34.出立の時
夢主名前設定
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「はぃ、ありがとうございます。所で……沖田さん昨日の夜はどこにいらしたんですか」
屯所の中で見かけず、壬生寺にもいなかった。
夢主が沖田の姿を全く見ないのは珍しい。
「昨日ですか、昨日は久しぶりに……近藤さんと土方さんと三人で過ごしたんです」
そう言う沖田の表情がとても和らいだ。
久しぶりに水入らずの三人で、幸せな一時を過ごしたのだ。
「そうだったんですか、良かったですね」
幸福な一夜を察して微笑むと、沖田もえへへっと子供のような笑顔を見せた。
斎藤や夢主と過ごす時とも違う大切な時間だった。
「夢主ちゃんはどうしてたんですか」
「私は……斎藤さんと初詣に」
「っ……そうでしたか、ははっ」
一瞬顔を引き攣らせたが、こればかりは致し方無し。
やきもちを妬くより互いの楽しかった夜を笑えば良い。これからいくらだって一緒に過ごせるのだから。
沖田はフフンと笑って夢主を見据えた。
「今年も忙しくなりそうですが、夢主ちゃんといろんな場所に行っていろんな事をしようと企んでますからねっ!」
「えぇっ……」
何を企んでいるのか、そんな事が出来るのか、夢主は沖田を見ながらその胸中を推し量った。
どこまで本気なのか一切悟らせてくれない。
「沖田君の企みは大したこと無いだろう」
斎藤は二人の会話に茶々を入れて笑った。
「そんなこと言ってー!僕は隊務も夢主ちゃんの事も全力ですよ!今年もね!」
「こいつの事はさておき、君に負ける気はせんよ」
「むむむむっ」
「ぁああ……お二人とも……ふふっ」
新年早々始まるいつもの遣り取り、今年も一年またこんな調子に違いない。
夢主は微笑ましく二人を見守った。
朝餉の後は気を引き締める為、普段通り稽古が行われた。
稽古の後は武具の確認など大坂に向けた最後の準備。時が経つにつれ、緊張した空気が漂い始める。
夜、寝る支度も整った頃、斎藤が夢主に改めて座るよう求めた。
「あの……何でしょうか……」
斎藤は黙って夢主の前に座して一つの包みを差し出した。
それは紫色のちりめんの布で包まれていた。
「これは……」
「俺の蓄えの一部だ」
「えっ」
言葉の意味が理解出来ず夢主は首を傾げた。
「何かあったら、これを使え」
「あの……何かとは……」
夢主の顔が不安に染まっていく。
斎藤は何を案じているのか、見つめていると悪い結果を考えてしまい、夢主は将軍警護の結果を口にしてしまった。
「隊務は……きっと無事に終わりますよ……」
屯所の中で見かけず、壬生寺にもいなかった。
夢主が沖田の姿を全く見ないのは珍しい。
「昨日ですか、昨日は久しぶりに……近藤さんと土方さんと三人で過ごしたんです」
そう言う沖田の表情がとても和らいだ。
久しぶりに水入らずの三人で、幸せな一時を過ごしたのだ。
「そうだったんですか、良かったですね」
幸福な一夜を察して微笑むと、沖田もえへへっと子供のような笑顔を見せた。
斎藤や夢主と過ごす時とも違う大切な時間だった。
「夢主ちゃんはどうしてたんですか」
「私は……斎藤さんと初詣に」
「っ……そうでしたか、ははっ」
一瞬顔を引き攣らせたが、こればかりは致し方無し。
やきもちを妬くより互いの楽しかった夜を笑えば良い。これからいくらだって一緒に過ごせるのだから。
沖田はフフンと笑って夢主を見据えた。
「今年も忙しくなりそうですが、夢主ちゃんといろんな場所に行っていろんな事をしようと企んでますからねっ!」
「えぇっ……」
何を企んでいるのか、そんな事が出来るのか、夢主は沖田を見ながらその胸中を推し量った。
どこまで本気なのか一切悟らせてくれない。
「沖田君の企みは大したこと無いだろう」
斎藤は二人の会話に茶々を入れて笑った。
「そんなこと言ってー!僕は隊務も夢主ちゃんの事も全力ですよ!今年もね!」
「こいつの事はさておき、君に負ける気はせんよ」
「むむむむっ」
「ぁああ……お二人とも……ふふっ」
新年早々始まるいつもの遣り取り、今年も一年またこんな調子に違いない。
夢主は微笑ましく二人を見守った。
朝餉の後は気を引き締める為、普段通り稽古が行われた。
稽古の後は武具の確認など大坂に向けた最後の準備。時が経つにつれ、緊張した空気が漂い始める。
夜、寝る支度も整った頃、斎藤が夢主に改めて座るよう求めた。
「あの……何でしょうか……」
斎藤は黙って夢主の前に座して一つの包みを差し出した。
それは紫色のちりめんの布で包まれていた。
「これは……」
「俺の蓄えの一部だ」
「えっ」
言葉の意味が理解出来ず夢主は首を傾げた。
「何かあったら、これを使え」
「あの……何かとは……」
夢主の顔が不安に染まっていく。
斎藤は何を案じているのか、見つめていると悪い結果を考えてしまい、夢主は将軍警護の結果を口にしてしまった。
「隊務は……きっと無事に終わりますよ……」