27.墨の黒と、紅の赤
夢主名前設定
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「筆は慣れなくて……」
「筆?筆以外に何で書くんですか?」
「えぇと……色々便利なものが出てくるので……筆だと字を流すように書くのがいいんでしょうね、私上手く流して書けなくて」
夢主は筆を置いて二人を見上げた。
自分が書いた字を繁々と眺める斎藤が何を思っているのか気になる。
「沖田さんの字も斎藤さんの字も見た事ありますよ」
「へぇ~!僕、何残したのかな」
沖田には思い当たる節が無かった。
夢主が沖田の字を見たのは、山南の切腹を知らせる手紙。とても有名な悲しい手紙だ。筆を執った時の心情からか随分と乱れた字であると言われていた。
「ぇえと、何だったかは……確かお手紙でした……」
言葉を濁しながら笑った。
手紙なら確かに書くと、沖田も納得している。
「斎藤さんの字、とても綺麗ですよね……それで、どうして急に……」
夢主は何故急に文字を書かせたのか説明を求めた。
代筆の仕事でも回ってくるのだろうか。
「俺達が大坂へ行った時だ。すぐには戻れんのでな。さすがに一人残すのは気掛かりだ。それで、毎日文を書いて家の者に渡せ」
「ぇっ、毎日ですかっ」
「でなければ確認にならんだろう。お前の無事のな。書く事が無ければ名前だけでも構わん。お前の字だけ覚えておく。文は家の者が飛脚に出す。飛脚代も渡しておくからお前はただ書いて渡すだけでいい」
そういう事かと夢主は頷いた。
置いていかれるのは淋しいし怖いが、流石について行けない。
「あの、私……平仮名とか入れないと書けないんです……読むのも漢文?みたいに漢字だけとか……難しいのは……読めないかも……」
「安心しろ、俺達から返事を送るわけでは無い。ただ書いて送れ」
「はっ、はいっ……」
勘違いした自分が恥ずかしくて頬が一気に赤く染まった。
「あはっ、僕は毎日でもお返事書きたいですけどね。土方さんが面倒臭い事するな!って許してくれないでしょうね」
「ふふっ、そうですね」
返事が届いたら嬉しいが、確かに平穏無事を伝えるだけの義務的な手紙に返事は不要。
「淋しいですけど……お気をつけて下さいね」
二人は力強く頷いた。
「筆?筆以外に何で書くんですか?」
「えぇと……色々便利なものが出てくるので……筆だと字を流すように書くのがいいんでしょうね、私上手く流して書けなくて」
夢主は筆を置いて二人を見上げた。
自分が書いた字を繁々と眺める斎藤が何を思っているのか気になる。
「沖田さんの字も斎藤さんの字も見た事ありますよ」
「へぇ~!僕、何残したのかな」
沖田には思い当たる節が無かった。
夢主が沖田の字を見たのは、山南の切腹を知らせる手紙。とても有名な悲しい手紙だ。筆を執った時の心情からか随分と乱れた字であると言われていた。
「ぇえと、何だったかは……確かお手紙でした……」
言葉を濁しながら笑った。
手紙なら確かに書くと、沖田も納得している。
「斎藤さんの字、とても綺麗ですよね……それで、どうして急に……」
夢主は何故急に文字を書かせたのか説明を求めた。
代筆の仕事でも回ってくるのだろうか。
「俺達が大坂へ行った時だ。すぐには戻れんのでな。さすがに一人残すのは気掛かりだ。それで、毎日文を書いて家の者に渡せ」
「ぇっ、毎日ですかっ」
「でなければ確認にならんだろう。お前の無事のな。書く事が無ければ名前だけでも構わん。お前の字だけ覚えておく。文は家の者が飛脚に出す。飛脚代も渡しておくからお前はただ書いて渡すだけでいい」
そういう事かと夢主は頷いた。
置いていかれるのは淋しいし怖いが、流石について行けない。
「あの、私……平仮名とか入れないと書けないんです……読むのも漢文?みたいに漢字だけとか……難しいのは……読めないかも……」
「安心しろ、俺達から返事を送るわけでは無い。ただ書いて送れ」
「はっ、はいっ……」
勘違いした自分が恥ずかしくて頬が一気に赤く染まった。
「あはっ、僕は毎日でもお返事書きたいですけどね。土方さんが面倒臭い事するな!って許してくれないでしょうね」
「ふふっ、そうですね」
返事が届いたら嬉しいが、確かに平穏無事を伝えるだけの義務的な手紙に返事は不要。
「淋しいですけど……お気をつけて下さいね」
二人は力強く頷いた。