30.君の行方、その想い
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「そうだな、好きか嫌いかと問われれば、好きだな」
口元が歪んだ。
しかしすぐ真面目な顔に戻って語り続けた。
「だがそいつは俺の中の正義を実行する為だ。悪、即、斬。俺の……俺達新選組の唯一の正義。そいつに背くものは容赦なくこの俺が斬り捨てる」
夢主は斎藤に見据えられて黙り込んでしまった。
斎藤の言葉に徐々に力が込められていき、話が終わる頃には夢主は儚い笑顔を湛えて耳を傾けていた。
「斎藤さんらしいです……」
「そうか」
「斎藤さんが……斎藤さんが大好きなお酒をいつまでも呑めるように、私がそばにいて斎藤さんのこと止めてみせます!」
返す言葉がない、そんな顔を見せていた夢主が突如声を張った。
思わぬ言葉に斎藤も驚いて目を見開く。
「貴様、今さり気なく凄いことを言ったが気付いているか」
「えっ?」
気付いていないらしく、惚けた返事が返ってきた。
それはずっと俺の傍にいるという宣言ではないのか。
しかも暴走を止めるならば、それなりの信頼関係、もしくは力がいる。
どちらを夢主が備えられるかと言えば、絶対の信頼関係を築く事だろう。
「そうか、ならいい」
斎藤は苦笑で眉間に皺を寄せた。
「お前……」
斎藤が何かを問おうとした時、一つの素早い足音が聞こえた。
「見つけましたっ、夢主ちゃんっ!って、斎藤さんのお相手だなんてっ!!斎藤さん、何してるんですか!!」
ようやく座敷を抜け出してきた沖田が夢主を探し回っていた。
所在を知るはずの女将に聞くと、すっとぼけられた。けれども、にやりと意味ありげに笑った女将、もしかしてとこの部屋へやって来たのだ。
「おい、男と女が二人。良い雰囲気で呑んでいると言うのに沖田君、君は随分と無粋な男だな」
「ぶ……、い、いい雰囲気って!尚更いけませんよ!」
沖田は怒って胡坐を掻き、大きな音を立てて座った。これ見よがしに斎藤の正面を陣取った。
「おい!月が見えんだろうが!!」
「夢主ちゃんの事しか見てなかったくせにー!」
お前の体で外が見辛いと斎藤は文句を言いながら体をずらした。
ぷいっとむくれた沖田は盆の上に猪口を探した。
二人分用意されていたならば、酒を飲まない夢主の分が余っているはずだが、盆の上に猪口が無い。
夢主を見るが、膝に置かれた小さな手にも猪口は無かった。
「あれ、ひとつしか無いんですか」
「はぃ……斎藤さんだけ呑んで下されば構わないと思ったので……」
斎藤だけ……と言う言葉が沖田の胸に刺さる。
「まぁ……一緒に呑んでは危ないですからね。良かったです」
斎藤を睨んで沖田は呟いた。真面目な空気が漂っていたのは肌で感じる。
何を話題にしていたのか、余計気になった。
「それで、何の話をしていたんですか」
口元が歪んだ。
しかしすぐ真面目な顔に戻って語り続けた。
「だがそいつは俺の中の正義を実行する為だ。悪、即、斬。俺の……俺達新選組の唯一の正義。そいつに背くものは容赦なくこの俺が斬り捨てる」
夢主は斎藤に見据えられて黙り込んでしまった。
斎藤の言葉に徐々に力が込められていき、話が終わる頃には夢主は儚い笑顔を湛えて耳を傾けていた。
「斎藤さんらしいです……」
「そうか」
「斎藤さんが……斎藤さんが大好きなお酒をいつまでも呑めるように、私がそばにいて斎藤さんのこと止めてみせます!」
返す言葉がない、そんな顔を見せていた夢主が突如声を張った。
思わぬ言葉に斎藤も驚いて目を見開く。
「貴様、今さり気なく凄いことを言ったが気付いているか」
「えっ?」
気付いていないらしく、惚けた返事が返ってきた。
それはずっと俺の傍にいるという宣言ではないのか。
しかも暴走を止めるならば、それなりの信頼関係、もしくは力がいる。
どちらを夢主が備えられるかと言えば、絶対の信頼関係を築く事だろう。
「そうか、ならいい」
斎藤は苦笑で眉間に皺を寄せた。
「お前……」
斎藤が何かを問おうとした時、一つの素早い足音が聞こえた。
「見つけましたっ、夢主ちゃんっ!って、斎藤さんのお相手だなんてっ!!斎藤さん、何してるんですか!!」
ようやく座敷を抜け出してきた沖田が夢主を探し回っていた。
所在を知るはずの女将に聞くと、すっとぼけられた。けれども、にやりと意味ありげに笑った女将、もしかしてとこの部屋へやって来たのだ。
「おい、男と女が二人。良い雰囲気で呑んでいると言うのに沖田君、君は随分と無粋な男だな」
「ぶ……、い、いい雰囲気って!尚更いけませんよ!」
沖田は怒って胡坐を掻き、大きな音を立てて座った。これ見よがしに斎藤の正面を陣取った。
「おい!月が見えんだろうが!!」
「夢主ちゃんの事しか見てなかったくせにー!」
お前の体で外が見辛いと斎藤は文句を言いながら体をずらした。
ぷいっとむくれた沖田は盆の上に猪口を探した。
二人分用意されていたならば、酒を飲まない夢主の分が余っているはずだが、盆の上に猪口が無い。
夢主を見るが、膝に置かれた小さな手にも猪口は無かった。
「あれ、ひとつしか無いんですか」
「はぃ……斎藤さんだけ呑んで下されば構わないと思ったので……」
斎藤だけ……と言う言葉が沖田の胸に刺さる。
「まぁ……一緒に呑んでは危ないですからね。良かったです」
斎藤を睨んで沖田は呟いた。真面目な空気が漂っていたのは肌で感じる。
何を話題にしていたのか、余計気になった。
「それで、何の話をしていたんですか」