39.眠ったままに
夢主名前設定
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昏々と眠る顔を見ているうちに、斎藤は夢主の顔に手を伸ばしていた。何か違和感を感じたのだ。
頬に触れようかという時、沖田に小声で止められた。
「駄目ですよっ、起きちゃうじゃないですか!」
「あぁ、すまんな。夢主のやつ、少し痩せてはいまいか」
「ぁ……確かに……少し線が細くなっている気が……それに目の下、寝ているのに隈が……辛かったのかな。こんなに深く眠るなんて」
沖田は悲しげに呟いた。
斎藤も静かに見つめている。だが沖田とは少し違う事を考えていた。
……あんなに晴れなかった鬱屈した気持ちから、こんなにも簡単に開放されるとは……
夢主の姿を目にした瞬間、心の中の淀みが無かったかのように胸がすくのを感じた。
「でも良かった……傍にいられるって幸せですね、ふふっ」
「そうだな」
沖田の可愛い囁きに斎藤も素直に同意した。
……こうして見ていると思わず頬に触れたくなる……だが何だ……
……大坂では、あんなにどす黒いものを感じたのに今はすっかり落ち着いている……
……このままこいつの肌を欲しくなる衝動が出なければ良いのだが……
……そうだな……愛でてやりたいのか……慈しんでやりたいのか……
……ただ労わってやりたくなるな、この寝顔を見ていると……
斎藤は己に語りかけながら、夢主の静かな寝息に耳を澄まして目を閉じた。
大坂でのあの疲弊した夜も無駄ではなかったのだろうか。
今は夢主に対する昂ぶりがしっかりと治まっている。
この状況の所為か、それとも大坂で発散させた事に意義があったのか。
斎藤は考えを廻らせていた。
やがて何か思い付いて目を開くと、沖田の横顔を見た。沖田は柔らかい表情で夢主を見ている。
「沖田君、君は前に何らや決めたと言っていたな」
「あ?えっと、夢主ちゃんの事ですか?まずは病を退けて、それから夢主ちゃんの事を守ってみせる……確かにそう決めましたよ」
沖田はニッと口を閉めて笑った。その晴れやかな表情に斎藤も二ッと小さく笑んだ。
「そうか、そいつはいいな。俺もひとつ決めたぞ」
「え、何ですかっ」
沖田はわくわくと興味津々に身を乗り出した。
自分の決め事をすんなり受け入れてくれた斎藤が、自身は一体何を決めたのか。
「フン、内緒だ」
「えーーーっ!ぁ……」
小さな声でひそひそと話していた二人だが、斎藤の一言で沖田はつい叫んでしまった。
しまったと夢主を見るが、僅かに「ぅぅん……」と声を漏らすだけで目を覚ます様子は無い。
「良かったぁ……」
「気をつけろ」
「もっ……斎藤さんのせいでしょう。ずるいですよ、内緒とか。だったら最初から言わないで下さいーーっ」
「フッ」
斎藤は楽しそうに鼻で笑うと視線を沖田から外した。
……そうだ、こいつを守る為に、俺があの黒い感情を引き受ければいいだけの事……
……夢主が受けてきた辛さに比べれば何でもない……
……肌を求めたい衝動に駆られれた時は、どこかで鬱々とした夜をただ越えればよい……こいつの為に……
斎藤は自分を強引に納得させ、ニヤリと静かに口元を歪めた。
「おぉっ、何やらいい顔をしていますね、斎藤さん。決め事とやらが益々気になっちゃいますよ、ははっ」
「そうか」
斎藤は口元を歪めたまま返事をした。
頬に触れようかという時、沖田に小声で止められた。
「駄目ですよっ、起きちゃうじゃないですか!」
「あぁ、すまんな。夢主のやつ、少し痩せてはいまいか」
「ぁ……確かに……少し線が細くなっている気が……それに目の下、寝ているのに隈が……辛かったのかな。こんなに深く眠るなんて」
沖田は悲しげに呟いた。
斎藤も静かに見つめている。だが沖田とは少し違う事を考えていた。
……あんなに晴れなかった鬱屈した気持ちから、こんなにも簡単に開放されるとは……
夢主の姿を目にした瞬間、心の中の淀みが無かったかのように胸がすくのを感じた。
「でも良かった……傍にいられるって幸せですね、ふふっ」
「そうだな」
沖田の可愛い囁きに斎藤も素直に同意した。
……こうして見ていると思わず頬に触れたくなる……だが何だ……
……大坂では、あんなにどす黒いものを感じたのに今はすっかり落ち着いている……
……このままこいつの肌を欲しくなる衝動が出なければ良いのだが……
……そうだな……愛でてやりたいのか……慈しんでやりたいのか……
……ただ労わってやりたくなるな、この寝顔を見ていると……
斎藤は己に語りかけながら、夢主の静かな寝息に耳を澄まして目を閉じた。
大坂でのあの疲弊した夜も無駄ではなかったのだろうか。
今は夢主に対する昂ぶりがしっかりと治まっている。
この状況の所為か、それとも大坂で発散させた事に意義があったのか。
斎藤は考えを廻らせていた。
やがて何か思い付いて目を開くと、沖田の横顔を見た。沖田は柔らかい表情で夢主を見ている。
「沖田君、君は前に何らや決めたと言っていたな」
「あ?えっと、夢主ちゃんの事ですか?まずは病を退けて、それから夢主ちゃんの事を守ってみせる……確かにそう決めましたよ」
沖田はニッと口を閉めて笑った。その晴れやかな表情に斎藤も二ッと小さく笑んだ。
「そうか、そいつはいいな。俺もひとつ決めたぞ」
「え、何ですかっ」
沖田はわくわくと興味津々に身を乗り出した。
自分の決め事をすんなり受け入れてくれた斎藤が、自身は一体何を決めたのか。
「フン、内緒だ」
「えーーーっ!ぁ……」
小さな声でひそひそと話していた二人だが、斎藤の一言で沖田はつい叫んでしまった。
しまったと夢主を見るが、僅かに「ぅぅん……」と声を漏らすだけで目を覚ます様子は無い。
「良かったぁ……」
「気をつけろ」
「もっ……斎藤さんのせいでしょう。ずるいですよ、内緒とか。だったら最初から言わないで下さいーーっ」
「フッ」
斎藤は楽しそうに鼻で笑うと視線を沖田から外した。
……そうだ、こいつを守る為に、俺があの黒い感情を引き受ければいいだけの事……
……夢主が受けてきた辛さに比べれば何でもない……
……肌を求めたい衝動に駆られれた時は、どこかで鬱々とした夜をただ越えればよい……こいつの為に……
斎藤は自分を強引に納得させ、ニヤリと静かに口元を歪めた。
「おぉっ、何やらいい顔をしていますね、斎藤さん。決め事とやらが益々気になっちゃいますよ、ははっ」
「そうか」
斎藤は口元を歪めたまま返事をした。