32.屯所の大晦日
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再び斎藤の部屋に戻った夢主はそっと中を覗いた。
「何だ一体」
すぐに気付かれた。おずおずと部屋に入り、相変わらず文机の前にいる斎藤の傍に腰を下ろした。
「俺の歳がどうかしたか。歳を聞いた途端叫んで飛び出していくとは。お前、俺を一体なんだと思ってやがる」
「す、すみません……」
謝りながらも口元が緩んでしまう。
こんなにも堂々として色気のある男性が十代だったとは。
夢主はそう考えるとにやけずにいられなかった。
「ちっ」
歳を聞いた途端、態度が変わり子ども扱いされているようで斎藤は腹が立った。
見た目で言えばお前の方が幼いだろうと言いたげに不機嫌な視線を向けた。
「掃除の手伝いは終わったのか。終わったのなら誇りっぽいその着物を着替えろ」
「あっ……すみませんっ」
着替えをしていないどころか、ほっかむりもしたままだった。
折角綺麗に掃除した部屋に埃を持ち込んでしまった。
部屋を出ようと立ち上がるが、着替えるなら部屋の中だ。一旦外を見たが、部屋の中を向き直り斎藤を見た。
斎藤がいては着替えが出来ない。お願いしますと頭を下げた。
「ちっ、あぁ!分かったよ!」
そう言い捨てると墨を乾かす為か、紙の上に布をかけてから面倒臭そうに立ち上がった。
夢主の横を通り過ぎる間際、横目で捉えるように流し見て出て行った。
廊下に出た斎藤は障子を閉めて腕を組み、また舌打ちをしていた。
……十九の何が悪い、立派な大人であろうが……
夢主の態度がよそよそしい。不愉快だった。
斎藤は気持ちを切り替える為、何か他の事を考えようと試みた。
耳を澄ませば、まだ多くの部屋で掃除が続く騒々しい音が聞こえる。
気は散り、考え巡らすも何も浮かばず、夢主の顔ばかりが浮かんできた。
「よそよそしい事を」
声を漏らすと同時に背後の障子が開いた。
振り返るとほっかむり姿のままの夢主が立っていた。
「何だ、着替えんのか」
「すみません……考えたらまだ沖田さんのお部屋しかお手伝いしてませんでした……」
「ちっ……」
斎藤はさも不愉快といった感じでまたもや舌打ちをした。
「お前何しに出て行ったんだ。とっとと行って来い」
「はぃ……」
小さな体を更に小さくして頷き夢主は再び部屋を出ようとした。
「斎藤さん……」
ぺこりと僅かに頭を下げて出て行った。
自分の下らない態度で斎藤の機嫌を損ねたと気付いたからだ。損ねたと言うよりは、傷つけたといった方が正しい。
「何だ一体」
すぐに気付かれた。おずおずと部屋に入り、相変わらず文机の前にいる斎藤の傍に腰を下ろした。
「俺の歳がどうかしたか。歳を聞いた途端叫んで飛び出していくとは。お前、俺を一体なんだと思ってやがる」
「す、すみません……」
謝りながらも口元が緩んでしまう。
こんなにも堂々として色気のある男性が十代だったとは。
夢主はそう考えるとにやけずにいられなかった。
「ちっ」
歳を聞いた途端、態度が変わり子ども扱いされているようで斎藤は腹が立った。
見た目で言えばお前の方が幼いだろうと言いたげに不機嫌な視線を向けた。
「掃除の手伝いは終わったのか。終わったのなら誇りっぽいその着物を着替えろ」
「あっ……すみませんっ」
着替えをしていないどころか、ほっかむりもしたままだった。
折角綺麗に掃除した部屋に埃を持ち込んでしまった。
部屋を出ようと立ち上がるが、着替えるなら部屋の中だ。一旦外を見たが、部屋の中を向き直り斎藤を見た。
斎藤がいては着替えが出来ない。お願いしますと頭を下げた。
「ちっ、あぁ!分かったよ!」
そう言い捨てると墨を乾かす為か、紙の上に布をかけてから面倒臭そうに立ち上がった。
夢主の横を通り過ぎる間際、横目で捉えるように流し見て出て行った。
廊下に出た斎藤は障子を閉めて腕を組み、また舌打ちをしていた。
……十九の何が悪い、立派な大人であろうが……
夢主の態度がよそよそしい。不愉快だった。
斎藤は気持ちを切り替える為、何か他の事を考えようと試みた。
耳を澄ませば、まだ多くの部屋で掃除が続く騒々しい音が聞こえる。
気は散り、考え巡らすも何も浮かばず、夢主の顔ばかりが浮かんできた。
「よそよそしい事を」
声を漏らすと同時に背後の障子が開いた。
振り返るとほっかむり姿のままの夢主が立っていた。
「何だ、着替えんのか」
「すみません……考えたらまだ沖田さんのお部屋しかお手伝いしてませんでした……」
「ちっ……」
斎藤はさも不愉快といった感じでまたもや舌打ちをした。
「お前何しに出て行ったんだ。とっとと行って来い」
「はぃ……」
小さな体を更に小さくして頷き夢主は再び部屋を出ようとした。
「斎藤さん……」
ぺこりと僅かに頭を下げて出て行った。
自分の下らない態度で斎藤の機嫌を損ねたと気付いたからだ。損ねたと言うよりは、傷つけたといった方が正しい。