28.おもしろき、雪遊び
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再び沖田が雪玉を投げつける。
夢主は今度は雪玉を投げずに、辺りに積もって間もない軽い雪をすくい上げて、水飛沫のように掛ける作戦に出た。
軽い雪は広がりながら斎藤に向かって行く。
「ちっ」
斎藤は舌打ちをして瞬時に判断した。
薄く広がって向かってくる雪と連投された疾い雪玉、同時にどう対処すべきか。
夜着の袖を上げて体を落とした。雪玉はかわし、軽い雪は袖に当てて防いだのだ。
それを見て沖田が咄嗟に叫んだ。
自分が投げた雪玉が斎藤の頭上を越えた事が気にくわなかった。
「あーー斎藤さんずるいです!!」
「ずるいも何もあるか二対一なのだ、そちらの方がずるいだろう」
真っ向勝負をしろと責める沖田に、これ以上付き合いきれんと斎藤は勝負を終わらせるつもりでいた。
その時、油断した二人を尻目に夢主はもう一度斎藤に雪をすくいかけた。
「フッ」
「ひゃぁあっ」
夢主の攻撃を見届けた沖田をよそに、斎藤はその手を封じていた。
「捕らえたぞ。もうこれで雪は掛けられまい」
ニヤリと笑う斎藤、夢主の両手首を掴んで動きを封じ込めていた。
押さえ込まれ、座り込んだ体に触れる雪が冷たい。
「も、もぅっ、離してくださいっ」
「離さんぞ、俺の勝ちだ」
斎藤はまだ抵抗しようとする夢主に勝利を宣言をした。
「隙ありです斎藤さん!僕のこと忘れちゃって何してるんですか!」
沖田が夢主の真似をして雪をすくい掛けた。
「っく」
「ひゃ!」
斎藤だけを狙ったはずが勢い付き、夢主の顔にもしっかり掛かってしまった。
「わあぁっ、ごめんなさいっ!!もう斎藤さんのせいですよ!!そんな厭らしい事して動きを封じるから!!」
「これのどこが厭らしい。相手を制する基本だ」
手首を掴まれた夢主の前で、二人の男が顔を近づけて言い合いを始めた。
斎藤の手を引き剥がそうと沖田まで夢主の腕に手を掛ける。
大きな二つの手に掴まれて、夢主はますます硬直してしまう。
「あ……あのっ」
「お前ら何やってんだ!朝っぱらからうるっせぇーーぞ!!」
夢主が二人を止めようとした時、聞きなれた怒鳴り声が響き渡った。
「うっわーー土方さんだ!!」
沖田が逃げるように斎藤の陰に隠れた。
斎藤より小さな体を更に小さくと懸命に丸めている。
「おい総司、丸見えだぞ!!全くいい大人が夜着のまま……雪の中を……並んで……」
……おもしろき……夜着のならびや今朝の雪……
「どうしたんですかー土方さぁん!急に黙っちゃってー!!」
「うるっせーな!!早く戻らねぇと風邪引くぞ!!」
遠くから沖田が揶揄うと土方は怒鳴った。
沖田の傍で斎藤が夢主の両手首をしっかり掴んでいる。土方は僅かに眉間に皺を寄せて目を細めた。だがそれ以上何も言わず、部屋に戻って行った。
不機嫌に見えた背中から、思い付いた句を認める為そのまま筆を執ったとは、到底誰も考えなかっただろう。
夢主は今度は雪玉を投げずに、辺りに積もって間もない軽い雪をすくい上げて、水飛沫のように掛ける作戦に出た。
軽い雪は広がりながら斎藤に向かって行く。
「ちっ」
斎藤は舌打ちをして瞬時に判断した。
薄く広がって向かってくる雪と連投された疾い雪玉、同時にどう対処すべきか。
夜着の袖を上げて体を落とした。雪玉はかわし、軽い雪は袖に当てて防いだのだ。
それを見て沖田が咄嗟に叫んだ。
自分が投げた雪玉が斎藤の頭上を越えた事が気にくわなかった。
「あーー斎藤さんずるいです!!」
「ずるいも何もあるか二対一なのだ、そちらの方がずるいだろう」
真っ向勝負をしろと責める沖田に、これ以上付き合いきれんと斎藤は勝負を終わらせるつもりでいた。
その時、油断した二人を尻目に夢主はもう一度斎藤に雪をすくいかけた。
「フッ」
「ひゃぁあっ」
夢主の攻撃を見届けた沖田をよそに、斎藤はその手を封じていた。
「捕らえたぞ。もうこれで雪は掛けられまい」
ニヤリと笑う斎藤、夢主の両手首を掴んで動きを封じ込めていた。
押さえ込まれ、座り込んだ体に触れる雪が冷たい。
「も、もぅっ、離してくださいっ」
「離さんぞ、俺の勝ちだ」
斎藤はまだ抵抗しようとする夢主に勝利を宣言をした。
「隙ありです斎藤さん!僕のこと忘れちゃって何してるんですか!」
沖田が夢主の真似をして雪をすくい掛けた。
「っく」
「ひゃ!」
斎藤だけを狙ったはずが勢い付き、夢主の顔にもしっかり掛かってしまった。
「わあぁっ、ごめんなさいっ!!もう斎藤さんのせいですよ!!そんな厭らしい事して動きを封じるから!!」
「これのどこが厭らしい。相手を制する基本だ」
手首を掴まれた夢主の前で、二人の男が顔を近づけて言い合いを始めた。
斎藤の手を引き剥がそうと沖田まで夢主の腕に手を掛ける。
大きな二つの手に掴まれて、夢主はますます硬直してしまう。
「あ……あのっ」
「お前ら何やってんだ!朝っぱらからうるっせぇーーぞ!!」
夢主が二人を止めようとした時、聞きなれた怒鳴り声が響き渡った。
「うっわーー土方さんだ!!」
沖田が逃げるように斎藤の陰に隠れた。
斎藤より小さな体を更に小さくと懸命に丸めている。
「おい総司、丸見えだぞ!!全くいい大人が夜着のまま……雪の中を……並んで……」
……おもしろき……夜着のならびや今朝の雪……
「どうしたんですかー土方さぁん!急に黙っちゃってー!!」
「うるっせーな!!早く戻らねぇと風邪引くぞ!!」
遠くから沖田が揶揄うと土方は怒鳴った。
沖田の傍で斎藤が夢主の両手首をしっかり掴んでいる。土方は僅かに眉間に皺を寄せて目を細めた。だがそれ以上何も言わず、部屋に戻って行った。
不機嫌に見えた背中から、思い付いた句を認める為そのまま筆を執ったとは、到底誰も考えなかっただろう。