45.眠れない刺激
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朝、目覚めると斎藤の姿は無かった。
朝稽古に励む皆の威勢の良い声が響いている。
いつも通りの朝だった。
幸せです……
斎藤が気に掛けてくれているなら、そう告げて心を軽くしてあげたかった。
しかしそんな機会はなく、一日は過ぎていった。
その夜、食事も終わり静かになっていくはずの屯所内。
その廊下を走り回る音がする。静まったと思ったら再び軽めの足音が響く。
「何だか今晩は沖田さん行ったり来たり、お忙しそうですね。それに凄く嬉しそう……どなたかいらしてるのでしょうか」
斎藤の部屋から顔を出して覗くと、いつも以上に、にこやかな沖田が過ぎ去るのが見えた。
「あぁ、沖田君の故郷から人が訪ねて来ているようだ」
「訪問者……ですか」
まさか新選組の屯所を訪ねてくる客人がいるとは思わなかった。
沖田に限り女が、そんな事は無いと考えると尚更誰が来ているのか気になる。
頻繁に行ったり来たりしているのは、沖田自ら勝手元や自室へと色々な物を取りに走っているからだ。
自らもてなしたいのだろう。
「ふふっ、嬉しそう」
夢主は部屋の中に顔を戻して障子を閉めた。
斎藤は小さな机の前で何かに目を通している。
「どなたがいらしてるんですか」
「さぁな。俺も知らんよ。顔も見ていないし聞いてないからな」
「そうですか……」
沖田が部屋に出入りする時に、中から漏れ聞こえる声で土方と井上の同席が分かった。
多摩や日野からの訪問者なのだろう。
斎藤は試衛館の皆と付き合いがあるが、沖田や土方の故郷である地域の者達とは余り関わりが無いようだ。
「斎藤さんも故郷の事を考える事ってあるんですか……」
机から目線を移した斎藤は、答えるか否か夢主を見つめた後、口を開いた。
「そうだな、余り無いがな」
それだけ話すとまた机に顔を戻した。
目にしていた書物を閉じると、夢主に体を向けた。
「もう遅いし、そろそろ着替えろ。少し出てくる」
「は、はぃ」
斎藤は着替える時間を与える為か、羽織りを手にして部屋を出て行ってしまった。
「聞いちゃいけなかったかな……」
夢主は後悔しながら寝巻へ着替え始めた。
訊かれたくない事を訊かれ、気分を変える為に部屋を出たのかもしれない。
「どこに行ったのかな……戻るのかな……」
今夜は斎藤も沖田も巡察は無い。
だから沖田も楽しそうに客人を迎えているのだ。
着替えが終わり、先に寝てしまおうか迷っていると、軽やかな足音が近づいてきた。先程と同じ足音。きっと沖田だ。
朝稽古に励む皆の威勢の良い声が響いている。
いつも通りの朝だった。
幸せです……
斎藤が気に掛けてくれているなら、そう告げて心を軽くしてあげたかった。
しかしそんな機会はなく、一日は過ぎていった。
その夜、食事も終わり静かになっていくはずの屯所内。
その廊下を走り回る音がする。静まったと思ったら再び軽めの足音が響く。
「何だか今晩は沖田さん行ったり来たり、お忙しそうですね。それに凄く嬉しそう……どなたかいらしてるのでしょうか」
斎藤の部屋から顔を出して覗くと、いつも以上に、にこやかな沖田が過ぎ去るのが見えた。
「あぁ、沖田君の故郷から人が訪ねて来ているようだ」
「訪問者……ですか」
まさか新選組の屯所を訪ねてくる客人がいるとは思わなかった。
沖田に限り女が、そんな事は無いと考えると尚更誰が来ているのか気になる。
頻繁に行ったり来たりしているのは、沖田自ら勝手元や自室へと色々な物を取りに走っているからだ。
自らもてなしたいのだろう。
「ふふっ、嬉しそう」
夢主は部屋の中に顔を戻して障子を閉めた。
斎藤は小さな机の前で何かに目を通している。
「どなたがいらしてるんですか」
「さぁな。俺も知らんよ。顔も見ていないし聞いてないからな」
「そうですか……」
沖田が部屋に出入りする時に、中から漏れ聞こえる声で土方と井上の同席が分かった。
多摩や日野からの訪問者なのだろう。
斎藤は試衛館の皆と付き合いがあるが、沖田や土方の故郷である地域の者達とは余り関わりが無いようだ。
「斎藤さんも故郷の事を考える事ってあるんですか……」
机から目線を移した斎藤は、答えるか否か夢主を見つめた後、口を開いた。
「そうだな、余り無いがな」
それだけ話すとまた机に顔を戻した。
目にしていた書物を閉じると、夢主に体を向けた。
「もう遅いし、そろそろ着替えろ。少し出てくる」
「は、はぃ」
斎藤は着替える時間を与える為か、羽織りを手にして部屋を出て行ってしまった。
「聞いちゃいけなかったかな……」
夢主は後悔しながら寝巻へ着替え始めた。
訊かれたくない事を訊かれ、気分を変える為に部屋を出たのかもしれない。
「どこに行ったのかな……戻るのかな……」
今夜は斎藤も沖田も巡察は無い。
だから沖田も楽しそうに客人を迎えているのだ。
着替えが終わり、先に寝てしまおうか迷っていると、軽やかな足音が近づいてきた。先程と同じ足音。きっと沖田だ。