25.傷
夢主名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「本当に……沖田さんにお話しするのは気が引けて……」
「でも斎藤さんにも言えないのでしょう。なら僕が聞きます」
優しいけれど厳しい声だ。沖田の決意は固い。
「抱え込まないで、教えてください夢主ちゃん。斎藤さんの身に危険でも及ぶのですか」
「いいえ、斎藤さんは不死身ですっ」
首を振りながら、微かに笑う。
それから観念したように夢主はぽつりぽつりと語りだした。
「斎藤さんの……その……出会うべき人が……いるんです」
「出会う人……」
あぁそうか……と沖田は淋しい気持ちになった。
「女の人……ですか」
夢主は大きくゆっくり頷いた。
「とても素敵な……奥さん……」
沖田は言葉を無くした。
思った通り夢主は斎藤に気があり、その斎藤がこれから出会ういつかの妻に気を揉んでいるのだ。
幸せになって欲しいと願う目の前にいるこの人は、そんな事で思い悩んでいるのか……
沖田は胸が潰されそうだった。
「沖田さんも仰った通り……私はいちゃいけない存在、本当は関わっちゃいけないんだと思い知って……そしたら苦しくて……」
また涙が溢れてきた。
頬を伝う夢主の涙を見ながら、沖田も言葉を搾り出す。
「そんな……そんな事で……思い悩まないで下さい……」
「そんな事だなんて!」
「そんな事です!目の前に愛しい人がいて手を差し伸べてくれるなら、手を取って下さい。僕は貴女に幸せになって欲しいんです!」
夢主は目を丸くした。
「どんな拍子で歴史が変わっちゃうかなんて僕達にも分かりません!もともと歴史ってそういうものです。夢主ちゃんだけが背負って何が良くなるんですか。斎藤さんの事が好きなんでしょう」
「っ……」
そう打ち明けたも当然だったが、真っ直ぐ言われると戸惑ってしまう。
夢主は沖田の迫力と素直な思いに、大きな目を揺らして狼狽えた。
「今日言われるまでも無く薄々気付いていましたよ……皆きっと気付いていますよ、夢主ちゃん」
夢主の顔が一気に染まっていく。
言われて当然の事実かもしれないが、改めて自覚すると恥ずかしいものだ。
……自分は斎藤が好き……みんなも気付いている……
気付けば、もじもじと下を見ていた。
「まだ出会ってもいない人の事で思い悩むなんておかしいですよ。その人がどれだけ素晴らしい人であろうとも……目の前にいるのは貴女です」
沖田は自分の気持ちを抑えて励ましてくれる。その勇気に夢主も元気付けられていった。
「沖田さん……」
「でも僕も諦めた訳ではありませんよ!いつか振り向いてもらえる日まで、例え夢主ちゃんが嫁いだって諦めませんから!」
あはははと笑う沖田はさっぱりした、わだかまりなど微塵も残さぬ笑顔をしていた。
「ありがとぅ……ございます」
真っ赤な顔のまま、前髪で顔が隠れるほど深々と頭を下げた。
沖田は自分と同じ匂いのする、懐かしい稽古着を纏う夢主を愛おしく見て頷いた。
「いつでもお力になります」
「でも斎藤さんにも言えないのでしょう。なら僕が聞きます」
優しいけれど厳しい声だ。沖田の決意は固い。
「抱え込まないで、教えてください夢主ちゃん。斎藤さんの身に危険でも及ぶのですか」
「いいえ、斎藤さんは不死身ですっ」
首を振りながら、微かに笑う。
それから観念したように夢主はぽつりぽつりと語りだした。
「斎藤さんの……その……出会うべき人が……いるんです」
「出会う人……」
あぁそうか……と沖田は淋しい気持ちになった。
「女の人……ですか」
夢主は大きくゆっくり頷いた。
「とても素敵な……奥さん……」
沖田は言葉を無くした。
思った通り夢主は斎藤に気があり、その斎藤がこれから出会ういつかの妻に気を揉んでいるのだ。
幸せになって欲しいと願う目の前にいるこの人は、そんな事で思い悩んでいるのか……
沖田は胸が潰されそうだった。
「沖田さんも仰った通り……私はいちゃいけない存在、本当は関わっちゃいけないんだと思い知って……そしたら苦しくて……」
また涙が溢れてきた。
頬を伝う夢主の涙を見ながら、沖田も言葉を搾り出す。
「そんな……そんな事で……思い悩まないで下さい……」
「そんな事だなんて!」
「そんな事です!目の前に愛しい人がいて手を差し伸べてくれるなら、手を取って下さい。僕は貴女に幸せになって欲しいんです!」
夢主は目を丸くした。
「どんな拍子で歴史が変わっちゃうかなんて僕達にも分かりません!もともと歴史ってそういうものです。夢主ちゃんだけが背負って何が良くなるんですか。斎藤さんの事が好きなんでしょう」
「っ……」
そう打ち明けたも当然だったが、真っ直ぐ言われると戸惑ってしまう。
夢主は沖田の迫力と素直な思いに、大きな目を揺らして狼狽えた。
「今日言われるまでも無く薄々気付いていましたよ……皆きっと気付いていますよ、夢主ちゃん」
夢主の顔が一気に染まっていく。
言われて当然の事実かもしれないが、改めて自覚すると恥ずかしいものだ。
……自分は斎藤が好き……みんなも気付いている……
気付けば、もじもじと下を見ていた。
「まだ出会ってもいない人の事で思い悩むなんておかしいですよ。その人がどれだけ素晴らしい人であろうとも……目の前にいるのは貴女です」
沖田は自分の気持ちを抑えて励ましてくれる。その勇気に夢主も元気付けられていった。
「沖田さん……」
「でも僕も諦めた訳ではありませんよ!いつか振り向いてもらえる日まで、例え夢主ちゃんが嫁いだって諦めませんから!」
あはははと笑う沖田はさっぱりした、わだかまりなど微塵も残さぬ笑顔をしていた。
「ありがとぅ……ございます」
真っ赤な顔のまま、前髪で顔が隠れるほど深々と頭を下げた。
沖田は自分と同じ匂いのする、懐かしい稽古着を纏う夢主を愛おしく見て頷いた。
「いつでもお力になります」