40.小さな変わり
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「その飯塚ってのはどんな奴だ」
「髭があって細身……背もそこそこ……土方さんの言う人と同じ人かもしれません。その人は金次第で動く人……思想家ではないんです。今は桂さんの傍にいるんじゃないかな……」
夢主は想像も含めて語った。
ひょろりと細く、緋村の世話役だった男だ。
「桂……そうか。それでその飯塚って奴がお前の面倒を見ていたのか」
土方に続けて問われ、答え代わりに夢主は黙って首を振った。
「鵜堂刃衛から飯塚って人に手渡されたのは確かです。連れて行かれた場所は、目隠しされていたので分かりません。お世話してくれたのは…………言いたく……ありません。お気付きかもしれませんが……」
土方は溜息を吐いて腕を組んだ。
その正体が赤髪の人斬りで間違いないらしい。
「何か話したのか。その面倒を見た男と」
「それは……丸一日一緒にいましたから、少しは……。でも本当に体が辛くて、半分以上寝ていました。それにその人は私に……何もかもに興味がなさそうで、面倒を見るのも凄く嫌がっていました。何で俺がって怒ってましたから……」
まだ俺達が赤い髪としか知らない人斬りに、夢主は出会って言葉を交わし、更にはここまで連れて来られ、帰された。土方も斎藤も、沖田でさえも夢主を驚きの目で見た。
「何故、無事に帰れた」
土方は至極強い目で夢主を見ている。
夢主に限り密約を結ぶなど考えられない。しかし無事に帰される理由も分からない。
「それは……私、みなさんの事、裏切ったりしていません。でも……詳しい訳は……」
「俺達に関わる事なのか」
言葉が詰まり視線を落とす夢主。斎藤が助け船のように訊ねた。
「いいえ……みなさんというよりは……彼自身の……人斬りとは言え人です……心があると思ったので、良心に訴えたんです。それだけです」
夢主は土方を見つめて言い切った。
新選組の皆を売りなどしない、信じて欲しい。
「成る程な……まぁ、だとしたらお前は俺以上の策士だな、フン」
土方は嬉しそうに鼻で笑い、夢主に微笑んで見せた。
敵の手中に一度は落ち、一人舞い戻るなどなかなか出来る事ではない。
「いいぜ、言いたくないなら……お前を信じる。いいな。だからこれからも、お前は俺達を信じるんだ」
「は……はぃっ……」
あっさり認めてくれた土方に拍子抜けした夢主は小さな声で返事をした。
後ろを振り返りると、斎藤と沖田も柔らかい表情で頷いてくれた。
「俺達は人の嘘など簡単に見抜ける。お前みたいな単純なやつなら尚更……と、前にも言っただろ」
「ぁ……はぃ……ありがとぅ……ありがとうございます!っふふ……」
斎藤の口角がにやりと上がる。
夢主は自分の単純さを素直に喜び、笑みを漏らした。
「髭があって細身……背もそこそこ……土方さんの言う人と同じ人かもしれません。その人は金次第で動く人……思想家ではないんです。今は桂さんの傍にいるんじゃないかな……」
夢主は想像も含めて語った。
ひょろりと細く、緋村の世話役だった男だ。
「桂……そうか。それでその飯塚って奴がお前の面倒を見ていたのか」
土方に続けて問われ、答え代わりに夢主は黙って首を振った。
「鵜堂刃衛から飯塚って人に手渡されたのは確かです。連れて行かれた場所は、目隠しされていたので分かりません。お世話してくれたのは…………言いたく……ありません。お気付きかもしれませんが……」
土方は溜息を吐いて腕を組んだ。
その正体が赤髪の人斬りで間違いないらしい。
「何か話したのか。その面倒を見た男と」
「それは……丸一日一緒にいましたから、少しは……。でも本当に体が辛くて、半分以上寝ていました。それにその人は私に……何もかもに興味がなさそうで、面倒を見るのも凄く嫌がっていました。何で俺がって怒ってましたから……」
まだ俺達が赤い髪としか知らない人斬りに、夢主は出会って言葉を交わし、更にはここまで連れて来られ、帰された。土方も斎藤も、沖田でさえも夢主を驚きの目で見た。
「何故、無事に帰れた」
土方は至極強い目で夢主を見ている。
夢主に限り密約を結ぶなど考えられない。しかし無事に帰される理由も分からない。
「それは……私、みなさんの事、裏切ったりしていません。でも……詳しい訳は……」
「俺達に関わる事なのか」
言葉が詰まり視線を落とす夢主。斎藤が助け船のように訊ねた。
「いいえ……みなさんというよりは……彼自身の……人斬りとは言え人です……心があると思ったので、良心に訴えたんです。それだけです」
夢主は土方を見つめて言い切った。
新選組の皆を売りなどしない、信じて欲しい。
「成る程な……まぁ、だとしたらお前は俺以上の策士だな、フン」
土方は嬉しそうに鼻で笑い、夢主に微笑んで見せた。
敵の手中に一度は落ち、一人舞い戻るなどなかなか出来る事ではない。
「いいぜ、言いたくないなら……お前を信じる。いいな。だからこれからも、お前は俺達を信じるんだ」
「は……はぃっ……」
あっさり認めてくれた土方に拍子抜けした夢主は小さな声で返事をした。
後ろを振り返りると、斎藤と沖田も柔らかい表情で頷いてくれた。
「俺達は人の嘘など簡単に見抜ける。お前みたいな単純なやつなら尚更……と、前にも言っただろ」
「ぁ……はぃ……ありがとぅ……ありがとうございます!っふふ……」
斎藤の口角がにやりと上がる。
夢主は自分の単純さを素直に喜び、笑みを漏らした。