43.いけない事
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
沖田は早々に体を洗い終えて湯船に体を沈めた。
肩から上を出すように湯船のふちに腕を掛け、斎藤を見ている。
「あぁ~~気持ちいいですねぇ……」
「ちゃんと体を洗ったのか」
余りに早い。
斎藤は雑だなとしかめっ面をした。
「洗いましたよー。湯浴みってのは入るまでは面倒ですが、入ってしまうと気持ちいいですね~~……はぁ」
沖田が湯の心地良さに息を漏らした。
気持ち良さから目を細めれば、昔懐かしい記憶が蘇る。
「そういえば昔はよく土方さんに湯船に沈められたなぁ……本当苛められたもんですよぉ」
歳も離れて体も小さい沖田は仲間と広い風呂に入ると、しょっちゅう湯船に頭を突っ込まれていた。
冗談なのだが本人には笑えない。
「敵はどこから襲ってくるか分からねぇ!とか言って。湯浴み中に襲われたなんて話は、僕は聞いた事がありませんけどね」
「鍛えてくれていたんじゃないか」
斎藤は楽しそうに思い出話をする沖田に目をやった。
頭から押し込みたくなる土方さん達の気持ち、分からんでもない。丸っこい頭は手が乗るにはちょうど良い。
「まぁ確かに……必死で抵抗しているうちに、お蔭様で苦手な柔術も人並みにはなりましたけどね。土方さん相手でも三回に一回は沈め返せるようになりましたから、あははっ」
「随分と可愛がられていたんだな」
何でもありの土方を沈めるとはなかなかやるな、と斎藤は微かに笑った。
「あははっ、でもあんなの嫌ですよ、もっと普通に鍛えて欲しかったですよー」
沖田はにこにこと目を細め、斎藤が早く湯船に来ないか待っていた。
斎藤は自らの体を確かめるかのように、念入りに手入れをしている。
「夢主ちゃんも今頃こうしているのかなぁ……」
「フン、女の方が時間を掛けるだろうよ。君は早すぎる。となれば、あいつもまだ体を洗っているだろうよ……」
そう言い終えて目が合った斎藤と沖田、共に夢主が体を清めている姿を思い浮かべてしまった。
あの小さな手で自らの肌を清めている。身を屈めて足の先から、後ろ手に首や背中を、動きに合わせて揺れる女の象徴……。
二人は黙って目を逸らした。
斎藤は君のせいでいらぬ事を思い浮かべてしまったと、改めて沖田を睨み付けた。
「斎藤さん早く来て下さいよ~~」
「あぁ?何で俺が君に待たれなければならん。ゆっくりさせろ阿呆が」
斎藤は再び気持ちを苛つかせて沖田を見た。
そして体を流すと沖田から離れて湯船に入った。
「えーー久しぶりに沈め合い、楽しみにしてたのに~~。勝負しましょうよー」
柔術のようにやりあう沈め合いで、俺に勝つ気かと斎藤は沖田を呆れて見た。
刀は互角でも、体格も力も斎藤に分がある。
加えて斎藤は柔術も得意だった。例え俊敏さや柔軟性で沖田が勝るとしても、湯船での格闘は結果が見えている。
久しぶりに試衛館の仲間としたように、はしゃぎたかったのだろうが、斎藤は沖田に付き合う気はなかった。
「ガキじゃあるまいし、付き合えん」
沖田を横目に冷たく言い放つと、斎藤は湯の気持ち良さに体を預けた。
夢主が湯屋の外に出ると、斎藤も沖田もすっきりした顔で待っていた。
「お待たせしました。……お二人ともさっぱりされましたか?」
心なしか二人が立つ間に距離を感じて夢主は不思議そうに訊ねた。
「あぁ。だが次からはやはり別に入るべきだ。な、沖田君」
「えぇ~~僕は構いませんよーっ」
不貞腐れる斎藤に対し、沖田は残念そうに答えた。
肩から上を出すように湯船のふちに腕を掛け、斎藤を見ている。
「あぁ~~気持ちいいですねぇ……」
「ちゃんと体を洗ったのか」
余りに早い。
斎藤は雑だなとしかめっ面をした。
「洗いましたよー。湯浴みってのは入るまでは面倒ですが、入ってしまうと気持ちいいですね~~……はぁ」
沖田が湯の心地良さに息を漏らした。
気持ち良さから目を細めれば、昔懐かしい記憶が蘇る。
「そういえば昔はよく土方さんに湯船に沈められたなぁ……本当苛められたもんですよぉ」
歳も離れて体も小さい沖田は仲間と広い風呂に入ると、しょっちゅう湯船に頭を突っ込まれていた。
冗談なのだが本人には笑えない。
「敵はどこから襲ってくるか分からねぇ!とか言って。湯浴み中に襲われたなんて話は、僕は聞いた事がありませんけどね」
「鍛えてくれていたんじゃないか」
斎藤は楽しそうに思い出話をする沖田に目をやった。
頭から押し込みたくなる土方さん達の気持ち、分からんでもない。丸っこい頭は手が乗るにはちょうど良い。
「まぁ確かに……必死で抵抗しているうちに、お蔭様で苦手な柔術も人並みにはなりましたけどね。土方さん相手でも三回に一回は沈め返せるようになりましたから、あははっ」
「随分と可愛がられていたんだな」
何でもありの土方を沈めるとはなかなかやるな、と斎藤は微かに笑った。
「あははっ、でもあんなの嫌ですよ、もっと普通に鍛えて欲しかったですよー」
沖田はにこにこと目を細め、斎藤が早く湯船に来ないか待っていた。
斎藤は自らの体を確かめるかのように、念入りに手入れをしている。
「夢主ちゃんも今頃こうしているのかなぁ……」
「フン、女の方が時間を掛けるだろうよ。君は早すぎる。となれば、あいつもまだ体を洗っているだろうよ……」
そう言い終えて目が合った斎藤と沖田、共に夢主が体を清めている姿を思い浮かべてしまった。
あの小さな手で自らの肌を清めている。身を屈めて足の先から、後ろ手に首や背中を、動きに合わせて揺れる女の象徴……。
二人は黙って目を逸らした。
斎藤は君のせいでいらぬ事を思い浮かべてしまったと、改めて沖田を睨み付けた。
「斎藤さん早く来て下さいよ~~」
「あぁ?何で俺が君に待たれなければならん。ゆっくりさせろ阿呆が」
斎藤は再び気持ちを苛つかせて沖田を見た。
そして体を流すと沖田から離れて湯船に入った。
「えーー久しぶりに沈め合い、楽しみにしてたのに~~。勝負しましょうよー」
柔術のようにやりあう沈め合いで、俺に勝つ気かと斎藤は沖田を呆れて見た。
刀は互角でも、体格も力も斎藤に分がある。
加えて斎藤は柔術も得意だった。例え俊敏さや柔軟性で沖田が勝るとしても、湯船での格闘は結果が見えている。
久しぶりに試衛館の仲間としたように、はしゃぎたかったのだろうが、斎藤は沖田に付き合う気はなかった。
「ガキじゃあるまいし、付き合えん」
沖田を横目に冷たく言い放つと、斎藤は湯の気持ち良さに体を預けた。
夢主が湯屋の外に出ると、斎藤も沖田もすっきりした顔で待っていた。
「お待たせしました。……お二人ともさっぱりされましたか?」
心なしか二人が立つ間に距離を感じて夢主は不思議そうに訊ねた。
「あぁ。だが次からはやはり別に入るべきだ。な、沖田君」
「えぇ~~僕は構いませんよーっ」
不貞腐れる斎藤に対し、沖田は残念そうに答えた。