30.君の行方、その想い
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「他愛ない話だ」
斎藤の答えに満足出来ない沖田は夢主の顔を見た。斎藤が答えなくとも夢主は答えてくれると思ったのだ。
「はぁ……斎藤さんは人を斬るのがお好きですかって聞いてたんです……」
「ぷっ!夢主ちゃん凄いことを聞きますねっ!」
沖田は噴出した。
「それで、斎藤さんは何と」
分かりきった答えだが沖田は斎藤を見た。
「フン、一度答えた質問には二度は答えん。それに訊いてきたのは夢主だ。君に答える義理は無い」
「へ~~まぁいいですけどねぇーー!!」
「あ、あの、」
機嫌を損ねた斎藤がぶっきらぼうに返し、沖田も俄かに機嫌を損ねた。
夢主は仲直りさせようと、まぁまぁと手を扇いで必死に宥めた。
互いに顔を背け意地を張っていたが、阿呆臭いと思ったのか斎藤が突然真顔に戻り、先程途中になってしまった話を口にした。
「お前は、これからどうするつもりだ」
「えっ……」
聞かれると思っていなかった問い。これからどうするか、それは今後の身の振り方。夢主は咄嗟に答えられなかった。
今は選ぶ道が限られている。それでもいつかの話と言うならば、それなりの考えはあるのだが。
「私は屯所から離れられないですし……」
「その屯所が無くなったらどうする。俺達は斬り合いを重ねている。いつ壊滅するかも分からん。その上、事情によっては戦地へ赴いたり江戸に帰るかもしれんのだ。もし、戦が始まれば、お前はどうしたい」
斎藤はもう先の事を考えていた。
確かにいずれ新選組は戦に出向き、移動を繰り返し、その数を減らしていく。
戦になれば同行も難しい。
夢主は薄すら考えていた思いを伝え始めた。
「私は……京に残るか……大坂に出るか……それとも……江戸に向かうか。考えた事はあります」
斎藤の顔を見て続けた。
京から大坂を経て江戸へ、戦の流れで斎藤が踏む地を口にしてしまった。
しかし違和感は与えないはず。今を生きる京、新選組も度々訪れる大坂、剣術を磨いた故郷の江戸。既に縁の地となっている。
「時代が荒れたら、どこへ行っても……戦乱に見舞われると思います。みなさんが戦っている間……自分で居場所を見つけます。それで戦が終わるのを待って……時代が落ち着いたら、新選組のみなさんを……探してみようかな……そう思ってます」
戦を生き延びる斎藤と、どうなるか分からない沖田、夢主は二人の顔を順に見た。
二人は夢主の行く末に不安を覚え、それでも冷静な顔で話を聞いている。
夢主はもう一度斎藤に視線を戻した。
「いいでしょうか……」
離れ離れになってしまった時、自分が斎藤を探し出し、再び会う事を許してもらえるのか。
許しを請う視線に、鋭い目は少しも揺るがない。
「いや……駄目だ」
斎藤は真っ直ぐ夢主を見つめ返して答えた。黄金色の瞳に体が固まる。
「待っていろ。俺が探し出してやる。だから動かず、待っていろ。いいな」
考えがあるのか力強く言い、斎藤は頷いた。諭す動きにつられ、夢主も黙って頷いた。嬉しくて涙が零れそうだった。
「沖田さんは……沖田さんはどうされるんですか」
「えっ?」
まさか自分まで問われると思わなかった沖田は戸惑いの声を上げた。
斎藤の答えに満足出来ない沖田は夢主の顔を見た。斎藤が答えなくとも夢主は答えてくれると思ったのだ。
「はぁ……斎藤さんは人を斬るのがお好きですかって聞いてたんです……」
「ぷっ!夢主ちゃん凄いことを聞きますねっ!」
沖田は噴出した。
「それで、斎藤さんは何と」
分かりきった答えだが沖田は斎藤を見た。
「フン、一度答えた質問には二度は答えん。それに訊いてきたのは夢主だ。君に答える義理は無い」
「へ~~まぁいいですけどねぇーー!!」
「あ、あの、」
機嫌を損ねた斎藤がぶっきらぼうに返し、沖田も俄かに機嫌を損ねた。
夢主は仲直りさせようと、まぁまぁと手を扇いで必死に宥めた。
互いに顔を背け意地を張っていたが、阿呆臭いと思ったのか斎藤が突然真顔に戻り、先程途中になってしまった話を口にした。
「お前は、これからどうするつもりだ」
「えっ……」
聞かれると思っていなかった問い。これからどうするか、それは今後の身の振り方。夢主は咄嗟に答えられなかった。
今は選ぶ道が限られている。それでもいつかの話と言うならば、それなりの考えはあるのだが。
「私は屯所から離れられないですし……」
「その屯所が無くなったらどうする。俺達は斬り合いを重ねている。いつ壊滅するかも分からん。その上、事情によっては戦地へ赴いたり江戸に帰るかもしれんのだ。もし、戦が始まれば、お前はどうしたい」
斎藤はもう先の事を考えていた。
確かにいずれ新選組は戦に出向き、移動を繰り返し、その数を減らしていく。
戦になれば同行も難しい。
夢主は薄すら考えていた思いを伝え始めた。
「私は……京に残るか……大坂に出るか……それとも……江戸に向かうか。考えた事はあります」
斎藤の顔を見て続けた。
京から大坂を経て江戸へ、戦の流れで斎藤が踏む地を口にしてしまった。
しかし違和感は与えないはず。今を生きる京、新選組も度々訪れる大坂、剣術を磨いた故郷の江戸。既に縁の地となっている。
「時代が荒れたら、どこへ行っても……戦乱に見舞われると思います。みなさんが戦っている間……自分で居場所を見つけます。それで戦が終わるのを待って……時代が落ち着いたら、新選組のみなさんを……探してみようかな……そう思ってます」
戦を生き延びる斎藤と、どうなるか分からない沖田、夢主は二人の顔を順に見た。
二人は夢主の行く末に不安を覚え、それでも冷静な顔で話を聞いている。
夢主はもう一度斎藤に視線を戻した。
「いいでしょうか……」
離れ離れになってしまった時、自分が斎藤を探し出し、再び会う事を許してもらえるのか。
許しを請う視線に、鋭い目は少しも揺るがない。
「いや……駄目だ」
斎藤は真っ直ぐ夢主を見つめ返して答えた。黄金色の瞳に体が固まる。
「待っていろ。俺が探し出してやる。だから動かず、待っていろ。いいな」
考えがあるのか力強く言い、斎藤は頷いた。諭す動きにつられ、夢主も黙って頷いた。嬉しくて涙が零れそうだった。
「沖田さんは……沖田さんはどうされるんですか」
「えっ?」
まさか自分まで問われると思わなかった沖田は戸惑いの声を上げた。