40.小さな変わり
夢主名前設定
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「それから俺からもひとつ報告がある。夢主、総司と斎藤はこれから夜番に専念してもらう事になった」
「夜番……ですか」
「あぁ。俺は巡察が夜の担当になる。夕飯の後に出て帰りは遅くなるから先に寝ていろよ。夜は屯所内でも出歩くな」
土方の説明を聞き返した夢主に、斎藤が「そうだ」と頷き、説明を付け加えた。
「淋しいか」
土方が面白げに訊く。淋しいと顔に書いてあったからだ。
「い、いえっ、そんな事は……」
「もし淋しかったらいつでも俺の部屋を訊ねて来い。まぁ俺は忙しいから夜の部屋にいねぇ事が多いがな」
土方が女に人気である自分を自慢げに語るので、夢主は可笑しくてクスクスと笑った。
「土方さん、引く手数多……ってやつですね、ふふっ」
「そういう事だ、ははっ。まぁ本当に淋しかったら原田か源さんの所にでも行くんだな。あとは昼に言ってくれりゃあ俺が夜待っててやるよ」
さらっと言った土方、下心は含んでいなかった。
ただ、下心はなくとも、出向けばきっとただでは済まないのだろう。
「ふふ……ありがとうございます。でも私も子供ではないので、大丈夫です」
夢主はそう言うと少し大人っぽく微笑んで見せた。
「昼間はその分一緒にいてやれるだろうから大丈夫だろ、フッ」
斎藤も大人ぶった夢主を真似して微笑んで見せた。真似された夢主は照れて顔を火照らせた。
「はっ……はい」
「あははっ、斎藤さん似合わないですっ」
「フン」
沖田は斎藤の珍しい澄ました微笑を笑った。
「さて、他に話すことがねぇんなら、総司と斎藤は埃を落として来い。お前らずっとそのままかよ」
武具は外したものの、袴も着物もそのままである二人に土方は呆れた。
「夢主はもう少し休んでろ。腹が減ってるだろうから何か用意させる。今日は部屋で大人しくしているんだな」
そう言うと土方は斎藤達よりも先に立ち上がった。気遣いの言葉が的確な指示のようだ。
「はい、土方さん。ご心配おかけしました……あの、ありがとうございました」
夢主は部屋を出ようとする土方に、大事な任務の最中に気を揉ませた事を詫びて頭を下げた。
土方は肩から僅かに振り返った。
「気にするな。お前が悪かった訳じゃねぇ。運が悪かったな。刃衛はもう戻ってこねぇだろう。同じ人質を二回も引き取るほど奴らも馬鹿じゃあるまい」
「夢主ちゃん、頑張ったね」
土方が去り、沖田は労わりの言葉を掛けた。
「それによく無事に戻ってくれて……夢主ちゃん本当に頑張ったね……凄いよ……」
自分の力で戻ってきた夢主に沖田は感動にも近い感情を抱いていた。
こんな弱々しい小さな体で大それたことをしたもんだと、男二人は思っていた。
「あーー頑張ったね!って抱きしめてあげたいのに!こんな埃まみれじゃ出来ないね!僕、お湯もらってくるよ!」
あっけらかんとした表情に戻ると沖田は大きな声を出した。
「じゃあ、また後でね!」
後で抱きしめに来るよ!とも受け取れる言葉を残して沖田も部屋を出て行った。
意味深な言葉に恥らう夢主をよそに、斎藤は呟いた。
「沖田君も大坂へ行って調子がおかしくなったな」
「え?沖田さんもって斎藤さんもなのですか?」
いつもと同じに見えた夢主は心配になって斎藤を覗き込んだ。
「いや何でもない、言葉のあやだ気にするな。俺もさっぱりしてくるから、大人しくしていろよ」
「はい」
にこやかに微笑んで斎藤を見送り、夢主はもう一度横たわった。
斎藤は大坂から戻った己の変化を何も感じていない夢主に安心し、廊下を静かに歩いて行った。
「夜番……ですか」
「あぁ。俺は巡察が夜の担当になる。夕飯の後に出て帰りは遅くなるから先に寝ていろよ。夜は屯所内でも出歩くな」
土方の説明を聞き返した夢主に、斎藤が「そうだ」と頷き、説明を付け加えた。
「淋しいか」
土方が面白げに訊く。淋しいと顔に書いてあったからだ。
「い、いえっ、そんな事は……」
「もし淋しかったらいつでも俺の部屋を訊ねて来い。まぁ俺は忙しいから夜の部屋にいねぇ事が多いがな」
土方が女に人気である自分を自慢げに語るので、夢主は可笑しくてクスクスと笑った。
「土方さん、引く手数多……ってやつですね、ふふっ」
「そういう事だ、ははっ。まぁ本当に淋しかったら原田か源さんの所にでも行くんだな。あとは昼に言ってくれりゃあ俺が夜待っててやるよ」
さらっと言った土方、下心は含んでいなかった。
ただ、下心はなくとも、出向けばきっとただでは済まないのだろう。
「ふふ……ありがとうございます。でも私も子供ではないので、大丈夫です」
夢主はそう言うと少し大人っぽく微笑んで見せた。
「昼間はその分一緒にいてやれるだろうから大丈夫だろ、フッ」
斎藤も大人ぶった夢主を真似して微笑んで見せた。真似された夢主は照れて顔を火照らせた。
「はっ……はい」
「あははっ、斎藤さん似合わないですっ」
「フン」
沖田は斎藤の珍しい澄ました微笑を笑った。
「さて、他に話すことがねぇんなら、総司と斎藤は埃を落として来い。お前らずっとそのままかよ」
武具は外したものの、袴も着物もそのままである二人に土方は呆れた。
「夢主はもう少し休んでろ。腹が減ってるだろうから何か用意させる。今日は部屋で大人しくしているんだな」
そう言うと土方は斎藤達よりも先に立ち上がった。気遣いの言葉が的確な指示のようだ。
「はい、土方さん。ご心配おかけしました……あの、ありがとうございました」
夢主は部屋を出ようとする土方に、大事な任務の最中に気を揉ませた事を詫びて頭を下げた。
土方は肩から僅かに振り返った。
「気にするな。お前が悪かった訳じゃねぇ。運が悪かったな。刃衛はもう戻ってこねぇだろう。同じ人質を二回も引き取るほど奴らも馬鹿じゃあるまい」
「夢主ちゃん、頑張ったね」
土方が去り、沖田は労わりの言葉を掛けた。
「それによく無事に戻ってくれて……夢主ちゃん本当に頑張ったね……凄いよ……」
自分の力で戻ってきた夢主に沖田は感動にも近い感情を抱いていた。
こんな弱々しい小さな体で大それたことをしたもんだと、男二人は思っていた。
「あーー頑張ったね!って抱きしめてあげたいのに!こんな埃まみれじゃ出来ないね!僕、お湯もらってくるよ!」
あっけらかんとした表情に戻ると沖田は大きな声を出した。
「じゃあ、また後でね!」
後で抱きしめに来るよ!とも受け取れる言葉を残して沖田も部屋を出て行った。
意味深な言葉に恥らう夢主をよそに、斎藤は呟いた。
「沖田君も大坂へ行って調子がおかしくなったな」
「え?沖田さんもって斎藤さんもなのですか?」
いつもと同じに見えた夢主は心配になって斎藤を覗き込んだ。
「いや何でもない、言葉のあやだ気にするな。俺もさっぱりしてくるから、大人しくしていろよ」
「はい」
にこやかに微笑んで斎藤を見送り、夢主はもう一度横たわった。
斎藤は大坂から戻った己の変化を何も感じていない夢主に安心し、廊下を静かに歩いて行った。