30.君の行方、その想い
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話が落ち着いた所で、斎藤は自分の猪口を軽く振って見せた。
空の猪口が次の酒を待っているぞとお道化る。
「さぁどうする。俺だけで飲み干していいのか」
「あぁっ、ずるいですね!僕、急いでお猪口取って来ます!」
「あ、ひ、ひとつでいいですよっ、私は遠慮しますからっ!」
「ついでに追加の酒も持って来い」
「何ですかそれ!」
立ち上がった沖田に夢主が慌てて叫ぶと斎藤はちゃっかり酒の追加を言い付けた。
駆け出した沖田は振り返って叫ぶが渋々引き受け、勝手元に向かった。
「やれやれ、沖田君は相変わらず騒々しいな」
沖田が去って束の間の静けさを斎藤は堪能していた。
夢主の酌を受け、酒を楽しんでいる。
「お前、本当に呑まんのか」
斎藤に静かに聞かれ、夢主は微笑んでそっと頷いた。今夜は絶対に酒を含まないと決めていた。
「そうか、残念だな。まぁ確かにその姿で酔えば俺に襲われる事、必至だな」
夢主の強い気持ちを察したのか、斎藤はわざと揶揄った。
口元は僅かに笑んでいるが目つきはいつもより更に鋭く、視線に捕らわれた夢主は一瞬ふるっと震えた。
「もうっ、何でそんなこと言うんですかっ、本当に呑め無いじゃないですかっ!」
「呑む気でいたのか」
フッと口元を緩めると夢主を見下すようににやけた。
「まぁ膨れていても可愛いもんだ」
「もぉっ……」
「ほらな。その顔、いいぜ。いっそ酔わせたかったな……」
恥ずかしさで小さくなる夢主を流し目で見つめ、誘うように低く艶やかな声を響かせた。
「っ……斎藤さん、今夜はちょっとおかしいです……本当に酔ってますね……」
いつもは出てこないような言葉が次々と飛んでくる。
きっと酔っているからだ。そうでなければ、向けられる視線も言葉も酔いの所為でないのなら……。
夢主はちらと斎藤の酔い姿を見つめた。
「そうだな。酔ってるぜ……お前にな……」
更に目を細めると酒を口に運んだ。夢主を横目に見ながら飲み干し、唇から伝う一筋の酒を親指で拭う。そのまま指を舐める仕草を見せつけた。
とても挑発的な仕草だ。
本気がどうか分からないが、斎藤の口から出てくる誘発的な言葉や仕草。
これ以上この恰好でいても良い事は無いのでは。夢主は着替えを決心した。
「も……もぅ、私着替えます!」
真っ赤な顔で突然立ちがり、歩き出そうと着物の裾を持ち上げる。
「あっ……」
所が何かを思い出したように立ち止まった。
「女将さん……もう寝るから着物は明日返せばいいって言ってたんだ……」
今から押しかけるのは迷惑。
酒を続ける斎藤を見下ろし、夢主はその場にしゃがんだ。
「着替えますから、ちょっと外に出て下さい!」
ずいずいっと不躾に盆を外に押し出して、今度は斎藤を追い出そうと背中を押し始めた。
「おいおい、お前のほうが酔ってるんじゃないか」
あまりの強引な行動に斎藤も苦笑いだ。
仕方無しに腰を下ろしたまま面倒臭そうながらも廊下まで出てやる。
夢主は障子を閉める前に斎藤をきつく睨んだ。
「絶対に開けないでくださいよ!覗かないで下さいね!!」
「おいおい、俺が今の今まで一度だって覗いた事があるか。今更なんだ」
斎藤は珍しく自分を男として信用しない夢主を責めた。
自ら誠実と言えるほど気遣っていると言うのに随分な扱いだ。
空の猪口が次の酒を待っているぞとお道化る。
「さぁどうする。俺だけで飲み干していいのか」
「あぁっ、ずるいですね!僕、急いでお猪口取って来ます!」
「あ、ひ、ひとつでいいですよっ、私は遠慮しますからっ!」
「ついでに追加の酒も持って来い」
「何ですかそれ!」
立ち上がった沖田に夢主が慌てて叫ぶと斎藤はちゃっかり酒の追加を言い付けた。
駆け出した沖田は振り返って叫ぶが渋々引き受け、勝手元に向かった。
「やれやれ、沖田君は相変わらず騒々しいな」
沖田が去って束の間の静けさを斎藤は堪能していた。
夢主の酌を受け、酒を楽しんでいる。
「お前、本当に呑まんのか」
斎藤に静かに聞かれ、夢主は微笑んでそっと頷いた。今夜は絶対に酒を含まないと決めていた。
「そうか、残念だな。まぁ確かにその姿で酔えば俺に襲われる事、必至だな」
夢主の強い気持ちを察したのか、斎藤はわざと揶揄った。
口元は僅かに笑んでいるが目つきはいつもより更に鋭く、視線に捕らわれた夢主は一瞬ふるっと震えた。
「もうっ、何でそんなこと言うんですかっ、本当に呑め無いじゃないですかっ!」
「呑む気でいたのか」
フッと口元を緩めると夢主を見下すようににやけた。
「まぁ膨れていても可愛いもんだ」
「もぉっ……」
「ほらな。その顔、いいぜ。いっそ酔わせたかったな……」
恥ずかしさで小さくなる夢主を流し目で見つめ、誘うように低く艶やかな声を響かせた。
「っ……斎藤さん、今夜はちょっとおかしいです……本当に酔ってますね……」
いつもは出てこないような言葉が次々と飛んでくる。
きっと酔っているからだ。そうでなければ、向けられる視線も言葉も酔いの所為でないのなら……。
夢主はちらと斎藤の酔い姿を見つめた。
「そうだな。酔ってるぜ……お前にな……」
更に目を細めると酒を口に運んだ。夢主を横目に見ながら飲み干し、唇から伝う一筋の酒を親指で拭う。そのまま指を舐める仕草を見せつけた。
とても挑発的な仕草だ。
本気がどうか分からないが、斎藤の口から出てくる誘発的な言葉や仕草。
これ以上この恰好でいても良い事は無いのでは。夢主は着替えを決心した。
「も……もぅ、私着替えます!」
真っ赤な顔で突然立ちがり、歩き出そうと着物の裾を持ち上げる。
「あっ……」
所が何かを思い出したように立ち止まった。
「女将さん……もう寝るから着物は明日返せばいいって言ってたんだ……」
今から押しかけるのは迷惑。
酒を続ける斎藤を見下ろし、夢主はその場にしゃがんだ。
「着替えますから、ちょっと外に出て下さい!」
ずいずいっと不躾に盆を外に押し出して、今度は斎藤を追い出そうと背中を押し始めた。
「おいおい、お前のほうが酔ってるんじゃないか」
あまりの強引な行動に斎藤も苦笑いだ。
仕方無しに腰を下ろしたまま面倒臭そうながらも廊下まで出てやる。
夢主は障子を閉める前に斎藤をきつく睨んだ。
「絶対に開けないでくださいよ!覗かないで下さいね!!」
「おいおい、俺が今の今まで一度だって覗いた事があるか。今更なんだ」
斎藤は珍しく自分を男として信用しない夢主を責めた。
自ら誠実と言えるほど気遣っていると言うのに随分な扱いだ。