかった」
斎藤の声も少し沈んで聞こえた。
夢主は斎藤には見えていないだろうが、首を横に振って応えた。
「いいんです、斎藤さんが悪いわけではないんですから……斎藤さんのお気持ちが落ち着くのが、私も一番嬉しいです」
そんな風習の違いより、自分の胸を苦しめているのは……夢主は見知らぬ女と共にいる斎藤を思い浮かべてしまった。
斎藤は着替えの手を止めて夢主を隠す衝立を見ていた。
「着替え、終わりましたか?私も着替えたいんです……」
「あ、あぁっ、すまん、もう終わる」
珍しくしどろもどろに答えると着替えを急ぎ終わらせた。
阿呆ぅと言葉を濁されて終わると思っていた夢主、正直に言葉も濁さず告げられて目を見開き、口もぽかんと開けたまま斎藤を見上げた。
……馴染みって……前に話していた……天神さん……続いてたんだ……
久しぶりの再会を知らぬ夢主。ずっと関係が続いていたのかと、驚きを越えて悲しさが湧いてきた。
斎藤と心は通じていると思ったが、一人で舞い上がっていただけなのか……
笑顔を作り微笑み返そうとするが、どうしても引き攣ってしまう。
斎藤から顔を逸らしてしまった。
「でも……昨夜より、斎藤さん……落ち着いていらっしゃるから……良かったです……」
悲しげな笑顔で俯く夢主に、斎藤は声を和らげて訊ねた。
「お前の見つけたものとは何だ」
「おさな……心です……」
……幼心……
斎藤が正直に答えたので、夢主も素直に答えを告げた。
だが斎藤には何の事か全く分からなかった。顔をしかめて考えるが微塵も心当たりがない。
夢主は沖田の中に見つけた幼心を守り、出来る限り満たしてあげたいと思ったのだ。
女として沖田の想いを受け止める事はできないが、母を重ねるその想いならば、応えてあげたいと思った。
斎藤もいつかは気付くだろうが、今はまだ告げずにおこうと夢主はそれ以上の説明をそっと胸にしまった。
「あ、あの斎藤さん、向こう見ていますから着替えてください……匂いが……凄いですよ……」
他の隊士への影響も考えると隊務に差し支える。
斎藤もそのつもりだと着替えを始めた。
「そんなに悲しい顔をするな」
「ぇっ……」
斎藤が突然、着替えながら姿の見えない夢主に声を掛けた。
「何故そこまで悲しむ。お前には関係なかろう」
斎藤とて互いにそんれなりの気があると分かっているが、余りに悲しげな夢主に居た堪れなくなり動揺し、関係ないと言葉にしてしまった。
「そぅ……ですね、ごめんなさい……なんか、そのっ……そういうの、慣れて無くて……。お、女の方を買いに行くなんて、私の世には無かった風習で……」
「そうなのか」
斎藤はそれは初耳だと目を僅かに見開き、衝立に目を向けた。
それならば驚きや衝撃もひとしおかもしれん。斎藤は自分の気遣いの無さを悔いた。
「はぃ……そんな事したら岡っ引きに捕まっちゃいます。それにみんなに後ろ指をさされちゃいます」
夢主はわざとお道化た声で自分の感覚を斎藤に伝えた。
岡っ引きに捕らえられるのは罪人、後ろ指をさされるのは市井の民に浸透した感覚を著しく犯した者。
斎藤は風習の違いに少なからず衝撃を受けた。
「そうか、それは……」
堂々と振舞い何が悪いと成した行為が、夢主に与えたのはただのやきもちだけでは無かった。
夢主には受け入れがたい行為だと理解し、斎藤の胸は急に苦しみ出した。
「すまなかったな。お前に言う事じゃなかった」
斎藤の声も少し沈んで聞こえた。
夢主は斎藤には見えていないだろうが、首を横に振って応えた。
「いいんです、斎藤さんが悪いわけではないんですから……斎藤さんのお気持ちが落ち着くのが、私も一番嬉しいです」
そんな風習の違いより、自分の胸を苦しめているのは……夢主は見知らぬ女と共にいる斎藤を思い浮かべてしまった。
斎藤は着替えの手を止めて夢主を隠す衝立を見ていた。
「着替え、終わりましたか?私も着替えたいんです……」
「あ、あぁっ、すまん、もう終わる」
珍しくしどろもどろに答えると着替えを急ぎ終わらせた。