25.傷
夢主名前設定
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「どうですか、体を動かすとすっきりするでしょう」
「はい、ありがとうございます」
夢主の気は晴れて笑顔が戻っていた。
「こんなに汗掻いたの久しぶり……」
動いて火照った体の夢主、息も上がるその横顔に、沖田は自らの激しい鼓動を感じて顔を逸らした。
教える立場から一瞬でただの男に戻ってしまった。汗が光る上気した顔は清々しく、男の目には艶めいて見えた。
「いっ……いきなり沢山しちゃって辛くなかったですか」
沖田は急に心配になった。
自分は楽しくて仕方なかったが、いきなり何度も何度も素振りを繰り返せば、女の細腕が痛くないはずが無い。
だが夢主は嬉しそうに答えた。
「本当に楽しかったです。また教えてください。ちょっと浮かない気分だったから……助かりました」
肩をすぼめて見せる苦笑い。
浮かない気分、やはり何かあるのだ。沖田も苦笑いを浮かべた。
「そういえば今朝の稽古、斎藤さん凄く面白い顔してましたよ~あはははっ」
わざと斎藤の名前を出してみる。
思った通り夢主の顔が曇った。
「こーんな顔して、うるさい!って機嫌悪かったなぁ~」
斎藤の浮かない顔を再現して見せた。
すると僅かに夢主がくすっと笑った。斎藤に対して悪い感情があるわけではないらしい。
「ねぇ夢主ちゃん、何か……困っていませんか」
静かに言い、顔を覗き込んだ。すると今度は俯いたまま黙り込んでしまった。
話せないのか話したくないのか、沖田は本音を探るが、いまいち顔色が掴めない。
沖田は「ふっ」と小さく息を吐き、顔を上げて道場を眺めた。
そして柔らかい笑顔で語りだした。
「僕ね、道場が大好きなんです。物心ついた時からずっと過ごしてきたせいか、皆と一緒にいる時間が長かったからかな……。そんな古い稽古着を持っていたの、不思議じゃありませんでしたか」
問いながら、ちらりと視線を夢主に向けた。
「向こうから持ってきた荷物といえば刀や着替え……その他はその稽古着くらいでした。元服の前後かな……その頃の物なんです。僕には大事な物なんだ」
そんな大事なものを着せてもらっていたとは、夢主は申し訳ない気持ちが込み上げてきた。
しかし沖田は満足そうに微笑んでいる。
「私、そんな大切なもの……」
「嬉しいんだ。夢主ちゃんにぴったりで。暫く預かってくれるかな。その代わり一緒に練習してくれる?」
夢主はもちろんと頷いた。
「はい、ありがとうございます」
夢主の気は晴れて笑顔が戻っていた。
「こんなに汗掻いたの久しぶり……」
動いて火照った体の夢主、息も上がるその横顔に、沖田は自らの激しい鼓動を感じて顔を逸らした。
教える立場から一瞬でただの男に戻ってしまった。汗が光る上気した顔は清々しく、男の目には艶めいて見えた。
「いっ……いきなり沢山しちゃって辛くなかったですか」
沖田は急に心配になった。
自分は楽しくて仕方なかったが、いきなり何度も何度も素振りを繰り返せば、女の細腕が痛くないはずが無い。
だが夢主は嬉しそうに答えた。
「本当に楽しかったです。また教えてください。ちょっと浮かない気分だったから……助かりました」
肩をすぼめて見せる苦笑い。
浮かない気分、やはり何かあるのだ。沖田も苦笑いを浮かべた。
「そういえば今朝の稽古、斎藤さん凄く面白い顔してましたよ~あはははっ」
わざと斎藤の名前を出してみる。
思った通り夢主の顔が曇った。
「こーんな顔して、うるさい!って機嫌悪かったなぁ~」
斎藤の浮かない顔を再現して見せた。
すると僅かに夢主がくすっと笑った。斎藤に対して悪い感情があるわけではないらしい。
「ねぇ夢主ちゃん、何か……困っていませんか」
静かに言い、顔を覗き込んだ。すると今度は俯いたまま黙り込んでしまった。
話せないのか話したくないのか、沖田は本音を探るが、いまいち顔色が掴めない。
沖田は「ふっ」と小さく息を吐き、顔を上げて道場を眺めた。
そして柔らかい笑顔で語りだした。
「僕ね、道場が大好きなんです。物心ついた時からずっと過ごしてきたせいか、皆と一緒にいる時間が長かったからかな……。そんな古い稽古着を持っていたの、不思議じゃありませんでしたか」
問いながら、ちらりと視線を夢主に向けた。
「向こうから持ってきた荷物といえば刀や着替え……その他はその稽古着くらいでした。元服の前後かな……その頃の物なんです。僕には大事な物なんだ」
そんな大事なものを着せてもらっていたとは、夢主は申し訳ない気持ちが込み上げてきた。
しかし沖田は満足そうに微笑んでいる。
「私、そんな大切なもの……」
「嬉しいんだ。夢主ちゃんにぴったりで。暫く預かってくれるかな。その代わり一緒に練習してくれる?」
夢主はもちろんと頷いた。