48.花吹雪
夢主名前設定
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斎藤と沖田も不満を抱えてはいるが夜の巡察の仕度の為、自室に向かった。
「随分と面倒な事を言いますね~土方さんも」
「まぁ言わんとする事は分かるがな。情報が大切なのは確かだ。致し方あるまい」
「とか言って、少しでも抵抗したら斬っちゃうつもりなんでしょ」
「フン、その場合は仕方あるまい」
ニッと顔を歪めて笑い、角で別れてそれぞれの部屋へ入った。
「あ、おかえりなさい。……すぐに巡察ですよね……」
「あぁ」
夢主は部屋に戻った斎藤に普段通り声を掛けた。
しかし返事をする斎藤と目が合わない。
「斎藤さん……何かあったのですか。少しご不満そう……」
「フッ」
指摘を受けた斎藤はにやりと口を歪め、柄にも無く歯を見せた。
「お前に言われるとはな。よく分かったな」
「ふふっ、私も毎日斎藤さんの事を見ていますから……少しは分かりますよっ」
斎藤の気持ちを見通せたことが嬉しくて、夢主は微笑んで肩を竦めた。
「フン……実はな、土方さんから捕縛優先の指示があったんだよ。まぁ抵抗されたら斬り捨てて構わんが、極力生け捕りっ……だとよ」
斎藤は身支度を整えつつ珍しく副長命令の話をした。
余程不本意だったのだろう。
「まぁ副長の言いたい事も分かる。仕方あるまい。隊の為だと割り切るさ。仕事だからな」
ニッと笑うと、しゅるりと髪を解いた。
「ならば従うまで」
横目で夢主を見て言い、紐を口に咥えて総髪を整え直す。
あっという間に結い上げ、口を開いた。
「次に繋がるんだ。悪くはない」
「はぃ」
斎藤の言葉に夢主も頷いた。
「行って来る」
「お気をつけて……」
斎藤は返事代わりに頷いて部屋を後にした。
耳を澄ますと刀の鳴る音が小さくなり、すぐに消えた。
「捕縛……かぁ……」
夢主がよく知るのは池田屋事件の元となる古高俊太郎の捕縛。
蒸し暑い日だったとも言われていた記憶がある。
「きっともうすぐなんだろうな……」
その前に行われる拷問を思うと身震いがする。
あの土方がそんな怖ろしい事をするのだろうか。
想像してみるが、梅の花を優しい瞳で愛でる姿を思い出し、実感が湧かずに首を振った。
「時代に……任せなきゃ……」
夢主はぎゅっと自分の体を抱きしめて恐れを振り払い、布団の中に身を入れた。
時折吹き付ける風が障子を揺らして隙間を通り抜け、ひゅううと音を鳴らす。
風の強い夜だ。
夢主は布団の中で目を閉じて、昼間の暖かい時間を思い浮かべながら眠りについた。
「随分と面倒な事を言いますね~土方さんも」
「まぁ言わんとする事は分かるがな。情報が大切なのは確かだ。致し方あるまい」
「とか言って、少しでも抵抗したら斬っちゃうつもりなんでしょ」
「フン、その場合は仕方あるまい」
ニッと顔を歪めて笑い、角で別れてそれぞれの部屋へ入った。
「あ、おかえりなさい。……すぐに巡察ですよね……」
「あぁ」
夢主は部屋に戻った斎藤に普段通り声を掛けた。
しかし返事をする斎藤と目が合わない。
「斎藤さん……何かあったのですか。少しご不満そう……」
「フッ」
指摘を受けた斎藤はにやりと口を歪め、柄にも無く歯を見せた。
「お前に言われるとはな。よく分かったな」
「ふふっ、私も毎日斎藤さんの事を見ていますから……少しは分かりますよっ」
斎藤の気持ちを見通せたことが嬉しくて、夢主は微笑んで肩を竦めた。
「フン……実はな、土方さんから捕縛優先の指示があったんだよ。まぁ抵抗されたら斬り捨てて構わんが、極力生け捕りっ……だとよ」
斎藤は身支度を整えつつ珍しく副長命令の話をした。
余程不本意だったのだろう。
「まぁ副長の言いたい事も分かる。仕方あるまい。隊の為だと割り切るさ。仕事だからな」
ニッと笑うと、しゅるりと髪を解いた。
「ならば従うまで」
横目で夢主を見て言い、紐を口に咥えて総髪を整え直す。
あっという間に結い上げ、口を開いた。
「次に繋がるんだ。悪くはない」
「はぃ」
斎藤の言葉に夢主も頷いた。
「行って来る」
「お気をつけて……」
斎藤は返事代わりに頷いて部屋を後にした。
耳を澄ますと刀の鳴る音が小さくなり、すぐに消えた。
「捕縛……かぁ……」
夢主がよく知るのは池田屋事件の元となる古高俊太郎の捕縛。
蒸し暑い日だったとも言われていた記憶がある。
「きっともうすぐなんだろうな……」
その前に行われる拷問を思うと身震いがする。
あの土方がそんな怖ろしい事をするのだろうか。
想像してみるが、梅の花を優しい瞳で愛でる姿を思い出し、実感が湧かずに首を振った。
「時代に……任せなきゃ……」
夢主はぎゅっと自分の体を抱きしめて恐れを振り払い、布団の中に身を入れた。
時折吹き付ける風が障子を揺らして隙間を通り抜け、ひゅううと音を鳴らす。
風の強い夜だ。
夢主は布団の中で目を閉じて、昼間の暖かい時間を思い浮かべながら眠りについた。