44.本気のお稽古
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「ご……ごめんなさぃ……私のせいですね……」
二人の真剣な勝負に水を差してしまったと申し訳なくなり頭を下げる。
道場の出口までやって来た沖田はいつもの優しい顔立ちに戻っていた。
「あははっ、気にしないで下さいよっ。強いて言うなら藤堂さん!あなたのせいですね」
「えーーっ!引っかかるほうが悪いんだぜ!」
悪びれもせず言う藤堂。
中にいる斎藤を見たが目は合わなかった。
「さぁて、散々動いて満足しちゃいました!今日はもうお終いにしましょう!ごめんね夢主ちゃん」
ふふっと首を傾げて笑い、沖田は去っていった。
悔しさを抑えていられず早く一人になりたかったのだ。
夢主は斎藤のもとへ駆け寄った。
「あの……沖田さん大丈夫でしょうか……」
「大丈夫さ、すぐ元に戻る。巡察の頃にはいつも通りだろうよ」
良く手合わせをする二人ならば、当然今日のような事も珍しくないのだろう。
「さて、どうする。俺と二人で稽古したいか」
斎藤はそんなつもりは無いと分かった上で確認した。
小さくも必死に首を横に振る夢主。
「だろうな」
斎藤は小さく笑った。
やがて訪れた夜の巡察前の一時。
一通り支度を整え総髪も直した斎藤が不意に夢主の前に座った。
「どうかしましたか」
不思議そうに見上げると、斎藤は無言で夢主の手を掴んで引っ張った。
「わっ……」
引かれて前のめりになる夢主だが、斎藤は構わず手を見ている。
「昼間触れた時に見たぞ。手の荒れが全く良くなっていない。薬塗るのを怠っているだろう。寝る前くらいしっかり薬を塗れ」
「あっ……お薬、だって斎藤さんの所に入ってるから……」
斎藤の荷物を勝手に触るのは抵抗がある。
前に直接借りて自分で塗って以来、薬を使っていなかった。
「今更それくらい気にするか。なんだ桐箪笥でも買えと言うのか」
「いえっ、そんな!滅相も……そんな高そうな物っ……」
桐箪笥だなんてと吃驚して断る夢主だが、斎藤は冗談が通じなかったのかと密かに笑んだ。
桐箪笥は嫁入り道具の定番だ。
立派なものを買えなくとも、娘が生まれた時に苗を植えれば、嫁に行く頃にはちょうど成長しているのが桐。
その娘と同じ齢の桐の木を使い箪笥をこしらえて持たせるのが一般的。
その桐箪笥を買うというのだから……。
「分からんかったか。フッ、まぁいい。ほら、薬は暫く預けておくからしっかり治せ。無くなっても構わんから遠慮するなよ」
そう言いながら薬を取り出すと夢主の前に座り直した。
預けると言ったものの斎藤は薬を渡さない。
二人の真剣な勝負に水を差してしまったと申し訳なくなり頭を下げる。
道場の出口までやって来た沖田はいつもの優しい顔立ちに戻っていた。
「あははっ、気にしないで下さいよっ。強いて言うなら藤堂さん!あなたのせいですね」
「えーーっ!引っかかるほうが悪いんだぜ!」
悪びれもせず言う藤堂。
中にいる斎藤を見たが目は合わなかった。
「さぁて、散々動いて満足しちゃいました!今日はもうお終いにしましょう!ごめんね夢主ちゃん」
ふふっと首を傾げて笑い、沖田は去っていった。
悔しさを抑えていられず早く一人になりたかったのだ。
夢主は斎藤のもとへ駆け寄った。
「あの……沖田さん大丈夫でしょうか……」
「大丈夫さ、すぐ元に戻る。巡察の頃にはいつも通りだろうよ」
良く手合わせをする二人ならば、当然今日のような事も珍しくないのだろう。
「さて、どうする。俺と二人で稽古したいか」
斎藤はそんなつもりは無いと分かった上で確認した。
小さくも必死に首を横に振る夢主。
「だろうな」
斎藤は小さく笑った。
やがて訪れた夜の巡察前の一時。
一通り支度を整え総髪も直した斎藤が不意に夢主の前に座った。
「どうかしましたか」
不思議そうに見上げると、斎藤は無言で夢主の手を掴んで引っ張った。
「わっ……」
引かれて前のめりになる夢主だが、斎藤は構わず手を見ている。
「昼間触れた時に見たぞ。手の荒れが全く良くなっていない。薬塗るのを怠っているだろう。寝る前くらいしっかり薬を塗れ」
「あっ……お薬、だって斎藤さんの所に入ってるから……」
斎藤の荷物を勝手に触るのは抵抗がある。
前に直接借りて自分で塗って以来、薬を使っていなかった。
「今更それくらい気にするか。なんだ桐箪笥でも買えと言うのか」
「いえっ、そんな!滅相も……そんな高そうな物っ……」
桐箪笥だなんてと吃驚して断る夢主だが、斎藤は冗談が通じなかったのかと密かに笑んだ。
桐箪笥は嫁入り道具の定番だ。
立派なものを買えなくとも、娘が生まれた時に苗を植えれば、嫁に行く頃にはちょうど成長しているのが桐。
その娘と同じ齢の桐の木を使い箪笥をこしらえて持たせるのが一般的。
その桐箪笥を買うというのだから……。
「分からんかったか。フッ、まぁいい。ほら、薬は暫く預けておくからしっかり治せ。無くなっても構わんから遠慮するなよ」
そう言いながら薬を取り出すと夢主の前に座り直した。
預けると言ったものの斎藤は薬を渡さない。