33.おめでとう
夢主名前設定
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「もう言いっこ無しです。永倉さん、また謝ろうとしましたね」
「あ……あぁ……」
夢主が悪戯な顔で睨むと、永倉は優しい声で申し訳なさそうに答えた。
「もう新しい年が始まります。去年の事はもういいんです。私、もう気にしませんので永倉さんもお願いですから気にしないで下さい」
そうは言われても、永倉は未だに自分を責め続けていた。
男として自分が許せない事に及んでしまったのだ。
「生き恥を晒す位なら死んだほうが……ましです」
「…………夢主」
「なんて、ぜーーーったぃに言いませんから!少しも思いませんからそんな事っ。未来の女を舐めないで下さい!それくらいで、いつまでもウジウジ傷ついている程弱くありません!だから……男の方に気にされている方が傷つきます!」
夢主はいつもの穏やかな口調を捨てて、永倉に厳しく言い立てた。
さすがの斎藤も原田も驚いている。
永倉も言葉を失って口を開けていたが、やがて自嘲するように笑いながら頭を掻いた。
「ははっ……参ったな」
永倉の呟きに夢主は大きくニコリと頷いた。
すると永倉は力強い目で見つめ夢主に語りかけた。
「本当に……お前ぇは凄ぇ女だ……夢主。ありがとうよ。お前の気持ちをありがたく頂くぜ。これからはどんな事があっても、命に代えてもお前を守って見せるからな」
「ふふふっ」
永倉の真面目な言葉を夢主は口元を隠して小さく笑った。
意外な反応に永倉は戸惑い、斎藤達も驚いたままだ。
「それでは困ります。永倉さん達が命を懸けるのは……私じゃなくて、京を守りこれからの世を築く事ですからっ」
夢主が肩をすぼめて笑うと、一本取られたとばかりに永倉は目を丸くした。
その傍らで、これまた「してやれられた」とばかりに斎藤と原田もクックッと笑い出した。
「そうだ、そうだなぁ新八!俺達はてめぇ自身に恥じねぇように、夢主の中にいる俺達に負けねぇようにしねぇとな」
「あぁ……全くだな」
原田は夢主が知る未来に伝わる自分達の武勇伝を想像した。きっと立派な仕事を成し遂げて武勇伝が残っているはずだ。
永倉も自分達が成すべき事をしっかり成さねばと自戒した。
「はいっ。それに私……未来で永倉さんに感謝していたんです」
「え、俺にか」
永倉には全く訳が分からない。
「はぃ……永倉さんがいなかったら、新選組の本当の姿を知らずにいたかも知れないので……」
「そいつは……一体……」
三人とも不思議そうに夢主を見た。
「あ、いぇ……永倉さんが残してくださったお話がとても面白かったんですよ、ね」
夢主は誤魔化すように、心当たりがあるはずも無い永倉に同意を求めた。
夢主は永倉が晩年に新選組の事を語った記事が元になった本を読んだ事があった。
もちろん全てを覚えている訳ではないが、とても貴重な記録であったのは事実だ。
その永倉の言葉を元に様々な物語が生まれた。その物語を元に再び新しい新選組の話も生まれた。
そうして夢主の知る多くの新選組の話が生まれていったのだ。
永倉がもし晩年、口を閉ざしたままであったなら……何も知らずに彼らに焦がれる事もなかったかもしれない。
言われるがままにただの荒くれ者だと信じてしまったかもしれない。
真に出会い語り合い、知る事が出来た。こんなに素晴らしい男達を知らずにいたかもしれない。
そう思うと今、目の前にいる永倉に感謝の気持ちを抱かずには入られなかった。
「永倉さん……これからも、宜しくお願いします」
夢主が改まって深く頭を下げると、周りの目を気にしつつも永倉は軽くではあるが慌てて頭を下げた。
「おっ、おぅ、こちらこそなっ。宜しく頼むぜ。じゃ、じゃあまた屯所でよ。俺達はこれからお参りして帰るな」
「じゃあな、風邪引くなよ」
「はい」
本堂に向かう永倉と原田に送り出され、夢主と斎藤は寺を出た。
「あ……あぁ……」
夢主が悪戯な顔で睨むと、永倉は優しい声で申し訳なさそうに答えた。
「もう新しい年が始まります。去年の事はもういいんです。私、もう気にしませんので永倉さんもお願いですから気にしないで下さい」
そうは言われても、永倉は未だに自分を責め続けていた。
男として自分が許せない事に及んでしまったのだ。
「生き恥を晒す位なら死んだほうが……ましです」
「…………夢主」
「なんて、ぜーーーったぃに言いませんから!少しも思いませんからそんな事っ。未来の女を舐めないで下さい!それくらいで、いつまでもウジウジ傷ついている程弱くありません!だから……男の方に気にされている方が傷つきます!」
夢主はいつもの穏やかな口調を捨てて、永倉に厳しく言い立てた。
さすがの斎藤も原田も驚いている。
永倉も言葉を失って口を開けていたが、やがて自嘲するように笑いながら頭を掻いた。
「ははっ……参ったな」
永倉の呟きに夢主は大きくニコリと頷いた。
すると永倉は力強い目で見つめ夢主に語りかけた。
「本当に……お前ぇは凄ぇ女だ……夢主。ありがとうよ。お前の気持ちをありがたく頂くぜ。これからはどんな事があっても、命に代えてもお前を守って見せるからな」
「ふふふっ」
永倉の真面目な言葉を夢主は口元を隠して小さく笑った。
意外な反応に永倉は戸惑い、斎藤達も驚いたままだ。
「それでは困ります。永倉さん達が命を懸けるのは……私じゃなくて、京を守りこれからの世を築く事ですからっ」
夢主が肩をすぼめて笑うと、一本取られたとばかりに永倉は目を丸くした。
その傍らで、これまた「してやれられた」とばかりに斎藤と原田もクックッと笑い出した。
「そうだ、そうだなぁ新八!俺達はてめぇ自身に恥じねぇように、夢主の中にいる俺達に負けねぇようにしねぇとな」
「あぁ……全くだな」
原田は夢主が知る未来に伝わる自分達の武勇伝を想像した。きっと立派な仕事を成し遂げて武勇伝が残っているはずだ。
永倉も自分達が成すべき事をしっかり成さねばと自戒した。
「はいっ。それに私……未来で永倉さんに感謝していたんです」
「え、俺にか」
永倉には全く訳が分からない。
「はぃ……永倉さんがいなかったら、新選組の本当の姿を知らずにいたかも知れないので……」
「そいつは……一体……」
三人とも不思議そうに夢主を見た。
「あ、いぇ……永倉さんが残してくださったお話がとても面白かったんですよ、ね」
夢主は誤魔化すように、心当たりがあるはずも無い永倉に同意を求めた。
夢主は永倉が晩年に新選組の事を語った記事が元になった本を読んだ事があった。
もちろん全てを覚えている訳ではないが、とても貴重な記録であったのは事実だ。
その永倉の言葉を元に様々な物語が生まれた。その物語を元に再び新しい新選組の話も生まれた。
そうして夢主の知る多くの新選組の話が生まれていったのだ。
永倉がもし晩年、口を閉ざしたままであったなら……何も知らずに彼らに焦がれる事もなかったかもしれない。
言われるがままにただの荒くれ者だと信じてしまったかもしれない。
真に出会い語り合い、知る事が出来た。こんなに素晴らしい男達を知らずにいたかもしれない。
そう思うと今、目の前にいる永倉に感謝の気持ちを抱かずには入られなかった。
「永倉さん……これからも、宜しくお願いします」
夢主が改まって深く頭を下げると、周りの目を気にしつつも永倉は軽くではあるが慌てて頭を下げた。
「おっ、おぅ、こちらこそなっ。宜しく頼むぜ。じゃ、じゃあまた屯所でよ。俺達はこれからお参りして帰るな」
「じゃあな、風邪引くなよ」
「はい」
本堂に向かう永倉と原田に送り出され、夢主と斎藤は寺を出た。