33.おめでとう
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そうか、それは……面白い風習だな。生誕祭、生誕を祝う祭りが時折あるが、それが民衆に広く浸透したのだな」
斎藤は自分を納得させようと推測した。
夢主も斎藤の説明に頷き、にこやかに微笑んで続けた。
「お誕生日にお歌を歌ったり、お祝いの贈り物をしたり。楽しいんですよ」
「ほぉ」
「私、何も贈り物は出来ませんが……おにぎり、面白いかなって」
斎藤を見つめる夢主がくすりと笑った。
「フン、悪くは無いな。ていのいい皮肉が含まれて面白みがある」
「ひ、皮肉だなんて、私、斎藤さんのおにぎり本当に大好きなんですよっ」
「ハハハハッ、分かった分かった。別に責めちゃぁいないさ、ククッ」
慌てて取り繕う夢主を斎藤は声を出して笑った。
精一杯考えたか思いつきでこうなったかは分からんが、いずれにしろ夢主は俺を相当に気に掛けているらしい。
その想いだけで満足だった。
「ありがたく頂くとするか、冷めないうちにな」
にやりと笑っていつかの夢主の言葉を真似すると、小さなおにぎりを一口で放り込んだ。
夢主は緊張して斎藤を見つめ、口の中を空にして言葉を発するのを待った。
「……うん、美味いな」
わぁ……っと夢主の顔が緩んでいく。
「まぁ、握り飯を不味く作るほうが難しいだろうがな。沖田君のようにな」
「ふふっ、斎藤さんの意地悪っ」
確かに不恰好だったが、優しい味の沖田のおにぎりを思い出した。
温かい思いが籠ってとても美味しかったのを覚えている。
「もうひとつも貰うぞ」
「ぁ、はいっ」
二つ目も口に運ばれたのが嬉しくて夢主の目尻りが下がった。
「私の歳も二十歳になるんですよ」
「そうなのか」
斎藤は今まで気にしていなかったが、今更そう言われて不思議そうに訊き返した。
「沖田さんと歳の話になって、私の歳が分からなかったので斎藤さんと一緒にしようって決めたんです、ふふっ」
「そうか」
斎藤は心なしか嬉しそうに相槌を打った。
「ちなみに沖田さんも二十歳だそうですよ」
「何っ」
斎藤の眉間に皺が寄った。
「ちなみに私のいた世では二十歳からが大人なんですよ」
「何ぃっ!」
斎藤は更に皺を深くした。
それで十九と聞いた途端に夢主のあの態度。斎藤は思い出して込み上げる笑いを我慢した。
斎藤は自分を納得させようと推測した。
夢主も斎藤の説明に頷き、にこやかに微笑んで続けた。
「お誕生日にお歌を歌ったり、お祝いの贈り物をしたり。楽しいんですよ」
「ほぉ」
「私、何も贈り物は出来ませんが……おにぎり、面白いかなって」
斎藤を見つめる夢主がくすりと笑った。
「フン、悪くは無いな。ていのいい皮肉が含まれて面白みがある」
「ひ、皮肉だなんて、私、斎藤さんのおにぎり本当に大好きなんですよっ」
「ハハハハッ、分かった分かった。別に責めちゃぁいないさ、ククッ」
慌てて取り繕う夢主を斎藤は声を出して笑った。
精一杯考えたか思いつきでこうなったかは分からんが、いずれにしろ夢主は俺を相当に気に掛けているらしい。
その想いだけで満足だった。
「ありがたく頂くとするか、冷めないうちにな」
にやりと笑っていつかの夢主の言葉を真似すると、小さなおにぎりを一口で放り込んだ。
夢主は緊張して斎藤を見つめ、口の中を空にして言葉を発するのを待った。
「……うん、美味いな」
わぁ……っと夢主の顔が緩んでいく。
「まぁ、握り飯を不味く作るほうが難しいだろうがな。沖田君のようにな」
「ふふっ、斎藤さんの意地悪っ」
確かに不恰好だったが、優しい味の沖田のおにぎりを思い出した。
温かい思いが籠ってとても美味しかったのを覚えている。
「もうひとつも貰うぞ」
「ぁ、はいっ」
二つ目も口に運ばれたのが嬉しくて夢主の目尻りが下がった。
「私の歳も二十歳になるんですよ」
「そうなのか」
斎藤は今まで気にしていなかったが、今更そう言われて不思議そうに訊き返した。
「沖田さんと歳の話になって、私の歳が分からなかったので斎藤さんと一緒にしようって決めたんです、ふふっ」
「そうか」
斎藤は心なしか嬉しそうに相槌を打った。
「ちなみに沖田さんも二十歳だそうですよ」
「何っ」
斎藤の眉間に皺が寄った。
「ちなみに私のいた世では二十歳からが大人なんですよ」
「何ぃっ!」
斎藤は更に皺を深くした。
それで十九と聞いた途端に夢主のあの態度。斎藤は思い出して込み上げる笑いを我慢した。