34.出立の時
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明朝、出立の時。
斎藤は普段と変わらぬ様子で支度を整えていた。
「文を忘れるなよ」
「はい」
事務的に短く言う斎藤。
同じく支度を整えた皆が出立前に是非と、夢主に顔を見せに集まって来た。
「夢主ちゃん!暫く会えないのは淋しいですが、夢主ちゃんの文を見せていただきますからねっ!待っていますよ」
「おいおい総司、お前に書くんじゃねぇんだぞ!」
満面の笑みで夢主の両手を握る沖田を原田が窘めた。
「えーいいじゃないですか、僕に書いてもらっても一緒でしょう!」
「じゃぁじゃぁ、俺にも書いてよ夢主!」
「そんなにせがまれちゃあ、夢主が可哀想だぜ。毎日書くのだって大変だろうよ」
沖田に負けじと藤堂が喰らいつく。
それを見兼ねた永倉がハハッと笑いながら優しく二人を咎めた。
夢主は皆のやりとりを見てクスクス笑って頷いた。
「手紙は凝った事は書かんでいい。手短で構わん。いいな」
「はぃ」
斎藤の助言に素直に返事をして、皆の顔を見回した。
「本当に淋しくなってしまいますが……お勤め、頑張ってくださいっ。沖田さん、私、沖田さんがいない間もお稽古頑張りますね!」
「はいっ!」
沖田は嬉しそうに夢主を見つめた。
「藤堂さん、永倉さん、羽目外しすぎちゃ駄目ですよっ!」
「ははっそりゃ酷いぜっ」
「大丈夫だよーしっかり働いてくるぜ!」
永倉と藤堂は苦笑いで答えた。
「ふふっ……原田さん、あれは……持って行くのですか」
「あれってのは」
「あぁっ、やっぱりいいですっ!答えないで下さいっ!」
原田は大掃除で見つかった例のあれかと大笑いした。
そんな原田から夢主は頬を赤らめて顔を逸らし、最後に斎藤を見た。
「斎藤さん……行ってらっしゃいませ」
「フッ。あぁ、行ってくるぜ」
斎藤はニッと笑い、不安が拭えず淋しげな笑顔の夢主に「大丈夫さ」と頷いて見せた。
「お前はここでいい。見送りはいらん。お前もしっかりな」
「はいっ!」
夢主の返事に斎藤が満足げに頷くと、男達は惜しむように別れの言葉を残して次々と部屋を後にした。
「……みんな行っちゃった……淋しい……なぁ」
夢主は一人静かにその場に座り込んだ。
暫くの間、外の喧騒に耳を傾け、新選組の皆が屯所を去っていくのを感じていた。
斎藤は普段と変わらぬ様子で支度を整えていた。
「文を忘れるなよ」
「はい」
事務的に短く言う斎藤。
同じく支度を整えた皆が出立前に是非と、夢主に顔を見せに集まって来た。
「夢主ちゃん!暫く会えないのは淋しいですが、夢主ちゃんの文を見せていただきますからねっ!待っていますよ」
「おいおい総司、お前に書くんじゃねぇんだぞ!」
満面の笑みで夢主の両手を握る沖田を原田が窘めた。
「えーいいじゃないですか、僕に書いてもらっても一緒でしょう!」
「じゃぁじゃぁ、俺にも書いてよ夢主!」
「そんなにせがまれちゃあ、夢主が可哀想だぜ。毎日書くのだって大変だろうよ」
沖田に負けじと藤堂が喰らいつく。
それを見兼ねた永倉がハハッと笑いながら優しく二人を咎めた。
夢主は皆のやりとりを見てクスクス笑って頷いた。
「手紙は凝った事は書かんでいい。手短で構わん。いいな」
「はぃ」
斎藤の助言に素直に返事をして、皆の顔を見回した。
「本当に淋しくなってしまいますが……お勤め、頑張ってくださいっ。沖田さん、私、沖田さんがいない間もお稽古頑張りますね!」
「はいっ!」
沖田は嬉しそうに夢主を見つめた。
「藤堂さん、永倉さん、羽目外しすぎちゃ駄目ですよっ!」
「ははっそりゃ酷いぜっ」
「大丈夫だよーしっかり働いてくるぜ!」
永倉と藤堂は苦笑いで答えた。
「ふふっ……原田さん、あれは……持って行くのですか」
「あれってのは」
「あぁっ、やっぱりいいですっ!答えないで下さいっ!」
原田は大掃除で見つかった例のあれかと大笑いした。
そんな原田から夢主は頬を赤らめて顔を逸らし、最後に斎藤を見た。
「斎藤さん……行ってらっしゃいませ」
「フッ。あぁ、行ってくるぜ」
斎藤はニッと笑い、不安が拭えず淋しげな笑顔の夢主に「大丈夫さ」と頷いて見せた。
「お前はここでいい。見送りはいらん。お前もしっかりな」
「はいっ!」
夢主の返事に斎藤が満足げに頷くと、男達は惜しむように別れの言葉を残して次々と部屋を後にした。
「……みんな行っちゃった……淋しい……なぁ」
夢主は一人静かにその場に座り込んだ。
暫くの間、外の喧騒に耳を傾け、新選組の皆が屯所を去っていくのを感じていた。