40.小さな変わり
夢主名前設定
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「その後……夜でした。お風呂で急に怖くなったんです。何か……覗かれたような気がして……」
俯いたまま自分の身を守るように両腕をぎゅぅと握る夢主、困ったように頬を染めるのを見て、斎藤達もぴくりと顔を歪め渋い顔をした。
入浴中に気配を感じたのならば間違いない。肌を見られたのだ。
「でもその時も回りに人はいなくて、気のせいだと思っても怖くて……すぐお部屋に戻ったんです。誰もいないし、やっぱり気のせいなんだって安心したら、また外で物音がしたんです。もしかしたら猫かなって外を覗いてしまって……」
そこまで話すと夢主は膝の上に両手を戻し、きつく拳を握った。
「部屋の中に戻る所を後から……気が付いたらもぅ体が動かなくて……声も出なくて……」
土方の視線が夢主を捉えて動かない。後に座る斎藤と沖田の視線も自分に向いている。
思い出した恐怖と話に対する緊張、注目される恥ずかしさで言葉に詰まってしまった。
「大丈夫か」
「は……はぃ……」
斎藤は声を掛けると夢主の傍に寄った。少し動けば互いの腕がぶつかるほど近い。
夢主は頼りになる存在を感じる事で安心を取り戻した。
「それから……目隠しをされて、そのまま……気が付いたら、どこか外に……猿轡に手も縛られていて……」
「手……」
沖田が呟いた。先程見た時には手首は綺麗だった。
それ程強く縛られなかったのか。二日で消えるなら誰かがすぐに解いて、薬を塗り肌を滑らかに、手当てをしてくれたのだろう。
「鵜堂刃衛が誰かと話をしていました。……これで……どうだって……」
自分を示す「これ」という言葉を言うと、夢主はもう一度言葉を止めて唾を飲み込んだ。
「誰かが喜んでいて……引受け先を準備するから待ってろと言って去っていきました。その時に、私お風呂上りだったので……髪が濡れていて物凄く寒くて……風邪をひいてしまって……そのせいできっと痩せてしまったんです」
少し顔を上げると辛さを隠して、はにかんで見せた。
「誰かって言うのは、分かるか」
「分かりません……でもきっと……長州の飯塚さん……」
「飯塚」
「ご存知ですか」
名前を繰り返した土方に、斎藤が訊ねた。
「いや、知らねぇな。ただ花街でおかしな長州の男に声を掛けられた事はある。あそこは思想も左幕も倒幕も関係ねぇからな。長州の連中とすれ違った時に一人遅れていた男が『情報は金次第……』そう俺の耳元で呟きやがった。髭が生えたいけ好かねぇ細い男だ」
土方は舌打ちをして、顎を触りながら夢主を見た。
俯いたまま自分の身を守るように両腕をぎゅぅと握る夢主、困ったように頬を染めるのを見て、斎藤達もぴくりと顔を歪め渋い顔をした。
入浴中に気配を感じたのならば間違いない。肌を見られたのだ。
「でもその時も回りに人はいなくて、気のせいだと思っても怖くて……すぐお部屋に戻ったんです。誰もいないし、やっぱり気のせいなんだって安心したら、また外で物音がしたんです。もしかしたら猫かなって外を覗いてしまって……」
そこまで話すと夢主は膝の上に両手を戻し、きつく拳を握った。
「部屋の中に戻る所を後から……気が付いたらもぅ体が動かなくて……声も出なくて……」
土方の視線が夢主を捉えて動かない。後に座る斎藤と沖田の視線も自分に向いている。
思い出した恐怖と話に対する緊張、注目される恥ずかしさで言葉に詰まってしまった。
「大丈夫か」
「は……はぃ……」
斎藤は声を掛けると夢主の傍に寄った。少し動けば互いの腕がぶつかるほど近い。
夢主は頼りになる存在を感じる事で安心を取り戻した。
「それから……目隠しをされて、そのまま……気が付いたら、どこか外に……猿轡に手も縛られていて……」
「手……」
沖田が呟いた。先程見た時には手首は綺麗だった。
それ程強く縛られなかったのか。二日で消えるなら誰かがすぐに解いて、薬を塗り肌を滑らかに、手当てをしてくれたのだろう。
「鵜堂刃衛が誰かと話をしていました。……これで……どうだって……」
自分を示す「これ」という言葉を言うと、夢主はもう一度言葉を止めて唾を飲み込んだ。
「誰かが喜んでいて……引受け先を準備するから待ってろと言って去っていきました。その時に、私お風呂上りだったので……髪が濡れていて物凄く寒くて……風邪をひいてしまって……そのせいできっと痩せてしまったんです」
少し顔を上げると辛さを隠して、はにかんで見せた。
「誰かって言うのは、分かるか」
「分かりません……でもきっと……長州の飯塚さん……」
「飯塚」
「ご存知ですか」
名前を繰り返した土方に、斎藤が訊ねた。
「いや、知らねぇな。ただ花街でおかしな長州の男に声を掛けられた事はある。あそこは思想も左幕も倒幕も関係ねぇからな。長州の連中とすれ違った時に一人遅れていた男が『情報は金次第……』そう俺の耳元で呟きやがった。髭が生えたいけ好かねぇ細い男だ」
土方は舌打ちをして、顎を触りながら夢主を見た。