44.本気のお稽古
夢主名前設定
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夢主が去ると、沖田は斎藤の周りを円を描いて回るようにゆっくりと道場の中央に進んで行った。
「全く斎藤さんは……」
「あぁ?違うと言っているだろうが」
斎藤は歩く沖田に常に体が向かうよう、自然と体を動かしていた。
……大事な事……夢主がそう言ったのなら、俺の言いたい事は伝わったのか……
斎藤は沖田を目で捉えながら、夢主の一言の意味を考えた。
……一番恐れているのは真に失う事……
……目の前からいなくなるだけならば良い、どこかで無事に生きているのなら……
……許せないのは俺の知らぬ所で生を失う事……
沖田は立ち止まり、斎藤に体を向けた。
「それくらいは、分かりますよ。それでもわざと床に転がしたんでしょう」
「まぁな」
斎藤はフフンと歪んだ笑いを見せた。
「いいでしょう。夢主ちゃんが戻るまで二人で打ち込みの練習と行きましょう」
「いいだろう。打ち込みの稽古だな」
互いに手合わせと言わないのが妙であったが、二人揃って相手に向けて木刀を構えた。
「せっかくだ、何か賭けをしまいか」
「賭け……ですか。夢主ちゃんを賭ける、なんて下衆な賭けは好みませんよ」
「勘違いするな。もっと面白い掛け物があるだろう」
そう言うと斎藤は厭らしく歪んだ笑みを見せた。
「人斬りに出会った時にどちらが首を取るか、だ」
「なるほど」
この賭けには沖田もにやりと口元を歪ませた。
「確かに共に行動する事が多いですからね、同時に出くわした時、どちらが剣を交えるか……面白いですね、いいでしょう。この賭け、乗りました」
沖田が怪しく微笑むと、斎藤が僅かに腰を落とした。
「勝負っっ!!」
たんっ……と沖田が床を蹴って二人の勝負が始まった。
一方、時間を稼いで歩いた夢主はようやく井戸に辿り着いた。
水を口に含むと体が冷えて引き締まる。
「冷たぃっ……」
……さすがにもう沖田さんも落ち着いたよね、なんだかんだで仲の良い二人だし……
自分こそ落ち着かない夢主だが、気を取り直して道場へ戻っていった。
道場に近付くと何やら異変を感じる。
大きな声と物音。明らかに斎藤と沖田の声と、木刀がぶつかり合う音だ。
「えぇ……」
驚いた夢主はこっそり近寄り、入り口から顔半分見えるか見えないか、それ程恐々と中を覗いた。
「えっ、何を……」
中では斎藤と沖田が冗談ではないぶつかり合いを繰り広げていた。
凄まじい気迫と勢いで雄叫びを上げ、木刀を振るう二人に夢主はたじろいだ。
床に踏み込む音の大きさに驚いて体が跳ねる。
「何……凄すぎて……」
とても中には入れなかった。身の危険さえ感じる。
いつも冷静な斎藤が激しく昂ぶり、鬼気迫る動きを見せていた。
常に優しい沖田も尖った空気を纏って斎藤に対抗している。
そこへ通り掛かった藤堂が寄ってきた。
「ん、何してんの」
中の異変に気付いた藤堂は、頭の後ろで手を組んで「へぇ」と楽しそうに覗き始めた。
「全く斎藤さんは……」
「あぁ?違うと言っているだろうが」
斎藤は歩く沖田に常に体が向かうよう、自然と体を動かしていた。
……大事な事……夢主がそう言ったのなら、俺の言いたい事は伝わったのか……
斎藤は沖田を目で捉えながら、夢主の一言の意味を考えた。
……一番恐れているのは真に失う事……
……目の前からいなくなるだけならば良い、どこかで無事に生きているのなら……
……許せないのは俺の知らぬ所で生を失う事……
沖田は立ち止まり、斎藤に体を向けた。
「それくらいは、分かりますよ。それでもわざと床に転がしたんでしょう」
「まぁな」
斎藤はフフンと歪んだ笑いを見せた。
「いいでしょう。夢主ちゃんが戻るまで二人で打ち込みの練習と行きましょう」
「いいだろう。打ち込みの稽古だな」
互いに手合わせと言わないのが妙であったが、二人揃って相手に向けて木刀を構えた。
「せっかくだ、何か賭けをしまいか」
「賭け……ですか。夢主ちゃんを賭ける、なんて下衆な賭けは好みませんよ」
「勘違いするな。もっと面白い掛け物があるだろう」
そう言うと斎藤は厭らしく歪んだ笑みを見せた。
「人斬りに出会った時にどちらが首を取るか、だ」
「なるほど」
この賭けには沖田もにやりと口元を歪ませた。
「確かに共に行動する事が多いですからね、同時に出くわした時、どちらが剣を交えるか……面白いですね、いいでしょう。この賭け、乗りました」
沖田が怪しく微笑むと、斎藤が僅かに腰を落とした。
「勝負っっ!!」
たんっ……と沖田が床を蹴って二人の勝負が始まった。
一方、時間を稼いで歩いた夢主はようやく井戸に辿り着いた。
水を口に含むと体が冷えて引き締まる。
「冷たぃっ……」
……さすがにもう沖田さんも落ち着いたよね、なんだかんだで仲の良い二人だし……
自分こそ落ち着かない夢主だが、気を取り直して道場へ戻っていった。
道場に近付くと何やら異変を感じる。
大きな声と物音。明らかに斎藤と沖田の声と、木刀がぶつかり合う音だ。
「えぇ……」
驚いた夢主はこっそり近寄り、入り口から顔半分見えるか見えないか、それ程恐々と中を覗いた。
「えっ、何を……」
中では斎藤と沖田が冗談ではないぶつかり合いを繰り広げていた。
凄まじい気迫と勢いで雄叫びを上げ、木刀を振るう二人に夢主はたじろいだ。
床に踏み込む音の大きさに驚いて体が跳ねる。
「何……凄すぎて……」
とても中には入れなかった。身の危険さえ感じる。
いつも冷静な斎藤が激しく昂ぶり、鬼気迫る動きを見せていた。
常に優しい沖田も尖った空気を纏って斎藤に対抗している。
そこへ通り掛かった藤堂が寄ってきた。
「ん、何してんの」
中の異変に気付いた藤堂は、頭の後ろで手を組んで「へぇ」と楽しそうに覗き始めた。