50.褒賞
夢主名前設定
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斎藤は島原へ足を伸ばしていた。
辿り着くと、あるのは見知った新選組の顔ばかり。羽目を外す気にはなれなかった。
「どこか違う所へ……」
「よぉーー!斎藤!」
「原田さん」
場所を変えようと考えた斎藤だが、居合わせた原田に捉まってしまった。永倉も共にいる。
「永倉さんも」
二人を確認する斎藤に原田が肩を組んできた。
「珍しいなーお前がこんな所によ!久しぶりじゃねぇか」
「さすがにあれだけ褒賞金貰っちまったら使わない訳にはいかねぇよなぁ!!」
「そうとも限りませんが……」
どう切り抜けるか考えながら返事をする斎藤に、永倉も絡みだした。
「今夜は一緒に呑もうぜ!お前の馴染みの女はいねぇのかよ」
「おぃ、新八……」
「おっと……」
誘いかけるが二人は夢主を思い出して言葉を濁した。
「馴染みなんていませんよ。もう一年以上も会いに来ていませんから忘れられているでしょう」
「そぅ言えば、いたなぁ……名前は……」
「もういいでしょう」
「桔梗屋の相生太夫……」
原田の呟きに斎藤の顔色が変わった。
斎藤は自分の知らぬ間に天神から太夫あがりをしていた事に少なからず衝撃を感じた。
太夫にあがる為には豪華絢爛な大打掛から櫛や笄、様々な物を揃えて数百両はくだらない大金が必要になる。
その用意が出来る立派な旦那を見つけ、太夫に引きあげてもらい、変わりに自らの大事なものを差し出す……つまりは女としての大切なものを捧げるのだ。
支度金を用意してくれた旦那に体を許したのか……
斎藤は久しぶりにその顔を見たくなった。
意を決した斎藤に気付くと、原田と永倉が誘い直した。
「まぁ適当に呼んで呑もうぜ」
原田は夢主が悲しまぬよう斎藤に目を配るつもりで誘った。
「是非」
斎藤も了承した。太夫の顔は見たいが、久方の再開に感情が高まり縋られた所で今は困る状況だ。
女遊びはしたいが、決まった女のもとへ通うのは面倒が起こる原因。斎藤は適当に遊んで帰るつもりだった。
だが、久しぶりに出会う男女は互いに新鮮な感覚と懐かしさを与え、嫌でも気持ちが盛り上がってしまう。
座敷にやってきた太夫を目にした瞬間、斎藤の心と体は固まってしまった。
顔も声も忘れたと思っていた女は、暫く見ないうちに一層美しく艶やかに変わっていた。
再会の言葉を交わし酒を進めていくうちに、自然と二人隣の部屋へと移る流れになった。
「おい、斎藤」
思わず原田が呼び止める。
「いいのかよ」
夢主の事はいいのかよ、原田は斎藤に目で訴えた。
しかし斎藤はニッと笑い、太夫を連れて部屋を出て行ってしまった。
「あの野郎っ」
「おいおい左之~今日くらい無礼講で許してやれよー!」
盃で酒を呑む原田、力が入り、盃がぶるぶると揺れていた。
奥歯をかみ締める口からはギリギリと嫌な音が聞こえる。
普段真面目な永倉だが、今宵は酒に飲まれて他の芸妓と戯れて笑っていた。
辿り着くと、あるのは見知った新選組の顔ばかり。羽目を外す気にはなれなかった。
「どこか違う所へ……」
「よぉーー!斎藤!」
「原田さん」
場所を変えようと考えた斎藤だが、居合わせた原田に捉まってしまった。永倉も共にいる。
「永倉さんも」
二人を確認する斎藤に原田が肩を組んできた。
「珍しいなーお前がこんな所によ!久しぶりじゃねぇか」
「さすがにあれだけ褒賞金貰っちまったら使わない訳にはいかねぇよなぁ!!」
「そうとも限りませんが……」
どう切り抜けるか考えながら返事をする斎藤に、永倉も絡みだした。
「今夜は一緒に呑もうぜ!お前の馴染みの女はいねぇのかよ」
「おぃ、新八……」
「おっと……」
誘いかけるが二人は夢主を思い出して言葉を濁した。
「馴染みなんていませんよ。もう一年以上も会いに来ていませんから忘れられているでしょう」
「そぅ言えば、いたなぁ……名前は……」
「もういいでしょう」
「桔梗屋の相生太夫……」
原田の呟きに斎藤の顔色が変わった。
斎藤は自分の知らぬ間に天神から太夫あがりをしていた事に少なからず衝撃を感じた。
太夫にあがる為には豪華絢爛な大打掛から櫛や笄、様々な物を揃えて数百両はくだらない大金が必要になる。
その用意が出来る立派な旦那を見つけ、太夫に引きあげてもらい、変わりに自らの大事なものを差し出す……つまりは女としての大切なものを捧げるのだ。
支度金を用意してくれた旦那に体を許したのか……
斎藤は久しぶりにその顔を見たくなった。
意を決した斎藤に気付くと、原田と永倉が誘い直した。
「まぁ適当に呼んで呑もうぜ」
原田は夢主が悲しまぬよう斎藤に目を配るつもりで誘った。
「是非」
斎藤も了承した。太夫の顔は見たいが、久方の再開に感情が高まり縋られた所で今は困る状況だ。
女遊びはしたいが、決まった女のもとへ通うのは面倒が起こる原因。斎藤は適当に遊んで帰るつもりだった。
だが、久しぶりに出会う男女は互いに新鮮な感覚と懐かしさを与え、嫌でも気持ちが盛り上がってしまう。
座敷にやってきた太夫を目にした瞬間、斎藤の心と体は固まってしまった。
顔も声も忘れたと思っていた女は、暫く見ないうちに一層美しく艶やかに変わっていた。
再会の言葉を交わし酒を進めていくうちに、自然と二人隣の部屋へと移る流れになった。
「おい、斎藤」
思わず原田が呼び止める。
「いいのかよ」
夢主の事はいいのかよ、原田は斎藤に目で訴えた。
しかし斎藤はニッと笑い、太夫を連れて部屋を出て行ってしまった。
「あの野郎っ」
「おいおい左之~今日くらい無礼講で許してやれよー!」
盃で酒を呑む原田、力が入り、盃がぶるぶると揺れていた。
奥歯をかみ締める口からはギリギリと嫌な音が聞こえる。
普段真面目な永倉だが、今宵は酒に飲まれて他の芸妓と戯れて笑っていた。