6.副長助勤方
夢主名前設定
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夜が更けても、おやすみを言う相手がいないのは淋しいものだ。
いや、毎夜部屋を巡るのだから、誰かしらに会いはするのだが。夢主は耳を澄ました。
今夜は屯所が少し静かだ。
斎藤も沖田も夜の巡察でいない。加えて原田もどこかへ行っている。
元から灯りの少ない夜だったので、次々消える明かりを目安に出来ず、永倉を訪ねるのが少し早くなった気がした。
「……永倉さん、夢主です」
声を掛けると、中からドタバタ何やら慌しい音がする。
「おぉ、おおっ、夢主かっ」
「……失礼します」
どうしていつも永倉は自分の前では狼狽えているのだろう。
夢主は不思議に思い、迎えてくれた顔を見つめた。
永倉は真面目な気質だ。曲がった事は大嫌い、言われたら動くが姑息な策も本当は好まない。
だが、豪胆でドンと構えているわりに、周りに感化されやすいのが困った癖。
「おぅ、座んな」
夢主が部屋に入ると、永倉は落ち着かないのか胡坐を掻いた自分の太腿を前後に擦っている。
少し離れて夢主はちょこんと座った。
悪気はなかったが布団の上は避けたかった為、自ずと距離が開いてしまった。
「……もぅちょっと、こっち来てもいいんじゃねぇか」
離れていると全身その姿体が良く見える。
目のやり場に困るってもんだ。
「すみません……」
立ち上がる夢主の髪がサラリと肩から落ちた。
屈んだ一瞬、胸元も緩む。着付け慣れない夢主の寝巻は元より少し緩いのだろう。
緩んだ寝巻の白さが悩ましい。
夢主は近くに寄り、これで良いでしょうかと永倉の顔を覗いた。
申し訳なさそうに訊く顔は少し口が開き、潤んだ瞳が上目遣いになっている。
黙り込む永倉が何を考えているのか分からず不安になり、夢主は伏し目がちにぱちぱちと目を瞬かせた。
永倉は胡坐を掻いた膝に手をついて下を向き、ゴクリと生唾を飲み込んで突然声を上げた。
「あーーーー!!!」
吃驚した夢主は上体を崩した。
「な、永倉さん……」
「夢主!!」
急に近付いて夢主の両の二の腕を掴み、声を荒げて名を呼んだ。
夢主が驚いて固まると、永倉は腕を回してきつく抱きしめた。
「すまん!すまねぇ、夢主!!」
強く抱きしめたまま「すまん!すまん!」と何度も大きな声で謝っている。
昂ぶった大きな体は、少しだけ震えていた。
永倉は腕を緩めて僅かに体を離すと、情けない顔で夢主を見つめた。
力ない声が漏れる。
「……ても……いぃか」
夢主は少しだけ困ったような笑みを見せ、黙って頷いた。
そのまま後ろに押し倒されて、夢主は永倉の重みを受けた。
いや、毎夜部屋を巡るのだから、誰かしらに会いはするのだが。夢主は耳を澄ました。
今夜は屯所が少し静かだ。
斎藤も沖田も夜の巡察でいない。加えて原田もどこかへ行っている。
元から灯りの少ない夜だったので、次々消える明かりを目安に出来ず、永倉を訪ねるのが少し早くなった気がした。
「……永倉さん、夢主です」
声を掛けると、中からドタバタ何やら慌しい音がする。
「おぉ、おおっ、夢主かっ」
「……失礼します」
どうしていつも永倉は自分の前では狼狽えているのだろう。
夢主は不思議に思い、迎えてくれた顔を見つめた。
永倉は真面目な気質だ。曲がった事は大嫌い、言われたら動くが姑息な策も本当は好まない。
だが、豪胆でドンと構えているわりに、周りに感化されやすいのが困った癖。
「おぅ、座んな」
夢主が部屋に入ると、永倉は落ち着かないのか胡坐を掻いた自分の太腿を前後に擦っている。
少し離れて夢主はちょこんと座った。
悪気はなかったが布団の上は避けたかった為、自ずと距離が開いてしまった。
「……もぅちょっと、こっち来てもいいんじゃねぇか」
離れていると全身その姿体が良く見える。
目のやり場に困るってもんだ。
「すみません……」
立ち上がる夢主の髪がサラリと肩から落ちた。
屈んだ一瞬、胸元も緩む。着付け慣れない夢主の寝巻は元より少し緩いのだろう。
緩んだ寝巻の白さが悩ましい。
夢主は近くに寄り、これで良いでしょうかと永倉の顔を覗いた。
申し訳なさそうに訊く顔は少し口が開き、潤んだ瞳が上目遣いになっている。
黙り込む永倉が何を考えているのか分からず不安になり、夢主は伏し目がちにぱちぱちと目を瞬かせた。
永倉は胡坐を掻いた膝に手をついて下を向き、ゴクリと生唾を飲み込んで突然声を上げた。
「あーーーー!!!」
吃驚した夢主は上体を崩した。
「な、永倉さん……」
「夢主!!」
急に近付いて夢主の両の二の腕を掴み、声を荒げて名を呼んだ。
夢主が驚いて固まると、永倉は腕を回してきつく抱きしめた。
「すまん!すまねぇ、夢主!!」
強く抱きしめたまま「すまん!すまん!」と何度も大きな声で謝っている。
昂ぶった大きな体は、少しだけ震えていた。
永倉は腕を緩めて僅かに体を離すと、情けない顔で夢主を見つめた。
力ない声が漏れる。
「……ても……いぃか」
夢主は少しだけ困ったような笑みを見せ、黙って頷いた。
そのまま後ろに押し倒されて、夢主は永倉の重みを受けた。