43.いけない事
夢主名前設定
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夜の巡察で市中を回る斎藤達は、新選組の隊服を見るなり逃げ出した怪しい浪士達を追い掛けていた。
「全くちょこまかと……斎藤さん、いましたか」
「いや、見当たらん」
平隊士達と共に辺りを捜すが、すっかり見失ってしまった。
斎藤は抜き身を手に辺りを見回した。
「ちっ、逃げられたか」
「今夜はついてませんね」
二人は苛立っていた。怪しい浪士に遭遇しながら逃すとは。
距離があったとはいえ納得できず捜索を続けた。
「沖田先生、斎藤先生、いました!こっちです!」
捜索を続け、離れた角から顔を出して叫ぶ隊士の声に急いで駆けつけた。
発見した隊士達が、先に浪士達と剣を交えている。
腕は互角か。互いに小さな傷を負っているが、闘いは拮抗していた。
「どけっ!!」
斎藤は奮闘する平隊士を退けるように突進し、そのまま一人の浪士を一突きに葬った。
近くでは沖田も素早く突きを繰り出し、別の浪士にとどめを刺していた。
「逃げたぞーー!!」
そんな次々に倒れていく仲間の姿を見て怖気づいた浪士が一人、そそくさと修羅場から走り去っていった。
周りの浪士を切り伏せた斎藤達が後を追うが既に姿はなく、それから暫く辺りを捜すも見つからなかった。
「ちっ」
「やられましたね」
「あぁ」
逃した相手を折角見つけたと言うのに再度逃すなど、運の悪さを恨むべきか。
斎藤は不満げに刀をしまった。
それから付近をもう一回り歩いてから、切りを付けて屯所へ向け歩み出した。
浪士を取り逃がした自分に腹を立てて屯所へ戻った斎藤。
部屋の障子を勢いよく開けると、目に入った光景に全身が固まった。
頭を抱えて一旦下がり、部屋前の縁側の庇を支える柱に手を沿えて、頭をつける格好でうなだれた。
それまで抱いていた不機嫌な怒りの感情が形を変えて襲い掛かり、呆れを含んだ顔に変わった。
「こっ……の馬鹿が、何してやがる」
小さい声ながら力を籠めて吐き捨て、深い溜息を吐いてその場で動かなくなってしまった。
その妙な姿を通りがかった原田が見つけ、不思議に思いやって来た。
「何やってんだ斎藤、部屋に入らねぇのか」
原田は腰に手を当てて立ち止まると首を傾げた。
斎藤は原田に気付くと僅かに顔色を変えた。
「原田さん……原田さんこそ、こんな時間に何してるんですか」
「あぁ?俺はよ、ほらちょいと飲みすぎちまってよ、ははっ」
片手を腰に残したまま酒を呑むふりをして見せた。
呑み過ぎたので夜中に催してしまったのだ。
「だが、ちょうど良かったです」
「なんでぃ、どうしたよ」
斎藤が安堵した理由が分からず顔を見るとちらりと視線が動き、原田もつられてその先を見た。
「っおい、夢主、何やってんだっ」
原田が見たのは、斎藤の布団の上ですやすやと眠る夢主だった。
ぎゅぅと斎藤の掛け布団を抱きしめて眠っている。
寝巻の裾がはだけ、片足は膝の上より……もっと先まで白い肌が見えていた。
まるで斎藤の布団に縋って甘えているようだ。
「斎藤……お前偉いな、よく襲わなかったな……」
原田は流石に照れながら夢主の姿を確認した。
「えぇ、もぅこの馬鹿はどうしたら良いものか……」
斎藤も参っているらしく、夢主の眠る部屋の中を見ないようにうなだれている。
「うーん……夢主のやつ、淋しかったんじゃねぇか。もともと淋しがり屋だろぅ。大坂行ってる間はもちろんだけどよ、戻ってからもお前忙しく出掛けてたじゃねぇか」
「それは、そうですが」
斎藤は個人的に抱える仕事を済ませる為、会津藩邸に出向いたり、情報を集める為に出歩いていた。
それは隊の仲間であっても告げられない。夢主はきっと承知の上だろうが、念の為に伏せてあった。
「すみませんが原田さん、この阿呆を元に戻してもらえませんか」
「あぁ、俺がかよ!」
原田も何故自分がと戸惑った。
夢主を奥の布団へ戻す仕事、普段なら可愛い妹分と斎藤の為に喜んで引き受ける。
とは言え今、酔いが残る体で出来ればその肌に触れたくない。晒された白い腿は余りにも美しかった。
「すみません、頼まれて下さい」
斎藤は目を伏せてもう一度頼んだ。
原田はこれから同じ部屋で一晩を過ごすのに、斎藤は夢主に触れられない気分だと悟り、短く息を吐いたあと仕方なく引き受けた。
「全くちょこまかと……斎藤さん、いましたか」
「いや、見当たらん」
平隊士達と共に辺りを捜すが、すっかり見失ってしまった。
斎藤は抜き身を手に辺りを見回した。
「ちっ、逃げられたか」
「今夜はついてませんね」
二人は苛立っていた。怪しい浪士に遭遇しながら逃すとは。
距離があったとはいえ納得できず捜索を続けた。
「沖田先生、斎藤先生、いました!こっちです!」
捜索を続け、離れた角から顔を出して叫ぶ隊士の声に急いで駆けつけた。
発見した隊士達が、先に浪士達と剣を交えている。
腕は互角か。互いに小さな傷を負っているが、闘いは拮抗していた。
「どけっ!!」
斎藤は奮闘する平隊士を退けるように突進し、そのまま一人の浪士を一突きに葬った。
近くでは沖田も素早く突きを繰り出し、別の浪士にとどめを刺していた。
「逃げたぞーー!!」
そんな次々に倒れていく仲間の姿を見て怖気づいた浪士が一人、そそくさと修羅場から走り去っていった。
周りの浪士を切り伏せた斎藤達が後を追うが既に姿はなく、それから暫く辺りを捜すも見つからなかった。
「ちっ」
「やられましたね」
「あぁ」
逃した相手を折角見つけたと言うのに再度逃すなど、運の悪さを恨むべきか。
斎藤は不満げに刀をしまった。
それから付近をもう一回り歩いてから、切りを付けて屯所へ向け歩み出した。
浪士を取り逃がした自分に腹を立てて屯所へ戻った斎藤。
部屋の障子を勢いよく開けると、目に入った光景に全身が固まった。
頭を抱えて一旦下がり、部屋前の縁側の庇を支える柱に手を沿えて、頭をつける格好でうなだれた。
それまで抱いていた不機嫌な怒りの感情が形を変えて襲い掛かり、呆れを含んだ顔に変わった。
「こっ……の馬鹿が、何してやがる」
小さい声ながら力を籠めて吐き捨て、深い溜息を吐いてその場で動かなくなってしまった。
その妙な姿を通りがかった原田が見つけ、不思議に思いやって来た。
「何やってんだ斎藤、部屋に入らねぇのか」
原田は腰に手を当てて立ち止まると首を傾げた。
斎藤は原田に気付くと僅かに顔色を変えた。
「原田さん……原田さんこそ、こんな時間に何してるんですか」
「あぁ?俺はよ、ほらちょいと飲みすぎちまってよ、ははっ」
片手を腰に残したまま酒を呑むふりをして見せた。
呑み過ぎたので夜中に催してしまったのだ。
「だが、ちょうど良かったです」
「なんでぃ、どうしたよ」
斎藤が安堵した理由が分からず顔を見るとちらりと視線が動き、原田もつられてその先を見た。
「っおい、夢主、何やってんだっ」
原田が見たのは、斎藤の布団の上ですやすやと眠る夢主だった。
ぎゅぅと斎藤の掛け布団を抱きしめて眠っている。
寝巻の裾がはだけ、片足は膝の上より……もっと先まで白い肌が見えていた。
まるで斎藤の布団に縋って甘えているようだ。
「斎藤……お前偉いな、よく襲わなかったな……」
原田は流石に照れながら夢主の姿を確認した。
「えぇ、もぅこの馬鹿はどうしたら良いものか……」
斎藤も参っているらしく、夢主の眠る部屋の中を見ないようにうなだれている。
「うーん……夢主のやつ、淋しかったんじゃねぇか。もともと淋しがり屋だろぅ。大坂行ってる間はもちろんだけどよ、戻ってからもお前忙しく出掛けてたじゃねぇか」
「それは、そうですが」
斎藤は個人的に抱える仕事を済ませる為、会津藩邸に出向いたり、情報を集める為に出歩いていた。
それは隊の仲間であっても告げられない。夢主はきっと承知の上だろうが、念の為に伏せてあった。
「すみませんが原田さん、この阿呆を元に戻してもらえませんか」
「あぁ、俺がかよ!」
原田も何故自分がと戸惑った。
夢主を奥の布団へ戻す仕事、普段なら可愛い妹分と斎藤の為に喜んで引き受ける。
とは言え今、酔いが残る体で出来ればその肌に触れたくない。晒された白い腿は余りにも美しかった。
「すみません、頼まれて下さい」
斎藤は目を伏せてもう一度頼んだ。
原田はこれから同じ部屋で一晩を過ごすのに、斎藤は夢主に触れられない気分だと悟り、短く息を吐いたあと仕方なく引き受けた。