47.どこへたって
夢主名前設定
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「俺は確かに片付けたが、小花柄の西洋服と、白い襦袢のようなものしかなかった……つまり……」
「つま……り?」
「足りないだろう」
斎藤は目を逸らしたまま言葉を足した。
夢主は足りない何かを考え「あっ」と声を上げた。
「あの……今……」
斎藤は僅かに頬を赤らめて勢いよく夢主を見た。
夢主にも珍しいさまが分かっただろうか。
「今……つけて……昨日の夜、酔っ払って着替えてたから……するするっと上だけ脱いでつい……なんか久しぶりだけどしっくりしてたから、今朝もそのまま……」
「っ……」
斎藤が強張った顔で夢主を見ている。
怒って見えるがそうではない。
「帰って直ぐに着替えろ、いいな!」
「は……」
斎藤が照れているのに気付き、夢主は可愛く感じてしまった。返事を止めて照れる顔を眺めてしまう。
「斎藤さん、ひとつお願いがあります……」
「な、なんだ」
気まずそうに自分の顔をちらちらと見る斎藤が面白い。
こんな表情は次、いつ見られるか分からない。
夢主は嬉しそうに普段と違う斎藤を見つめた。
「ふふっ、あの、桜が散る頃に……また壬生寺に連れて来て下さい。桜吹雪……綺麗だと思うので……」
「分かった」
実現できる願いに安心した斎藤は落ち着きを取り戻して返事をした。
「おぉーやってるなー!!痴話喧嘩だってぇーー?!」
「わっ、原田さん!どうしてっ」
突然聞こえた原田の声に驚いて顔を振る。
寺の入り口に姿が見えたと思ったら、ぞろぞろと隊士達を引き連れてやって来た。
夢主と斎藤の傍まで来て、原田は二人の顔を交互に覗いた。
「槍の稽古するって言うから、俺も一緒にと思ってついて来たんだよ。屯所じゃ思いっきり振り回せねぇだろ。で、土方さんに聞いたぜ、痴話喧嘩だってなぁ」
原田は、にやにやと歯を見せて笑い、斎藤の肩に手を置いた。
「勘違いですよ、ほら夢主行くぞ、稽古の邪魔だ」
「は、はぃっ」
斎藤は微かに赤らんだ顔のまま屯所に向かい歩み出した。夢主も顔を赤らめて原田に頭を下げ、斎藤の後に続いた。
隊士達に、にこやかに見送られている気がした。
「全く、お前のせいで恥をかいた」
「えぇっ!私のせいですかぁ」
顔を見合わせて言い合いながら歩く二人の後ろから、クスクス笑う男達の声が聞こえる。
「ほら、痴話喧嘩だ!」と茶化す原田の声も続いて響いた。
「行くぞ」
「はぃ……」
体を小さくして二人はそそくさと立ち去った。
「つま……り?」
「足りないだろう」
斎藤は目を逸らしたまま言葉を足した。
夢主は足りない何かを考え「あっ」と声を上げた。
「あの……今……」
斎藤は僅かに頬を赤らめて勢いよく夢主を見た。
夢主にも珍しいさまが分かっただろうか。
「今……つけて……昨日の夜、酔っ払って着替えてたから……するするっと上だけ脱いでつい……なんか久しぶりだけどしっくりしてたから、今朝もそのまま……」
「っ……」
斎藤が強張った顔で夢主を見ている。
怒って見えるがそうではない。
「帰って直ぐに着替えろ、いいな!」
「は……」
斎藤が照れているのに気付き、夢主は可愛く感じてしまった。返事を止めて照れる顔を眺めてしまう。
「斎藤さん、ひとつお願いがあります……」
「な、なんだ」
気まずそうに自分の顔をちらちらと見る斎藤が面白い。
こんな表情は次、いつ見られるか分からない。
夢主は嬉しそうに普段と違う斎藤を見つめた。
「ふふっ、あの、桜が散る頃に……また壬生寺に連れて来て下さい。桜吹雪……綺麗だと思うので……」
「分かった」
実現できる願いに安心した斎藤は落ち着きを取り戻して返事をした。
「おぉーやってるなー!!痴話喧嘩だってぇーー?!」
「わっ、原田さん!どうしてっ」
突然聞こえた原田の声に驚いて顔を振る。
寺の入り口に姿が見えたと思ったら、ぞろぞろと隊士達を引き連れてやって来た。
夢主と斎藤の傍まで来て、原田は二人の顔を交互に覗いた。
「槍の稽古するって言うから、俺も一緒にと思ってついて来たんだよ。屯所じゃ思いっきり振り回せねぇだろ。で、土方さんに聞いたぜ、痴話喧嘩だってなぁ」
原田は、にやにやと歯を見せて笑い、斎藤の肩に手を置いた。
「勘違いですよ、ほら夢主行くぞ、稽古の邪魔だ」
「は、はぃっ」
斎藤は微かに赤らんだ顔のまま屯所に向かい歩み出した。夢主も顔を赤らめて原田に頭を下げ、斎藤の後に続いた。
隊士達に、にこやかに見送られている気がした。
「全く、お前のせいで恥をかいた」
「えぇっ!私のせいですかぁ」
顔を見合わせて言い合いながら歩く二人の後ろから、クスクス笑う男達の声が聞こえる。
「ほら、痴話喧嘩だ!」と茶化す原田の声も続いて響いた。
「行くぞ」
「はぃ……」
体を小さくして二人はそそくさと立ち去った。