33.おめでとう
夢主名前設定
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斎藤は二人きりになると、歩きながらおもむろに夢主を見て笑った。
「な、なんでしょうか……」
「いや、すまん。お前は強いな」
……そんなにも脆くて儚いくせに……
斎藤は心の中で言葉の続きを呟いた。夢主の毅然とした強さに感服していた。それでいて時折見せる儚さにも心惹かれている。
もし傷を抱いていると言うのなら、自分の力で癒してやりたい……無意識に感じていた。
夢主は斎藤に不意に褒められて、気まずそうに笑った。
「えへ……もう気にして欲しく……無かったので……」
「そうか」
斎藤の変わらない態度に夢主は既に癒されていた。
「あの……斎藤さん」
なんだと言わんばかりに立ち止まる。
「あの……変な話ですけど……斎藤さんの……欲しいものとか、何かして欲しい事とか……ありませんか」
「確かに変な話だな」
何だ唐突にと眉間に皺が寄る。
もちろん夢主は斎藤の誕生日に何か出来ればと訊ねたのだが、斎藤にそんな考えは無い。
質問された理由が分からなかった。
「欲しいものか」
斎藤は腕を組んで「うむ」と考え、夢主の体を爪先から頭の天辺まで順に視線を這わせていく。
「おっ、お前が欲しいとかそういうのは無しですよっ!」
視線に気付き、夢主は咄嗟に両手で体を庇って声を荒げた。
斎藤は可笑しそうに目元を細めた。
「フッ、随分と自惚れたもんだな。そんなこと言うかよ阿呆ぅが」
鼻をならして言うと、そうだな……と夜空を見上げた。
そして月を見てから夢主に視線を戻した。
「欲しいものなんざ思い浮かばん。敢えて言うなら早く人斬りに会わせろ。それくらいか」
「もうっ……」
悪ぶって笑う斎藤に、夢主は参考にならないなぁと頬を膨らませた。
再び歩き出せばすぐに屯所の入り口だ。
僅かな時間だったが楽しかった。短時間だが体は冷えていた。
夢主は体を温めるようと両手を二の腕に添え、ゆっくりさすりながら部屋まで歩いた。
「な、なんでしょうか……」
「いや、すまん。お前は強いな」
……そんなにも脆くて儚いくせに……
斎藤は心の中で言葉の続きを呟いた。夢主の毅然とした強さに感服していた。それでいて時折見せる儚さにも心惹かれている。
もし傷を抱いていると言うのなら、自分の力で癒してやりたい……無意識に感じていた。
夢主は斎藤に不意に褒められて、気まずそうに笑った。
「えへ……もう気にして欲しく……無かったので……」
「そうか」
斎藤の変わらない態度に夢主は既に癒されていた。
「あの……斎藤さん」
なんだと言わんばかりに立ち止まる。
「あの……変な話ですけど……斎藤さんの……欲しいものとか、何かして欲しい事とか……ありませんか」
「確かに変な話だな」
何だ唐突にと眉間に皺が寄る。
もちろん夢主は斎藤の誕生日に何か出来ればと訊ねたのだが、斎藤にそんな考えは無い。
質問された理由が分からなかった。
「欲しいものか」
斎藤は腕を組んで「うむ」と考え、夢主の体を爪先から頭の天辺まで順に視線を這わせていく。
「おっ、お前が欲しいとかそういうのは無しですよっ!」
視線に気付き、夢主は咄嗟に両手で体を庇って声を荒げた。
斎藤は可笑しそうに目元を細めた。
「フッ、随分と自惚れたもんだな。そんなこと言うかよ阿呆ぅが」
鼻をならして言うと、そうだな……と夜空を見上げた。
そして月を見てから夢主に視線を戻した。
「欲しいものなんざ思い浮かばん。敢えて言うなら早く人斬りに会わせろ。それくらいか」
「もうっ……」
悪ぶって笑う斎藤に、夢主は参考にならないなぁと頬を膨らませた。
再び歩き出せばすぐに屯所の入り口だ。
僅かな時間だったが楽しかった。短時間だが体は冷えていた。
夢主は体を温めるようと両手を二の腕に添え、ゆっくりさすりながら部屋まで歩いた。