34.出立の時
夢主名前設定
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「君は前に俺を羨ましいと言ったな」
「え……言いましたっけ」
沖田は何の事かと首を捻った。
「女と戯れに時を過ごして満足できるのが羨ましいと」
「あぁ!」
沖田はその話か、と何度も頷いた。
以前、休息所で夢主が酒に酔って眠り込んだ後に斎藤と二人、女について語り更けった日があった。
沖田は買った女を相手にしても満たされず、虚しいだけだと語った。
本当に愛おしい女と心が通じた時に結ばれてこそ幸せ、想い想われ結ばれる事こそが大切だと。
「俺は君が羨ましいぜ。女を求めなくとも苦しく無い君がな。女のような純潔さが……羨ましいさ」
沖田は自分が女に求めるものや感情が他の男達と少し異なるのを知っている。
幼少期の身の上の所為だろうかと考えもする。
だが自分の女に対する感覚を、まさか斎藤に羨ましいと言われるとは思わなかった。
「そうですか、それは……辛いですね」
沖田はフフッと笑って斎藤を見上げた。
自分には分からない苦しみに苛まれていると思うと、いつもは小憎たらしい斎藤が少しだけ愛おしく感じる。
「まぁ僕も力になりますから、元気出してくださいねっ、僕に言われても腹が立つかも知れませんけどっ!あはははっ」
沖田はわざとらしく笑って斎藤の背中を叩き、自分の配置場所へと戻っていった。
「フン、全くその通りだ」
腹立たしい。悪態をついた斎藤だが、沖田の優しさに密かに感謝した。
大坂で久しぶりに女を買うか、そんな事で満足できるのか……。
そうして帰った時に、やけに勘のいい夢主は気付くのではなかろうか……。
俺はあいつに、そんな自分を気付かれたくないのか……。
斎藤は一人思いを巡らせながら隊列の中を歩いた。
「え……言いましたっけ」
沖田は何の事かと首を捻った。
「女と戯れに時を過ごして満足できるのが羨ましいと」
「あぁ!」
沖田はその話か、と何度も頷いた。
以前、休息所で夢主が酒に酔って眠り込んだ後に斎藤と二人、女について語り更けった日があった。
沖田は買った女を相手にしても満たされず、虚しいだけだと語った。
本当に愛おしい女と心が通じた時に結ばれてこそ幸せ、想い想われ結ばれる事こそが大切だと。
「俺は君が羨ましいぜ。女を求めなくとも苦しく無い君がな。女のような純潔さが……羨ましいさ」
沖田は自分が女に求めるものや感情が他の男達と少し異なるのを知っている。
幼少期の身の上の所為だろうかと考えもする。
だが自分の女に対する感覚を、まさか斎藤に羨ましいと言われるとは思わなかった。
「そうですか、それは……辛いですね」
沖田はフフッと笑って斎藤を見上げた。
自分には分からない苦しみに苛まれていると思うと、いつもは小憎たらしい斎藤が少しだけ愛おしく感じる。
「まぁ僕も力になりますから、元気出してくださいねっ、僕に言われても腹が立つかも知れませんけどっ!あはははっ」
沖田はわざとらしく笑って斎藤の背中を叩き、自分の配置場所へと戻っていった。
「フン、全くその通りだ」
腹立たしい。悪態をついた斎藤だが、沖田の優しさに密かに感謝した。
大坂で久しぶりに女を買うか、そんな事で満足できるのか……。
そうして帰った時に、やけに勘のいい夢主は気付くのではなかろうか……。
俺はあいつに、そんな自分を気付かれたくないのか……。
斎藤は一人思いを巡らせながら隊列の中を歩いた。