46.お花見
夢主名前設定
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向かい合って食事を始めると、家人はすぐに追加の酒を持って来た。
斎藤が受け取り、夢主は部屋の中から礼を伝える。
酔っぱらってした腑抜けた礼に、家の者は笑いながら応じて去っていった。
「ぅふふ……なんだか、ごきげんでしたね……」
「あぁお前が、だな」
「ふふっ?……ごはんも……おぃしい……ね」
「っ、そうだな」
砕けた口調で首を傾げる夢主。
これは相当きているな……
斎藤はそう思って早々に食事を済ませた。
「そろそろ水に変えるか。酒と一緒に水も持ってきて貰ったぞ」
「ぇえ……またぁ……とめるんですかぁ……」
夢主はもそもそと食べつつ喋っている。
「いいから、まずは早く食え」
「ゆっくりたべるほうが……からだにいぃーんですよぉ……」
ぷぅっとむくれるが、気持ち急いで食べ始めた。本当は酒を呑みながら食事を味わいたいのだが。
斎藤はふぅと一息吐いて、自分だけ先に酒を進めた。
「あ……さいとぉさんばっーかり……のんでます……っ、おいひぃ……」
夢主が最後の一口を運ぶのを眺めた斎藤、幸せそうに食事を終えたのを見て笑っていた。
「ごちそぉお~……さまでしたぁ」
これでいいですかと手を揃えて斎藤に向かう夢主。
ニヤと笑みを浮かべた斎藤は小さく頷いて酒を呑んだ。
膳を除けて夢主も酒を再開する。
猪口を両手で大事そうに抱え酒を口に含んだ。
「うふふっ……おなかも~いっぱいで……おさけもぉー……おいしぃ……」
おどけた口調に変わっているが、ゆっくりとした、たおやかな仕草がとても愛らしい。
酒は上手いがお前の顔のいいぞと斎藤は二人の時を楽しんでいた。
「フン、美味そうだな」
「はぁい……とぉっても……ふふっ……」
そう言って斎藤の顔をにこにこと細い目で見つめ続ける。
「どうした」
「いぃえぇ~……おとなりに……いきたいなぁ……って……れもぉ…………」
「でも、何だ」
「ふふっ、やぁ~……めたっ、」
夢主はクスクスと肩を小刻みに揺らして笑った。
「酔ってきたようだな」
斎藤はまたも軽い溜息を吐いた。
それを見た夢主は微笑んで首を小さく横に何度も振った。
……完全に酔っとるな……
どうするか迷うが斎藤は手酌を繰り返し、それにつられて夢主も酒を進めていた。
「そろそろ、寝支度だ」
「えぇ~~……」
もう限界だなと斎藤が終わりを告げた。夢主は残念そうに眉を寄せている。
「これ以上呑んだらまたくっついてくるんだろう。俺もそれは困るぞ」
「ぶぅ……」
斎藤も眉を寄せて見せると、夢主は口を尖らせて唸った。
目を逸らさない夢主は何か考えていたのか、閃いたように背筋を伸ばすと斎藤に返事をした。
「わかり……ましたぁ!……ふふっ……そのかぁりぃ~……おぜん、おねがいしまふ……」
ぱたっ、と崩れるように頭を下げた。
斎藤は訝しむが大人しく酒を止めるならと膳を引き受けた。
……戻る頃には寝ているかもな……
また布団に運んでやるかと考えて斎藤は部屋を後にした。
膳を戻した斎藤が戻ると、中はとても静かだった。
夢主は寝たものと思い静かに障子を開けた。
しかし障子を開けて隙間から見え始めたものに、斎藤は息を呑んで硬直した。
「えへへっ、……ひさしぶりにぃ~……きちゃいましたぁ……」
目にしたのはあの日の、初めて姿を見た時の青い小花の不思議な長着。
見慣れぬ衣に身を包んだ夢主だった。
夢主はワンピースの裾を両手で摘まみ、片膝を曲げて軽く沈み、異国の挨拶に似た仕草を見せた。
姿勢を戻すと今度はくるりとひと回りし、ワンピースの裾をふわりと膨らませた。
斎藤が受け取り、夢主は部屋の中から礼を伝える。
酔っぱらってした腑抜けた礼に、家の者は笑いながら応じて去っていった。
「ぅふふ……なんだか、ごきげんでしたね……」
「あぁお前が、だな」
「ふふっ?……ごはんも……おぃしい……ね」
「っ、そうだな」
砕けた口調で首を傾げる夢主。
これは相当きているな……
斎藤はそう思って早々に食事を済ませた。
「そろそろ水に変えるか。酒と一緒に水も持ってきて貰ったぞ」
「ぇえ……またぁ……とめるんですかぁ……」
夢主はもそもそと食べつつ喋っている。
「いいから、まずは早く食え」
「ゆっくりたべるほうが……からだにいぃーんですよぉ……」
ぷぅっとむくれるが、気持ち急いで食べ始めた。本当は酒を呑みながら食事を味わいたいのだが。
斎藤はふぅと一息吐いて、自分だけ先に酒を進めた。
「あ……さいとぉさんばっーかり……のんでます……っ、おいひぃ……」
夢主が最後の一口を運ぶのを眺めた斎藤、幸せそうに食事を終えたのを見て笑っていた。
「ごちそぉお~……さまでしたぁ」
これでいいですかと手を揃えて斎藤に向かう夢主。
ニヤと笑みを浮かべた斎藤は小さく頷いて酒を呑んだ。
膳を除けて夢主も酒を再開する。
猪口を両手で大事そうに抱え酒を口に含んだ。
「うふふっ……おなかも~いっぱいで……おさけもぉー……おいしぃ……」
おどけた口調に変わっているが、ゆっくりとした、たおやかな仕草がとても愛らしい。
酒は上手いがお前の顔のいいぞと斎藤は二人の時を楽しんでいた。
「フン、美味そうだな」
「はぁい……とぉっても……ふふっ……」
そう言って斎藤の顔をにこにこと細い目で見つめ続ける。
「どうした」
「いぃえぇ~……おとなりに……いきたいなぁ……って……れもぉ…………」
「でも、何だ」
「ふふっ、やぁ~……めたっ、」
夢主はクスクスと肩を小刻みに揺らして笑った。
「酔ってきたようだな」
斎藤はまたも軽い溜息を吐いた。
それを見た夢主は微笑んで首を小さく横に何度も振った。
……完全に酔っとるな……
どうするか迷うが斎藤は手酌を繰り返し、それにつられて夢主も酒を進めていた。
「そろそろ、寝支度だ」
「えぇ~~……」
もう限界だなと斎藤が終わりを告げた。夢主は残念そうに眉を寄せている。
「これ以上呑んだらまたくっついてくるんだろう。俺もそれは困るぞ」
「ぶぅ……」
斎藤も眉を寄せて見せると、夢主は口を尖らせて唸った。
目を逸らさない夢主は何か考えていたのか、閃いたように背筋を伸ばすと斎藤に返事をした。
「わかり……ましたぁ!……ふふっ……そのかぁりぃ~……おぜん、おねがいしまふ……」
ぱたっ、と崩れるように頭を下げた。
斎藤は訝しむが大人しく酒を止めるならと膳を引き受けた。
……戻る頃には寝ているかもな……
また布団に運んでやるかと考えて斎藤は部屋を後にした。
膳を戻した斎藤が戻ると、中はとても静かだった。
夢主は寝たものと思い静かに障子を開けた。
しかし障子を開けて隙間から見え始めたものに、斎藤は息を呑んで硬直した。
「えへへっ、……ひさしぶりにぃ~……きちゃいましたぁ……」
目にしたのはあの日の、初めて姿を見た時の青い小花の不思議な長着。
見慣れぬ衣に身を包んだ夢主だった。
夢主はワンピースの裾を両手で摘まみ、片膝を曲げて軽く沈み、異国の挨拶に似た仕草を見せた。
姿勢を戻すと今度はくるりとひと回りし、ワンピースの裾をふわりと膨らませた。