33.おめでとう
夢主名前設定
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手水舎で手を清め賽銭箱の前まで進み、斎藤はおもむろに袖口に手を入れた。
「ほらよ」
「あっ……」
いつの間に入れていたのか、斎藤は小銭を取り出して夢主に手渡した。
「ありがとうございます……」
うむ、と夢主に向かい小さく頷いて斎藤は本堂に向き直った。
斎藤が一揖すると夢主も横に並んで真似をした。
鰐口を軽く鳴らし賽銭を入れる。参拝の仕方をすっかり忘れていた夢主は必死に斎藤の真似をした。
斎藤は手を合わせ、何やら念じている。
夢主も同じく手を合わせ、一年のお礼をすると共に、一緒に暮らす皆の安泰を願った。
目を開けると斎藤は軽く頭を下げてから、夢主を見た。慌てて夢主も真似をする。
……斎藤さん何を考えてたのかな……
神や仏に興味が無さそうにも、信心深くも見える斎藤。夢主はちらりと横顔を覗いた。
ニッとするだけで何も教えてはくれない。
予想通りの反応に夢主はふふふと笑った。
参拝を終え壬生寺を出ようかという所で真横から声を掛けられた。
見ると原田と永倉が仲良さげに並んで立っている。
「よっ、仲良く初詣かい」
「はぃ」
「何かお祈りしてきたのか、いい顔してんな」
照れもせず素直に答える夢主に原田達も素直に笑顔を返す。
原田はいつものように夢主の頭をぽんぽんと触れた。
「えへへ、内緒です。……と言いたい所ですが普通の事しかお祈りしてませんよ」
クスクスと笑う夢主。原田達は普通の事?と首を捻った。
「当たり前の事です。今の当たり前の平穏な日々が続きますように、って。……みなさんが無事にお勤めに励めますようにと」
夢主は少しだけ恥ずかしそうに言って二人を見た。
「そうか、ありがとうよ。お前が来てから毎日が楽しいぜ。俺達の前に現れてくれてよ……ありがとうな」
「そんな……ふふっ」
原田は朗らかな顔で夢主を撫でながら正直な気持ちを述べた。
夢主は嬉しさと恥ずかしさで照れ笑いが浮かぶ。
永倉も続いて素直な気持ちを告げた。
「あぁ俺もだ、夢主。本当にお前が来ただけであの屯所は明るくなった。ちょうどお前が現れた頃、俺達は行き詰ってたんだな……先が見えなくってよ。その……」
「しぃっ」
まだ何かを続けようとした永倉の前で、夢主は自分の唇に人差し指を立てた。
しーっと言葉を止める仕草をした。
「ほらよ」
「あっ……」
いつの間に入れていたのか、斎藤は小銭を取り出して夢主に手渡した。
「ありがとうございます……」
うむ、と夢主に向かい小さく頷いて斎藤は本堂に向き直った。
斎藤が一揖すると夢主も横に並んで真似をした。
鰐口を軽く鳴らし賽銭を入れる。参拝の仕方をすっかり忘れていた夢主は必死に斎藤の真似をした。
斎藤は手を合わせ、何やら念じている。
夢主も同じく手を合わせ、一年のお礼をすると共に、一緒に暮らす皆の安泰を願った。
目を開けると斎藤は軽く頭を下げてから、夢主を見た。慌てて夢主も真似をする。
……斎藤さん何を考えてたのかな……
神や仏に興味が無さそうにも、信心深くも見える斎藤。夢主はちらりと横顔を覗いた。
ニッとするだけで何も教えてはくれない。
予想通りの反応に夢主はふふふと笑った。
参拝を終え壬生寺を出ようかという所で真横から声を掛けられた。
見ると原田と永倉が仲良さげに並んで立っている。
「よっ、仲良く初詣かい」
「はぃ」
「何かお祈りしてきたのか、いい顔してんな」
照れもせず素直に答える夢主に原田達も素直に笑顔を返す。
原田はいつものように夢主の頭をぽんぽんと触れた。
「えへへ、内緒です。……と言いたい所ですが普通の事しかお祈りしてませんよ」
クスクスと笑う夢主。原田達は普通の事?と首を捻った。
「当たり前の事です。今の当たり前の平穏な日々が続きますように、って。……みなさんが無事にお勤めに励めますようにと」
夢主は少しだけ恥ずかしそうに言って二人を見た。
「そうか、ありがとうよ。お前が来てから毎日が楽しいぜ。俺達の前に現れてくれてよ……ありがとうな」
「そんな……ふふっ」
原田は朗らかな顔で夢主を撫でながら正直な気持ちを述べた。
夢主は嬉しさと恥ずかしさで照れ笑いが浮かぶ。
永倉も続いて素直な気持ちを告げた。
「あぁ俺もだ、夢主。本当にお前が来ただけであの屯所は明るくなった。ちょうどお前が現れた頃、俺達は行き詰ってたんだな……先が見えなくってよ。その……」
「しぃっ」
まだ何かを続けようとした永倉の前で、夢主は自分の唇に人差し指を立てた。
しーっと言葉を止める仕草をした。