26.気まずさ
夢主名前設定
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「昼飯、食ってないそうだな」
夢主は盆を膝の上に乗せて座り、小さく頷いた。
「気にしても仕方ないだろう、明日から普通に座敷に来いよ」
もう一度小さく頷いた。
「沖田君は何も、全くもって憎らしいほど気にしていない。お前も気にするな」
「はぃ……」
沖田らしい、そう思った。
「斎藤さん……怒ってませんか……」
色々思い巡らせた夢主、少し間を置いて見上げると小さな声で訊ねた。
「フッ……今更お前に何を怒る」
気にしていないのか怒る気も失せたのか、隠し事をしている夢主を咎めない。
咎める所か、構わんさと口角を持ち上げた。
「何でもいいが、暗い顔をして下を向くのだけはよせ。言えなくとも構わんから堂々としていろ。でなければ、遠慮なく昨日みたいにするぞ」
「ぁ、あれは、は、恥ずかしいですっ……」
昨夜、静かに抱き寄せられたこと。
夢主は耳まで赤くして斎藤から目を逸らした。
目を落とした先で、白い握り飯が夕照にほんのり染まっている。
「だったらいつも通りしてろ、いいな」
繰り返されては堪らない。夢主は慌てて何度も頷いた。
「落ち込んでもいいから甘えて来い。何度も言わせるな、このど阿呆」
「ど阿呆じゃありませんっ」
口元を歪めて揶揄った斎藤、夢主は恥じらいながら言い返した。
「何度言っても分からんお前は、ど阿呆ぅだろ」
そう言う斎藤はとても楽しそうだ。
「でもご飯食べなかったおかげで、また斎藤さんのおにぎりが頂けるので、いいんです、ふふっ」
してやったりと笑顔を見せ、おにぎりを手に取った。
「斎藤さん、ありがとうございます……頂きます」
「あぁ、食え」
夢主の目がしおらしく細まり、斎藤は満足そうににやりとした。
幸せそうに微笑みあう二人の姿は、誰が見ても通じ合う想いを感じ取るだろう。
動乱の京にある屯所という事を忘れる程に、穏やかな時間が過ぎていった。
夢主は盆を膝の上に乗せて座り、小さく頷いた。
「気にしても仕方ないだろう、明日から普通に座敷に来いよ」
もう一度小さく頷いた。
「沖田君は何も、全くもって憎らしいほど気にしていない。お前も気にするな」
「はぃ……」
沖田らしい、そう思った。
「斎藤さん……怒ってませんか……」
色々思い巡らせた夢主、少し間を置いて見上げると小さな声で訊ねた。
「フッ……今更お前に何を怒る」
気にしていないのか怒る気も失せたのか、隠し事をしている夢主を咎めない。
咎める所か、構わんさと口角を持ち上げた。
「何でもいいが、暗い顔をして下を向くのだけはよせ。言えなくとも構わんから堂々としていろ。でなければ、遠慮なく昨日みたいにするぞ」
「ぁ、あれは、は、恥ずかしいですっ……」
昨夜、静かに抱き寄せられたこと。
夢主は耳まで赤くして斎藤から目を逸らした。
目を落とした先で、白い握り飯が夕照にほんのり染まっている。
「だったらいつも通りしてろ、いいな」
繰り返されては堪らない。夢主は慌てて何度も頷いた。
「落ち込んでもいいから甘えて来い。何度も言わせるな、このど阿呆」
「ど阿呆じゃありませんっ」
口元を歪めて揶揄った斎藤、夢主は恥じらいながら言い返した。
「何度言っても分からんお前は、ど阿呆ぅだろ」
そう言う斎藤はとても楽しそうだ。
「でもご飯食べなかったおかげで、また斎藤さんのおにぎりが頂けるので、いいんです、ふふっ」
してやったりと笑顔を見せ、おにぎりを手に取った。
「斎藤さん、ありがとうございます……頂きます」
「あぁ、食え」
夢主の目がしおらしく細まり、斎藤は満足そうににやりとした。
幸せそうに微笑みあう二人の姿は、誰が見ても通じ合う想いを感じ取るだろう。
動乱の京にある屯所という事を忘れる程に、穏やかな時間が過ぎていった。