41.嫉妬
夢主名前設定
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「あぁ。八木家の子供が外で赤い髪の男に呼び止められたそうだ。間違いないだろう」
「そうですか……」
「お前も知らんのか」
知っているとばかり思っていた斎藤は、僅かに瞳孔を開いた。
「はい……ずっとお世話して頂いて、最後にお話をしたのも彼でした。だからそうなんだろうとは思ってたんですけど、気を失っていたので……」
「成る程な」
斎藤は納得して頷いた。
「ずっと刀を抱えて……何かに取り憑かれているみたいでした。剣の腕は立つけど、剣を振るう理由は斎藤さんや沖田さんとは全く違う……」
「己の信じる物の為に剣を振るっているのではないのか。思いは違えど、佐幕も倒幕も皆そういったものだろう」
「それは……そうなんですけど……」
これ以上話せば緋村の心の弱さを露呈してしまう。
夢主は続けられずに口を閉ざした。
斎藤は話の続きを待つが、催促はしなかった。
夢主が無事戻れた理由もその違いとやらにあるのか。
だが、訊かないでくださいと閉ざされた口。ならば今はこれ以上の詮索は無用だ。
「他に変わった事は無かったか。俺達がいない間に変わりは、困り事はなかったか」
「あ、えっと……また雪が降ったり、一人でお月見したり……あ、お酒は呑んでいませんよ!」
夢主は慌てて酒を否定して、ここ暫くの生活を語った。
その様子が可笑しく、表情を変えず話を聞いていた斎藤がニヤニヤと口元を緩めた。
「それからお食事はお部屋で頂いて……」
「お前、そういえば恋文を送ってきたな」
「え…………えぇえええっ!!そ、そんな、私っ」
夢主の話に返すよう、斎藤は大坂にいた間で一番面白かった出来事を持ち出した。
いきなり突きつけられた誤解に夢主は驚きの声を上げた。
「ククッ、違うとは思ったが土方さんは勘違いして、皆もそう思い込んでいたぞ」
「そ、そんなぁあああっ……」
夢主は静かにうなだれた。
「『静かなる 雪消ゆる時 きみ浮かぶ』……綺麗じゃないか」
斎藤は句を思い出して口にした。
もちろん夢主に恋文の自覚はなく、雪が降った日に雪がすぐ溶けていく寂しさと皆がいない淋しさを重ね、目の前の景色を思い浮かんだ言葉に乗せてみただけだった。
みんな……としたかったが、きみの方がしっくりするかな、その程度の感覚だった。
「その恋文は今、沖田君が持っているはずだ」
「えぇっ!あの文、捨てていないんですか!」
「捨てると思っていたのか」
素早く頷き、夢主は納得いかないと叫ぶように言った。
「はい、だって用済みのものを土方さんが取って置くなんて思わないです!」
「それを聞いたら土方さん怒るぞ」
斎藤は小さく本音を溢し、慌てぶりが面白いとばかりに夢主を眺めた。
「そうですか……」
「お前も知らんのか」
知っているとばかり思っていた斎藤は、僅かに瞳孔を開いた。
「はい……ずっとお世話して頂いて、最後にお話をしたのも彼でした。だからそうなんだろうとは思ってたんですけど、気を失っていたので……」
「成る程な」
斎藤は納得して頷いた。
「ずっと刀を抱えて……何かに取り憑かれているみたいでした。剣の腕は立つけど、剣を振るう理由は斎藤さんや沖田さんとは全く違う……」
「己の信じる物の為に剣を振るっているのではないのか。思いは違えど、佐幕も倒幕も皆そういったものだろう」
「それは……そうなんですけど……」
これ以上話せば緋村の心の弱さを露呈してしまう。
夢主は続けられずに口を閉ざした。
斎藤は話の続きを待つが、催促はしなかった。
夢主が無事戻れた理由もその違いとやらにあるのか。
だが、訊かないでくださいと閉ざされた口。ならば今はこれ以上の詮索は無用だ。
「他に変わった事は無かったか。俺達がいない間に変わりは、困り事はなかったか」
「あ、えっと……また雪が降ったり、一人でお月見したり……あ、お酒は呑んでいませんよ!」
夢主は慌てて酒を否定して、ここ暫くの生活を語った。
その様子が可笑しく、表情を変えず話を聞いていた斎藤がニヤニヤと口元を緩めた。
「それからお食事はお部屋で頂いて……」
「お前、そういえば恋文を送ってきたな」
「え…………えぇえええっ!!そ、そんな、私っ」
夢主の話に返すよう、斎藤は大坂にいた間で一番面白かった出来事を持ち出した。
いきなり突きつけられた誤解に夢主は驚きの声を上げた。
「ククッ、違うとは思ったが土方さんは勘違いして、皆もそう思い込んでいたぞ」
「そ、そんなぁあああっ……」
夢主は静かにうなだれた。
「『静かなる 雪消ゆる時 きみ浮かぶ』……綺麗じゃないか」
斎藤は句を思い出して口にした。
もちろん夢主に恋文の自覚はなく、雪が降った日に雪がすぐ溶けていく寂しさと皆がいない淋しさを重ね、目の前の景色を思い浮かんだ言葉に乗せてみただけだった。
みんな……としたかったが、きみの方がしっくりするかな、その程度の感覚だった。
「その恋文は今、沖田君が持っているはずだ」
「えぇっ!あの文、捨てていないんですか!」
「捨てると思っていたのか」
素早く頷き、夢主は納得いかないと叫ぶように言った。
「はい、だって用済みのものを土方さんが取って置くなんて思わないです!」
「それを聞いたら土方さん怒るぞ」
斎藤は小さく本音を溢し、慌てぶりが面白いとばかりに夢主を眺めた。