40.小さな変わり
夢主名前設定
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一方、部屋に戻った土方のもとへ、残る不安に関する報告が届いた。
「副長!大変です!!」
「どうした、騒がしいな」
青白い顔で部屋に入ってきた隊士は土方の耳元で要件を伝えた。
「鵜堂刃衛の粛清に向かった隊士達は全滅……全員が無残な姿で見つかりました。あれだけの実力ある隊士が揃っていたのに……」
「ちっ」
痛い戦力の喪失と、刃衛の逃走に土方は舌打ちをした。
「どうしますか、後続部隊を出しますか……」
「いや、あいつはもう捨て置け。これ以上うちの戦力を削ぐ訳にはいかない」
言い終えて土方は悔しさで奥歯を噛み締めていた。
報告を済ませた隊士は頭を下げ、土方の気持ちを汲み取り素早く退出した。
「……ちきしょう!」
一人になった土方は命を失った隊士達の無念を想い、言葉を吐き出した。
夢主が眠る部屋。斎藤は汗と埃を落として戻ってきた。
己の部屋に夢主以外の気配がある。誰だ勝手にと眉間に皺を寄せるが、覚えのある気配だ。
布団の横には沖田が座っていた。
「ぁ、すみません勝手に」
「構わん」
夢主がいなければ叩き出す所だが。
振り返って爽やかな顔を見せる沖田に斎藤は密かに言い返した。
「ここで待たせて貰っても構いませんか」
「構わんが」
斎藤の言葉ににこりとする沖田だが、少し含みのある笑顔だ。
「本当に抱きつくつもりで待っているのか」
「そうですよ」
冗談だと思ったら本気らしい。
あっけらかんと言うが決心は揺るぎないようだ。
「大坂に行ってから何らや君も変わったな」
「いえ、大坂での斎藤さんを見ていたら悩んでいるのが馬鹿みたいだなって。もちろん夢主ちゃんの嫌がる事をする気はありませんよ。でも、もう少し自分の気持ちに正直になってみようかなーーっと」
「ほぉぅ」
ニコニコと話す沖田は鋭い眼差しで斎藤を見ている。
「だが、抱きつくのはやり過ぎではないか。夢主が喜ぶとは思わんが」
「これはただの、頑張ったねーー!の抱擁です。ほら、親が子供を誉める時にするでしょう。夢主ちゃん物凄く頑張ったじゃないですか」
「こいつは子供か」
「やっぱり嫌ですか」
挑発的な声色だ。珍しく夢主の事で見せる好戦的な態度。
斎藤は黙って睨みかえした。
「あははっ、そんな怖い顔しないで下さいよ。僕が本気なのはご存知でしょう。夢主ちゃんにも諦めませんと伝えてありますから。構わないでしょう?」
僕が何をしようが責められますか、そんな顔で沖田は斎藤を見た。
「そうだな。君が何をしようが、夢主が何を受け入れようが俺には関係ない。そう言いたいんだろう」
「ふふっ」
沖田は短く笑うと、返事をせずに夢主に向き直った。
「それにしても起きないですね……体力が落ちてるのかな。……僕に抱きつかれるのが嫌なのかな」
ぐっすり眠る夢主を眺め、沖田は呟いた。
そんな沖田と眠る夢主を尻目に、斎藤は自分の時間を過ごすべく机の前に座った。
静かな時間は陽が沈むまで続いた。
「副長!大変です!!」
「どうした、騒がしいな」
青白い顔で部屋に入ってきた隊士は土方の耳元で要件を伝えた。
「鵜堂刃衛の粛清に向かった隊士達は全滅……全員が無残な姿で見つかりました。あれだけの実力ある隊士が揃っていたのに……」
「ちっ」
痛い戦力の喪失と、刃衛の逃走に土方は舌打ちをした。
「どうしますか、後続部隊を出しますか……」
「いや、あいつはもう捨て置け。これ以上うちの戦力を削ぐ訳にはいかない」
言い終えて土方は悔しさで奥歯を噛み締めていた。
報告を済ませた隊士は頭を下げ、土方の気持ちを汲み取り素早く退出した。
「……ちきしょう!」
一人になった土方は命を失った隊士達の無念を想い、言葉を吐き出した。
夢主が眠る部屋。斎藤は汗と埃を落として戻ってきた。
己の部屋に夢主以外の気配がある。誰だ勝手にと眉間に皺を寄せるが、覚えのある気配だ。
布団の横には沖田が座っていた。
「ぁ、すみません勝手に」
「構わん」
夢主がいなければ叩き出す所だが。
振り返って爽やかな顔を見せる沖田に斎藤は密かに言い返した。
「ここで待たせて貰っても構いませんか」
「構わんが」
斎藤の言葉ににこりとする沖田だが、少し含みのある笑顔だ。
「本当に抱きつくつもりで待っているのか」
「そうですよ」
冗談だと思ったら本気らしい。
あっけらかんと言うが決心は揺るぎないようだ。
「大坂に行ってから何らや君も変わったな」
「いえ、大坂での斎藤さんを見ていたら悩んでいるのが馬鹿みたいだなって。もちろん夢主ちゃんの嫌がる事をする気はありませんよ。でも、もう少し自分の気持ちに正直になってみようかなーーっと」
「ほぉぅ」
ニコニコと話す沖田は鋭い眼差しで斎藤を見ている。
「だが、抱きつくのはやり過ぎではないか。夢主が喜ぶとは思わんが」
「これはただの、頑張ったねーー!の抱擁です。ほら、親が子供を誉める時にするでしょう。夢主ちゃん物凄く頑張ったじゃないですか」
「こいつは子供か」
「やっぱり嫌ですか」
挑発的な声色だ。珍しく夢主の事で見せる好戦的な態度。
斎藤は黙って睨みかえした。
「あははっ、そんな怖い顔しないで下さいよ。僕が本気なのはご存知でしょう。夢主ちゃんにも諦めませんと伝えてありますから。構わないでしょう?」
僕が何をしようが責められますか、そんな顔で沖田は斎藤を見た。
「そうだな。君が何をしようが、夢主が何を受け入れようが俺には関係ない。そう言いたいんだろう」
「ふふっ」
沖田は短く笑うと、返事をせずに夢主に向き直った。
「それにしても起きないですね……体力が落ちてるのかな。……僕に抱きつかれるのが嫌なのかな」
ぐっすり眠る夢主を眺め、沖田は呟いた。
そんな沖田と眠る夢主を尻目に、斎藤は自分の時間を過ごすべく机の前に座った。
静かな時間は陽が沈むまで続いた。