30.君の行方、その想い
夢主名前設定
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「で~~斎藤さん、今、夢主ちゃん部屋を出て行きましたよ、ほら、何があったか教えて下さいよ!何かしたんでしょう!怒りませんから教えて下さいよっ!何で部屋の外に放り出されているんですか!何で夢主ちゃんいきなりお着替えなんですかっ!!」
相当気になるのだろう、怒らないと言いつつ既に怒気をはらんでいる。
「もういいだろ、聞いて何になる。あいつも嫌がるぞ」
「ってことはやっぱり何かっ?!」
沖田は衝撃を受けるように体を仰け反らせた。
「いやいやいやっ、そんな短時間で……まさかですよねぇ」
何を考えたのか、自分に言い聞かせるように沖田は呟いた。
「フン、確かに艶やかだったが、もう充分だろう」
「そりゃあ一緒にお酒呑んでた斎藤さんはいいかもしれませんけどねー!」
沖田はほんの僅かしか夢主の妖艶な美しさを目にしていない。
斎藤にそれを認めさせたかった。
「君も下心が丸見えじゃぁないか」
「何てことを言うんですか!僕はただ夢主ちゃんのいつもと違う麗しい姿をもう少し……」
「それを下心と言うんだぜ」
「むっ!!」
沖田がうっとり目を閉じて微笑むさまを斎藤が不機嫌になじる。
いつもの言い合いが始まり睨み合いになった。
その時、着替えを済ませ化粧を落とし終え、こっそり部屋に戻った夢主が恐る恐る縁側へ出てきた。
寒さが増しており、斎藤がくれた半纏を羽織っている。手には斎藤の黒い半纏を抱えていた。
「あの……斎藤さん」
障子に手を掛けたまま言う夢主はまだ頬が紅潮していた。
そして夢主の首筋には斎藤の吐息の感触が残っていた。
「お酌、続けてもいいですか……」
頬を染める夢主、やはり何かあったのかと沖田は二人の顔を見比べた。
不安そうに佇む夢主の姿は痛々しい。
沖田は夢主を見上げるだけで黙っている斎藤に声を掛けた。
「着替えちゃったんですね!いつもの夢主ちゃんも可愛いけど、特別な姿ももっと見ていたかったなぁ~!ねぇ、お酌お願いします!……斎藤さんもして欲しいんでしょ」
「……あぁ、頼む」
斎藤の目元に緩みが戻ると夢主は座り、半纏をそっと渡した。
「寒くなりましたからこちらを……」
「あぁ」
静かなやり取りは、まるで長年連れ添う二人のようだ。
言葉は少なく、互いの想いを汲み取ろうとする。互いの気まずささえも。
夢主は微笑んで二人の間に腰を下ろした。
気まずさが見えるのは素直な気持ちを見せてくれたから。
一時の気の迷いか本心か分からないし、驚いて戸惑ってしまったけど、もう一度向き合える関係にある。今はそれだけで……。
「では改めて……呑み直してくださいねっ」
ふふっとはにかんで酒を注ぐ夢主。
艶やかな着物は脱いだが、白い夜着に深い色合いの半纏を纏う夢主は何よりも美しく月に照らされていた。
相当気になるのだろう、怒らないと言いつつ既に怒気をはらんでいる。
「もういいだろ、聞いて何になる。あいつも嫌がるぞ」
「ってことはやっぱり何かっ?!」
沖田は衝撃を受けるように体を仰け反らせた。
「いやいやいやっ、そんな短時間で……まさかですよねぇ」
何を考えたのか、自分に言い聞かせるように沖田は呟いた。
「フン、確かに艶やかだったが、もう充分だろう」
「そりゃあ一緒にお酒呑んでた斎藤さんはいいかもしれませんけどねー!」
沖田はほんの僅かしか夢主の妖艶な美しさを目にしていない。
斎藤にそれを認めさせたかった。
「君も下心が丸見えじゃぁないか」
「何てことを言うんですか!僕はただ夢主ちゃんのいつもと違う麗しい姿をもう少し……」
「それを下心と言うんだぜ」
「むっ!!」
沖田がうっとり目を閉じて微笑むさまを斎藤が不機嫌になじる。
いつもの言い合いが始まり睨み合いになった。
その時、着替えを済ませ化粧を落とし終え、こっそり部屋に戻った夢主が恐る恐る縁側へ出てきた。
寒さが増しており、斎藤がくれた半纏を羽織っている。手には斎藤の黒い半纏を抱えていた。
「あの……斎藤さん」
障子に手を掛けたまま言う夢主はまだ頬が紅潮していた。
そして夢主の首筋には斎藤の吐息の感触が残っていた。
「お酌、続けてもいいですか……」
頬を染める夢主、やはり何かあったのかと沖田は二人の顔を見比べた。
不安そうに佇む夢主の姿は痛々しい。
沖田は夢主を見上げるだけで黙っている斎藤に声を掛けた。
「着替えちゃったんですね!いつもの夢主ちゃんも可愛いけど、特別な姿ももっと見ていたかったなぁ~!ねぇ、お酌お願いします!……斎藤さんもして欲しいんでしょ」
「……あぁ、頼む」
斎藤の目元に緩みが戻ると夢主は座り、半纏をそっと渡した。
「寒くなりましたからこちらを……」
「あぁ」
静かなやり取りは、まるで長年連れ添う二人のようだ。
言葉は少なく、互いの想いを汲み取ろうとする。互いの気まずささえも。
夢主は微笑んで二人の間に腰を下ろした。
気まずさが見えるのは素直な気持ちを見せてくれたから。
一時の気の迷いか本心か分からないし、驚いて戸惑ってしまったけど、もう一度向き合える関係にある。今はそれだけで……。
「では改めて……呑み直してくださいねっ」
ふふっとはにかんで酒を注ぐ夢主。
艶やかな着物は脱いだが、白い夜着に深い色合いの半纏を纏う夢主は何よりも美しく月に照らされていた。