46.お花見
夢主名前設定
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屯所の門で待っていた土方は沖田が俯いて戻って来るのを見つけた。
「なんだ総司、夢主も一緒に連れて行くんじゃなかったのか」
「土方さん」
迷い子のように淋しい姿で一人とぼとぼと歩く沖田が顔を上げた。
「夢主ちゃんは……行かないそうです。残念だなぁ、近藤さんとゆっくりお話して欲しかったんですけど」
「何で行かねぇって」
「さぁ……土方さんがあんなだから~って言ってましたね」
落ち込んだ口調と沈んだ声ながら普段通り沖田はふざけた。
「あぁっ?!」
「あ、間違えました、近藤さんが恐れ多くて、土方さんはそんなだしーって」
「なんだそりゃあ」
低い声で呟く沖田の冗談に土方は眉をひそめた。
沖田の顔を覗くと、落ち込んでいるのもあるが、頭が回っていないらしい。ぼぉっとして目の焦点が合っていない。
「まぁ近藤さんとはお話した事もないですし、故郷の仲間だけで大切な時間を楽しんで来て下さい……って事でしょうね」
「そう言ってたのか」
「言ってないですけど、そう考えるくらいしか慰めがないじゃないですか」
「総司お前、近藤さんに夢主を改めて紹介するつもりだったのか」
「そうですよ。僕の大好きな夢主ちゃんですーーって。あはははっ」
沖田はあっけらかんと笑うがどこか悲しそうだ。
対して、土方は深刻な顔立ちだ。
「お前そんな事して斎藤が黙ってねぇだろぅ」
斎藤を気遣ったのではない。
土方は沖田が気付いていない懸念を教えたかった。
「そうでしょうかね……僕は敢えて黙ってると思いますよ。あの人はそういう人ですよ。もちろん僕の片思いですって正直に言うつもりでしたけどね。夢主ちゃんの気持ちを無視して一緒になんてなりたくありませんから……」
「ほぉ~~ぉ……」
土方がわざとらしく目を細めた。
近藤に改めて夢主を紹介すれば、近藤が強引に話を進めてしまう事だって考えられる。
この時代の感覚しか持ち合わせていない近藤には、男の意思こそが重要だからだ。
沖田の気持ちを汲んで、否応無しに夫婦(めおと)として二人を結び付けてしまうかもしれない。
ただ、逆に引き離される恐れもあった。
近藤は武士として極めて高い理想を抱いている。
夢主が沖田の相手に相応しくないと判断する事も充分あり得る。
為にならないと夢主をここから追い出す結果も否定できない。
沖田はそれに気付いているのか。
お前の嫁を見つけるのはきっと近藤さんだろうよ、教えてやったのを忘れたのか。
土方はそれを伝えてやりたかった。
夢主に断られて良かったな、それが土方の胸の内だった。
「なんだ総司、夢主も一緒に連れて行くんじゃなかったのか」
「土方さん」
迷い子のように淋しい姿で一人とぼとぼと歩く沖田が顔を上げた。
「夢主ちゃんは……行かないそうです。残念だなぁ、近藤さんとゆっくりお話して欲しかったんですけど」
「何で行かねぇって」
「さぁ……土方さんがあんなだから~って言ってましたね」
落ち込んだ口調と沈んだ声ながら普段通り沖田はふざけた。
「あぁっ?!」
「あ、間違えました、近藤さんが恐れ多くて、土方さんはそんなだしーって」
「なんだそりゃあ」
低い声で呟く沖田の冗談に土方は眉をひそめた。
沖田の顔を覗くと、落ち込んでいるのもあるが、頭が回っていないらしい。ぼぉっとして目の焦点が合っていない。
「まぁ近藤さんとはお話した事もないですし、故郷の仲間だけで大切な時間を楽しんで来て下さい……って事でしょうね」
「そう言ってたのか」
「言ってないですけど、そう考えるくらいしか慰めがないじゃないですか」
「総司お前、近藤さんに夢主を改めて紹介するつもりだったのか」
「そうですよ。僕の大好きな夢主ちゃんですーーって。あはははっ」
沖田はあっけらかんと笑うがどこか悲しそうだ。
対して、土方は深刻な顔立ちだ。
「お前そんな事して斎藤が黙ってねぇだろぅ」
斎藤を気遣ったのではない。
土方は沖田が気付いていない懸念を教えたかった。
「そうでしょうかね……僕は敢えて黙ってると思いますよ。あの人はそういう人ですよ。もちろん僕の片思いですって正直に言うつもりでしたけどね。夢主ちゃんの気持ちを無視して一緒になんてなりたくありませんから……」
「ほぉ~~ぉ……」
土方がわざとらしく目を細めた。
近藤に改めて夢主を紹介すれば、近藤が強引に話を進めてしまう事だって考えられる。
この時代の感覚しか持ち合わせていない近藤には、男の意思こそが重要だからだ。
沖田の気持ちを汲んで、否応無しに夫婦(めおと)として二人を結び付けてしまうかもしれない。
ただ、逆に引き離される恐れもあった。
近藤は武士として極めて高い理想を抱いている。
夢主が沖田の相手に相応しくないと判断する事も充分あり得る。
為にならないと夢主をここから追い出す結果も否定できない。
沖田はそれに気付いているのか。
お前の嫁を見つけるのはきっと近藤さんだろうよ、教えてやったのを忘れたのか。
土方はそれを伝えてやりたかった。
夢主に断られて良かったな、それが土方の胸の内だった。