47.どこへたって
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふぅ……お前、」
「あの、本当に……どこにあるのでしょうか。あの服は私にとって物凄く……とっても大事な物なんです。教えて下さい……」
沖田がいなくなった。夢主は躊躇せず質問した。
「お願いします……」
斎藤はどう答えるべきか考えた。
答をせがむ夢主をじっと見つめている。
「私が……あんな悪戯をしたからですか……斎藤さん、怒ってるんですか」
酔っていた。
軽い気持ちで久しぶりに袖を通したくなったのと、楽しいと思って着てみたが、斎藤は怒っているのだろうか。
「いや、確かにあの時は怒っていたかもしれんが、今は何も怒ってはいない」
「本当ですか、よかったぁ……それで服は……」
「あぁ、部屋にあるとまたくだらん事をするかもしれんだろう。だから、ある場所に置いてある」
「ある場所って……どこでしょうか」
「教えたらまた持ってくるだろ」
「……駄目なんですか」
「駄目だ」
「……もう着ません」
「駄目だ」
それ以降、斎藤は言葉を発しなかった。この話はもう終わり。
夢主はすっかり落ち込んでしまった。
そのつもりはなくとも、斎藤から顔を逸らしている。今は顔を見る気になれなかった。
確かに酔ってふざけた自分が悪い。だけど、手の届かない場所に移してしまうなんて。その場所も教えてくれないなんて。
夢主の心の奥底で、怒りと悲しみの混ざった感情が生まれた。
「私の大切なもの……」
夢主はすっくと立ち上がった。
「どこへ行く」
「探してきます。屯所内にあるんですよね」
いくらなんでも未来の異物を屯所の外に置き去りにはしないだろう。
怖いほど静かな瞳で夢主は告げた。
「見つからんぞ」
「探します……」
拗ねた顔で目を逸らしたまま部屋を出て、乱暴に障子を閉めてしまった。
「やれやれ、そこまで怒るとはな。さぁて、どうするか」
残された斎藤は部屋の中で冷静に考えを進めた。
珍しく怖い顔で歩く夢主、待っていた沖田が面白そうとばかりに寄ってきた。
「あはっ、夢主ちゃん、ご機嫌斜めですねっ!」
「沖田さんっ!笑わないで下さい、本当に怒ってるんです……」
「へぇ~っ。ははっ、珍しいね。夢主ちゃんが怒るなんて。しかも斎藤さんに、ねぇ、どうしたの」
「そんな楽しそうに訊かれても話す気になれません……」
「あははっ、ごめんごめん!真面目に聞くよ、手伝わせてよ」
夢主はじぃっと沖田を観察して、はぁと小さく溜息を吐いた。
「実は助けて欲しいんです……私だけじゃきっと見つからない……」
「さっき言ってた探し物?」
夢主は大きく頷いた。
「あの、本当に……どこにあるのでしょうか。あの服は私にとって物凄く……とっても大事な物なんです。教えて下さい……」
沖田がいなくなった。夢主は躊躇せず質問した。
「お願いします……」
斎藤はどう答えるべきか考えた。
答をせがむ夢主をじっと見つめている。
「私が……あんな悪戯をしたからですか……斎藤さん、怒ってるんですか」
酔っていた。
軽い気持ちで久しぶりに袖を通したくなったのと、楽しいと思って着てみたが、斎藤は怒っているのだろうか。
「いや、確かにあの時は怒っていたかもしれんが、今は何も怒ってはいない」
「本当ですか、よかったぁ……それで服は……」
「あぁ、部屋にあるとまたくだらん事をするかもしれんだろう。だから、ある場所に置いてある」
「ある場所って……どこでしょうか」
「教えたらまた持ってくるだろ」
「……駄目なんですか」
「駄目だ」
「……もう着ません」
「駄目だ」
それ以降、斎藤は言葉を発しなかった。この話はもう終わり。
夢主はすっかり落ち込んでしまった。
そのつもりはなくとも、斎藤から顔を逸らしている。今は顔を見る気になれなかった。
確かに酔ってふざけた自分が悪い。だけど、手の届かない場所に移してしまうなんて。その場所も教えてくれないなんて。
夢主の心の奥底で、怒りと悲しみの混ざった感情が生まれた。
「私の大切なもの……」
夢主はすっくと立ち上がった。
「どこへ行く」
「探してきます。屯所内にあるんですよね」
いくらなんでも未来の異物を屯所の外に置き去りにはしないだろう。
怖いほど静かな瞳で夢主は告げた。
「見つからんぞ」
「探します……」
拗ねた顔で目を逸らしたまま部屋を出て、乱暴に障子を閉めてしまった。
「やれやれ、そこまで怒るとはな。さぁて、どうするか」
残された斎藤は部屋の中で冷静に考えを進めた。
珍しく怖い顔で歩く夢主、待っていた沖田が面白そうとばかりに寄ってきた。
「あはっ、夢主ちゃん、ご機嫌斜めですねっ!」
「沖田さんっ!笑わないで下さい、本当に怒ってるんです……」
「へぇ~っ。ははっ、珍しいね。夢主ちゃんが怒るなんて。しかも斎藤さんに、ねぇ、どうしたの」
「そんな楽しそうに訊かれても話す気になれません……」
「あははっ、ごめんごめん!真面目に聞くよ、手伝わせてよ」
夢主はじぃっと沖田を観察して、はぁと小さく溜息を吐いた。
「実は助けて欲しいんです……私だけじゃきっと見つからない……」
「さっき言ってた探し物?」
夢主は大きく頷いた。