32.屯所の大晦日
夢主名前設定
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斎藤の元へ戻ると、斎藤はすべき事を全て終えて文机の前で何か書き留めていた。
夢主が顔を出した時、ゆっくり動かしていた筆を置く所だった。
「斎藤さん」
呼び掛けながら、顔がにやけてしまう。
夢主が裏表作れない女だと知る斎藤は、また隠し事かくだらない企み事だなとニヤけた顔を観察した。
「なんだ、やけにニヤニヤと。また何かあるのか」
「あの……斎藤さんって……二十歳なんですか……」
何事かと思えば予想もしない質問が出てきた。
「なんだ歳か。確かに明日で二十歳だが」
「えっ!」
至って当たり前の回答に夢主は驚きの声を上げ、仰け反るように固まった。
斎藤は妙な反応を訝しんでいる。
「あ、明日で二十歳……そ、そっか……という事は、斎藤さん……い、今、じゅっ……じゅうだ……ぃ……」
何かを確かめるように呟いて下を向く夢主。
また顔を上げて斎藤を見た。確かめるように顔を眺め、一言叫んでしまった。
「じゅうだいぃいい!!ぇええぇっ!」
確かに緋村剣心との再開の時、鳥羽伏見より十年ぶりと話していた斎藤。
鳥羽伏見がちょうど四年後、あの神谷道場に現れた姿より十四年前の斎藤が、今目の前に。
「す、すみませんっ!」
時系列を考えすぎて頭が混乱した夢主は部屋を飛び出した。
「じゅっ……十九?ほ、本当に……十代?」
三十でも通じると言った沖田の言葉が頭をよぎった。
十九、ハタチ、今は十代。混乱したまま足早に目的もなく屯所内を歩いて行く。
「十九……十九って……」
ぶつぶつ漏らしていると、突然目の前に人影が現れた。
「あっ、すみませ…………土方さん」
顔を上げると土方が不思議そうに夢主を見ていた。
何やら様子が変だが悪い事を抱えている雰囲気では無い。
「おぉ気をつけろよ。……ふっ、何ぶつぶつ言ってやがる」
窘めながら、ほっかむり姿がやけに似合うと土方は笑っていた。
夢主は謝まっても尚、未だ衝撃の余り斎藤の年齢を呟いていた。
「あ、あの……土方さんは今お幾つなのですか」
夢主は目の前の顔をしげしげと眺めながら小声で訊ねた。
凛々しく自信に満ちた顔。憎めない悪ガキらしさを残しながら、副長として隊を率いる男の威厳を感じる。
「あぁ?歳か?二十九だぜ。明日で切り良く三十さ」
にっと笑って見せた。
歳を取るのが嬉しいようだ。
「三十……歳相応、ですね。あの、斎藤さんって……十九なのですか」
「あぁ?そうだな。どうかしたか」
沖田は知らなかったが、土方なら江戸で交流があった折りに歳ぐらい話題に上げただろう。入隊時の記録でも知っているはずだ。
夢主が怖々訊ねると、あっさり認められた。
「ははっ、斎藤はもっと老けてると思ったか」
「い、いえっ、ありがとうございます」
夢主は図星を突かれたが、礼を言って足早に立ち去った。
再びぶつぶつと呟きながら消える姿。土方は斎藤をどう見ていたんだと笑っていた。
「わ、若い……若すぎる……斎藤さん、十代……」
十代と聞いた途端に斎藤がやけに可愛らしく思えてきた。
未来で言えば未成年、青年、子供。
「……ひゃぁ……」
何故か赤く染まり始めた頬を両手で隠して立ち竦んだ。
夢主が顔を出した時、ゆっくり動かしていた筆を置く所だった。
「斎藤さん」
呼び掛けながら、顔がにやけてしまう。
夢主が裏表作れない女だと知る斎藤は、また隠し事かくだらない企み事だなとニヤけた顔を観察した。
「なんだ、やけにニヤニヤと。また何かあるのか」
「あの……斎藤さんって……二十歳なんですか……」
何事かと思えば予想もしない質問が出てきた。
「なんだ歳か。確かに明日で二十歳だが」
「えっ!」
至って当たり前の回答に夢主は驚きの声を上げ、仰け反るように固まった。
斎藤は妙な反応を訝しんでいる。
「あ、明日で二十歳……そ、そっか……という事は、斎藤さん……い、今、じゅっ……じゅうだ……ぃ……」
何かを確かめるように呟いて下を向く夢主。
また顔を上げて斎藤を見た。確かめるように顔を眺め、一言叫んでしまった。
「じゅうだいぃいい!!ぇええぇっ!」
確かに緋村剣心との再開の時、鳥羽伏見より十年ぶりと話していた斎藤。
鳥羽伏見がちょうど四年後、あの神谷道場に現れた姿より十四年前の斎藤が、今目の前に。
「す、すみませんっ!」
時系列を考えすぎて頭が混乱した夢主は部屋を飛び出した。
「じゅっ……十九?ほ、本当に……十代?」
三十でも通じると言った沖田の言葉が頭をよぎった。
十九、ハタチ、今は十代。混乱したまま足早に目的もなく屯所内を歩いて行く。
「十九……十九って……」
ぶつぶつ漏らしていると、突然目の前に人影が現れた。
「あっ、すみませ…………土方さん」
顔を上げると土方が不思議そうに夢主を見ていた。
何やら様子が変だが悪い事を抱えている雰囲気では無い。
「おぉ気をつけろよ。……ふっ、何ぶつぶつ言ってやがる」
窘めながら、ほっかむり姿がやけに似合うと土方は笑っていた。
夢主は謝まっても尚、未だ衝撃の余り斎藤の年齢を呟いていた。
「あ、あの……土方さんは今お幾つなのですか」
夢主は目の前の顔をしげしげと眺めながら小声で訊ねた。
凛々しく自信に満ちた顔。憎めない悪ガキらしさを残しながら、副長として隊を率いる男の威厳を感じる。
「あぁ?歳か?二十九だぜ。明日で切り良く三十さ」
にっと笑って見せた。
歳を取るのが嬉しいようだ。
「三十……歳相応、ですね。あの、斎藤さんって……十九なのですか」
「あぁ?そうだな。どうかしたか」
沖田は知らなかったが、土方なら江戸で交流があった折りに歳ぐらい話題に上げただろう。入隊時の記録でも知っているはずだ。
夢主が怖々訊ねると、あっさり認められた。
「ははっ、斎藤はもっと老けてると思ったか」
「い、いえっ、ありがとうございます」
夢主は図星を突かれたが、礼を言って足早に立ち去った。
再びぶつぶつと呟きながら消える姿。土方は斎藤をどう見ていたんだと笑っていた。
「わ、若い……若すぎる……斎藤さん、十代……」
十代と聞いた途端に斎藤がやけに可愛らしく思えてきた。
未来で言えば未成年、青年、子供。
「……ひゃぁ……」
何故か赤く染まり始めた頬を両手で隠して立ち竦んだ。